コインハイブ事件、経緯総まとめ 「ウイルス罪」相次ぐ摘発に萎縮も

弁護士ドットコムニュース / 2019年3月26日 9時28分

例えば、ポップアップ広告は「インターネットの利用に随伴するものであり、そのようなものとして一般に認識すべきと考えられる」として、「意図に反する動作」に当たらないとする。

そして、指令が「不正な」ものかどうかは、「社会的に許容し得るものであるか否か」という観点から判断するとする。

バグについては、「不可避的なものとして許容されている」ため「不正な」要件を欠き不正指令電磁的記録に当たらず、ソフトウェア制作会社が不具合修正のプログラムを無断でインストールした場合も「意図に反する」可能性があるが、不正ではないとの見解を示している。

また、不正指令電磁的記録保管の罪は、故意および実行の用に供する目的がなければ成立しない。「実行の用に供する」というのは、PC使用者が不正指令電磁的記録を実行しようとする意思がないのに実行され得る状態に置くことだとしている。

この罪が処罰対象とする行為は「保管」だ。この「保管」とは、不正な指令を与えるソースコードなどの電磁的記録を、パソコンのハードディスクや自分で自由にダウンロードできるサーバに保存しておく行為があたりうるとしている。

●裁判の争点は

この裁判の争点は、以下の3点だ。

1)コインハイブは不正指令電磁的記録にあたるか 2)「実行の用に供する目的」があったと言えるか 3)故意があったと言えるか

それぞれの争点について、検察側と弁護側の主張は過去の記事にまとめている。 https://www.bengo4.com/c_1009/n_9261/ 専門家はこの事件をどうみるか。

前述の石井教授は、コインハイブは不正指令電磁的記録にあたらないとみる。

「この犯罪はコンピューターを使う際の社会的な信頼を保護するもので、プログラムの使用にあたりセキュリティ上の問題がないことへの信頼を核にしている」とした上で、「一般論として、あるサイトを見た時にプログラムがどのように動作するか。それがセキュリティを侵害する態様で意図に反するかどうかがポイントになる」と話す。

広告については、「一般の人はバナー広告かスクリプトで動くデジタル広告か区別がつかない人も多いと思うが、どちらにせよサイトを見る際に広告はあるものとして社会的に認識されている」とする。

これに対して、トラッキングコードやコインハイブなどブラウザを開いた際に動作しているか分からないものについては「今は明確な法解釈がない。セキュリティの観点から問題ないかどうかは、設置や動作状況から、プログラムごとに判断するしかない」と指摘し、そのプラグラムが社会的に認識されていないとしても一概に不正性を認められるものではないと考える。

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