女性専用車両の機運高めた30年前の「御堂筋事件」…痴漢を注意したら強姦被害

弁護士ドットコムニュース / 2019年3月18日 9時47分

現在の大阪の鉄道各社の痴漢対策はどうなっているのでしょうか。大阪の中心地、梅田の各鉄道会社の駅(JR大阪駅、阪神梅田駅、阪急梅田駅、地下鉄御堂筋線梅田駅など)を歩いてみましたが、痴漢についてのポスターは見当たらず、商業用の広告ばかりでした。

地下鉄御堂筋線なんば駅のホームには、足下や柱に、女性専用車両であることが大きく明記されています。女性専用車両の車体にも、ピンクの大きなステッカーで、女性専用車両と記載されています。乗り込むと、壁が一部薄ピンク色だったり、つり革の一つ一つにも、女性専用車両を記載された小さなポスターが付けられていたりと、女性専用車両であることが一目瞭然となっていて、男性が誤って乗るということはなさそうです(なお、この日の車内には、座席は全て埋まり、立っている乗客も多くいる状況でしたが、1人だけ男性が乗っていました)。

筆者自身、普段は女性専用車両を選んで乗車するということまではしませんが、女性専用車両はやはり、男性と接近することがないという点で居心地のよさを覚えます。

女性専用車両について、JR西日本や大阪メトロ、阪急電車では、終日導入されている路線があります。阪神電車や南海電鉄、近畿日本鉄道(近鉄)では、時間帯や方面を限定して女性専用車両を導入しています。

ちなみに、JR東日本では、女性専用車両が終日導入されている路線はありません。このような違いが生じる理由は多々考えられますが、東西での混雑率の違いや、並走路線の有無(サービスを競う必要があるか)によって違いが生じているものと考えられます。

●電車での痴漢や強制わいせつは年間3000件以上

平成27年版の犯罪白書によると、2006年から2014年の間の迷惑防止条例違反の痴漢事犯及び電車内における強制わいせつ事犯は、2007年をピーク(4515件)として、その後4000~3500程度の間で増減を繰り返していますが、やや減少傾向にあるといえます。

もっとも、その件数は毎年3500件以上にものぼります。この数字は、警察等により犯罪として認知された件数です。特に性犯罪は、羞恥心や恐怖心から、被害に遭ったことを誰にも打ち明けられないケースが多いことに鑑みると、実際の被害者は、さらに多いでしょう。

さらには、最近では「新型痴漢」と呼ばれる行為がニュースで取りざたされることもあります。電車の揺れに合わせて体を接触させる・匂いをかぐ等の行為のことです。新型痴漢が、従来型の痴漢のように迷惑防止条例等の法令に触れるか否かはさておき、そのような行為を受けた女性が不快感を覚えることは確かであって、女性の心情を顧みない行為という意味で、痴漢と同等に撲滅したいものです。

●時代の流れとともに戦った結果、できたもの

地下鉄御堂筋事件は、電車を利用する女性はもちろん、それ以外の多くの女性に衝撃を与えました。当時の女性たちが、その衝撃に屈することなく、声を上げ続けたことで、痴漢に対する社会の受け止め方は、大きく変わりました。今、私たちが、当たり前のように目にし、利用する女性専用車両。これは、社会の流れで自然にできあがったものではなく、時代の流れと戦った人たちがいてくれたからこそ存在するものであるということを、忘れてはならないように感じます。

(弁護士ドットコムニュース)

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