児相と警察、情報の全件共有を 「救えたはずの命がある」NPOの模索

弁護士ドットコムニュース / 2019年3月21日 9時32分

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「児相が警察と情報の全件共有のうえ、連携して活動していれば、救えたはずの命がある」ーー。こう話すのは、元警察官僚でNPO法人「シンクキッズ」の代表理事を務める後藤啓二弁護士だ。

後藤弁護士は子どもの虐待死を防ぐため、児童相談所(児相)と警察がすべての虐待事案について情報を共有し、連携して活動する必要性を訴え続けてきた。

相次ぐ虐待死の事件を受け、全件共有を実施する自治体は増えつつある。しかし、東京都や千葉県、福岡県、福岡市などは後ろ向きだという。なぜ、連携が進まないのか。後藤弁護士に話を聞いた。

●「親に屈して、子どもを危険にさらしてはならない」

警察と情報を全件共有することに消極的な自治体や児相などからは「福祉的な支援がおこないにくくなる」「親との信頼関係が損なわれる」という声が上がることもあるという。

後藤弁護士は「第一に救うべきは子どもです。親との信頼関係を優先させることで、命を落としてしまう子どもがいる」と警鐘を鳴らし、次のように訴えている。

「警察との全件共有と、連携しての活動に否定的な理由を突き詰めると『親がこわく、親に怒られたくない』という問題があると思います。親がこわいと思うのは、警察官でない児相の職員には仕方ないことです。

ただ、こわいからといって、親に屈して子どもを危険にさらしてはなりません。児相だけで虐待事案を抱え込むことは無理があります。だからこそ、警察と連携してほしい」

●「児相と警察が連携していれば、救えた命がある」

後藤弁護士は、児相が「虐待ではない」「緊急性が低い」と判断した案件で、虐待死が多発していることを問題視する。そして、「児相と警察が連携していれば、危険な兆候を見逃さずに防ぐことができた事件はたくさんあります。救えた命がある」と強調する。

2012年12月から2013年3月ごろまで、東京都足立区で、両親によって次男の玲空斗(りくと)ちゃん(当時3)がウサギ用ケージに閉じ込められた末にタオルで猿ぐつわをされ、窒息死。

2014年1月には東京都葛飾区で父親に暴行を受け、長女の愛羅(あいら)ちゃん(当時2)が亡くなった。ともに、事前に児相から警察への情報提供はなかったとされる。

後藤弁護士はこの2つの痛ましい事件について、児相と警察が連携していれば、「救えた命」だと考えている。

虐待の疑いについての通報先は児相に限らない。一般の人からは、警察に連絡がいくこともある。こうしたケースでは、警察から児相に情報提供することが重要だ。

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