毎月5000キロ走行、26歳男性が突然死…労災認められず 遺族「労基署に絶望」

弁護士ドットコムニュース / 2019年3月11日 18時57分

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厚生労働省が全国に設置する労働基準監督署が、労災認定をする際、本来認めるべき時間を「労働時間」と認めない事例が目立つようになったとして、「過労死弁護団全国連絡会議」の幹事長を務める川人博弁護士や遺族が3月11日、東京・霞が関の厚労省で会見を開いた。

出張先のビジネスホテルで急死した若い男性の父は「労基署の不当な判断で絶望している」。亡くなる2日前の労働時間は、遺族が主張した時間から10時間近く少ない「4時間19分」との認定。労災認定されなかったことを不服として今後、異議申し立てをする方針。

●東京ー名古屋間、月平均で約7.5回往復

代理人の秋山直人弁護士によると、男性は外国製大型クレーン車の販売営業をする勤続4年目の正社員(当時26)。出張先の三重県内のホテルで2016年5月19日、心停止で急死した。部下がいない名目上の係長職で、山形県から三重県にわたる12県を担当していた。

毎週月曜、午前7時から横浜市内の本社である会議に出席し、その後は金曜まで社有車で各地の営業先をまわり、夜はビジネスホテルに宿泊。金曜の業務終了後に、横浜市内の自宅に帰るというパターンでおおむね働いていた。

社有車のETCカードに残った記録やホテルのチェックイン時刻などをもとに、代理人が男性の残業時間を集計したところ、亡くなる2カ月〜6カ月前の平均が80時間を超え、100時間を超える月も複数あった。「過労死ライン」を超える水準だ。

さらに、男性が亡くなる前の直近7カ月に社有車を運転した距離を集計すると、月平均で5313キロ、東京ー名古屋間を高速道路で走った距離に換算すると、月平均で約7.5回往復していた計算になったという。

移動中もハンズフリーのイヤホンを装着し、取引先や上司との電話のやりとりもしていた。秋山弁護士は「業務は精神的緊張を伴うものだった。被災者(男性)は疲れた、眠いが口癖になっており、いつも目覚まし時計を3個セットしてようやく起きていた」と指摘した。

●「事業主の指揮監督下にあったとは認められない」

一方、労基署の認定はどうだったのか。

鶴見労働基準監督署では、「事業主の指揮監督下にあったとは認められない」という理由で、自宅やホテルから取引先に社有車で移動する時間や、取引先から自宅やホテルに移動する時間を「労働時間ではない」と判断。代理人に対して、その旨説明したという。

労基署が認定した残業時間で見てみると、亡くなる2カ月〜6カ月前の平均は80時間にはほど遠く、100時間超の月もまったくないことになっていた。

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