コインハイブ事件、経緯総まとめ 「ウイルス罪」相次ぐ摘発に萎縮も

弁護士ドットコムニュース / 2019年3月26日 9時28分

男性は2017年10月30日〜11月8日の間、仮想通貨モネロの演算を行わせるプログラムコードをサーバー上に保管したことが、不正指令電磁的記録保管の罪にあたるとして罪に問われている。

今回の事件が法廷で争われることになったのは、横浜簡裁が罰金10万円の略式命令を出した後、男性が命令を不服として正式裁判を請求したからだ。略式手続とは、正式裁判によらないで、検察官が提出した書面で審査する裁判手続のことをいう。

つまり、男性が正式裁判を申し立てなかった場合、「不正指令電磁的記録保管罪」の解釈について法廷で争われることはなかった。

男性は被告人質問で、正式裁判を請求したことについて「負担はあります」と打ち明けている。悩んだ末に「こういう形でクリエイターが取り締まられると、IT業界に良くない」と裁判することを決断したという。

千葉大学大学院専門法務研究科の石井徹哉教授(刑事法学)は「罰金や科料の軽微な犯罪は、争われることが少なく、簡易裁判所レベルの法解釈に止まってしまうことがみられる。そうした裁判例を根拠に警察が捜査をすることもある」と懸念する。

●不正指令電磁的記録保管罪とは?

今回、被告人の男性が問われている罪は「不正指令電磁的記録保管罪」(刑法168条の3)というものだ。

不正指令電磁的記録保管の罪は、 (1)正当な理由がないのに (2)人の電子計算機における実行の用に供する目的で (3)人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、またはその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録(刑法168条の2第1項第1号)、または、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録(同項第2号)を (4)保管した 場合に成立する。法定刑は2年以下の懲役または30万以下の罰金となっている。

聞きなれない言葉が多いが、これらの条文をどう解釈すれば良いのか。

立法担当者による学術論文「杉山徳明・吉田雅之『情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律』について(上)」(法曹時報64巻04号)によると、まず、不正指令電磁的記録に当たるかどうかの判断は「意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える」かどうかがポイントになるという。 この際の「意図」については、「一般に認識すべきと考えられるところを基準として規範的に判断する」としている。

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