小4女児死亡、虐待防止NPOが児相の体質批判 「警察にいえば、土壇場で救えた」

弁護士ドットコムニュース / 2019年2月12日 17時56分

写真

関連画像

千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さんが2019年1月に自宅で死亡し、両親が傷害容疑で逮捕された事件では、児童相談所の対応の不備が強く指摘されている。

これまでにも各地の児相が事案を抱え込み、救えるはずの命が救えなかったとして、虐待防止に取り組むNPO法人「シンクキッズ」の後藤啓二弁護士は2月12日、東京・霞が関の厚生労働省で会見し、児相が警察と事案すべての情報共有をするよう訴えた。

●「長期欠席はウルトラ危険」

後藤弁護士は、大阪府警生活安全部長や愛知県警警務部長などを歴任した元警察官僚。この日の会見前に厚労省担当課を訪れ、児相と自治体、警察が事案すべての情報を共有し連携して活動することを求める要望書を渡した。要望書は内閣府や警察庁、文科省にも届けられる。

野田市のケースでは、心愛さんが2017年11月、野田市内の通っていた小学校のアンケートで「父からいじめを受けている」と訴えていた。その後、12月末まで児相は一時保護したが、2018年1月に親からの抗議を受け、回答のコピーを手渡したという。

このときの経緯について、野田市教委は「威圧的な態度に恐怖を感じ、屈して渡してしまった」と会見で述べたことが報じられている(2019年1月31日付、日経新聞)。

後藤弁護士は「児相の、親の意向に反して怒られる、トラブルになることを恐れるという保身の体質と、警察との情報共有と連携を拒否する閉鎖的な体質が、心愛さんの命を救うことができなかった最大の原因だ」と指摘する。

心愛さんは2019年の年明け以降、長期欠席が続いていた。ただこの情報は関係機関で共有されなかったという。後藤弁護士は「長期欠席はウルトラ危険。警察にいえば、その日のうちに行くんだから、土壇場で救えたと思う」と話した。

●「親が怖いなら警察と連携を」

「もうおねがい ゆるして」などとノートに書き、船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5)が東京都目黒区のアパートで死亡したのが2018年3月。この事件も世間に大きな衝撃を与えた。他にも、これまでに家庭内でいくつもの痛ましい事件が起き、子どもの命が失われている。

後藤弁護士は、こうした事件が起きるたびに、各地の児相と警察などが情報共有を進めて、危険な兆候を見逃さないようにすべきだと警鐘を鳴らし続けてきた。

ところが、警察が児相に情報提供するのに対し、児相は「虐待には程度がある」などの理由で、警察への情報提供に及び腰だという。地域によってバラツキがあるのが実態で、とりわけ「千葉県と東京都では改善する気配がない」という。

一方、後藤弁護士らの要望を受け、改善が進んだ自治体もある。岩手県や茨城県、埼玉県、神奈川県、愛知県、大阪府などでは、児相と警察などの情報共有を進める動きが進んでいる。また要望活動前から、広島県、高知県、大分県ではすでに実施されているという。

後藤弁護士は「千葉県野田市のように、児相が親を怖がるというのはあることかもしれない。ただ、怖いならなおさら警察と連携すべきだ」と述べた。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング