女性専用車両の機運高めた30年前の「御堂筋事件」…痴漢を注意したら強姦被害

弁護士ドットコムニュース / 2019年3月18日 9時47分

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東京や大阪など、都市部を中心に導入されている女性専用車両。痴漢被害から守ってくれる存在ですが、いつ、どのような形で始まったのか、知っていますか。

日本における女性専用車両は、1912年(明治45年)1月に東京の中央線において、朝夕に限って導入された「婦人専用電車」が最初とされています。近年の本格的な導入の大きなきっかけになったとされているのが、1980年代の「地下鉄御堂筋事件」です。どのような事件だったのでしょうか。(ライター・平塚陽子)

●痴漢行為を注意した女性が逆恨みで強姦された

1988年11月4日午後9時ごろ、大阪市営地下鉄御堂筋線の本町ー心斎橋間の電車内で、2人組の痴漢行為に対して注意した当時20歳の女性が逆恨みされました。2人組は女性の首などをつかみ、大阪、堺市内を連れまわしました。午後11時50分ごろ、マンション建築現場に連れ込み、ノコギリで脅して強姦しました。大阪地裁堺支部は、被告人に3年6カ月の実刑判決(求刑4年)を下しました。

この事件を受けて、女性たちが立ち上がりました。事件後すぐに発足した「性暴力を許さない女の会」は事件の翌月、大阪市交通局や鉄道各社に要望書を提出しました。同会が要望した内容は、次のとおりです。

(1)性暴力をなくすよう、車内広告やアナウンスなどで積極的なPR活動を行うこと (2)性暴力を誘発するようなポスターなどを、駅構内や車内で掲示しないこと (3)駅員(特に女性駅員)を増員し、女性が性暴力にあわないようにするとともに、被害があった場合は即座に対応すること

しかし、性暴力を許さない女の会によると、これらの要望に対する回答や対応は残念なものでした。交通局の姿勢としては、男性に痴漢をやめろと呼びかけるのではなく、巡視や見回りの強化や、女性に自衛を促すというものでした。

同会は他の関西私鉄各社にも同じ要望書を送付し、対応の改善を求めましたが、当時は痴漢というセクシャルな話題を前面に出すことに対する抵抗が強く、「迷惑行為はやめましょうという」という程度のキャンペーンを行うなどの対策がとられるにとどまったそうです。

その後も、各団体等は活動を継続し、交通局や鉄道各社への働きかけを行ってきました。そのような中で、社会的な機運も高まり、「痴漢アカン」という、加害者に対するメッセージの含まれた初のポスターや、電車での車内放送なども実現するようになり、2000年以降には関東や関西で女性専用車両の導入が始まりました。

●関西では終日女性専用車両がある路線も

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