コインハイブ事件、経緯総まとめ 「ウイルス罪」相次ぐ摘発に萎縮も

弁護士ドットコムニュース / 2019年3月26日 9時28分

なぜ今回、こうしたコインハイブの事案が捜査対象となったのだろうか。

国際大学GLOCOM客員研究員の楠正憲さんは、コインハイブの報酬であるモネロが匿名性が高い仮想通貨(暗号資産)であることから「犯罪収益やテロに加担することに繋がるという捜査機関側なりのストーリーがあったのではないか」とみる。

コインハイブはサイト訪問者のCPUを使って仮想通貨モネロのマイニングをさせ、収益を得るサービスだった(3月8日に終了)。モネロは匿名性の高い通貨で、日本で取り扱っている取引所は現在ない。 楠さんは「マネーロンダリングやブラックマネーに対する警察の感覚は、ネット広告のようなグレーが認められやすい世界の許容度とは大きく違う。捜査機関側はマイニングという行為が間接的に幇助するものに対して問題意識があったのではないか。そうした意向を技術者側が読み違えて起こった悲劇だ」と話す。

一方、コインハイブの存在を知っている人からも、同意を得ない形でマイニングするのは「マナー違反」「心理的に嫌だ」という声もある。

楠さんは「コインハイブなど見えないところで動くものについては、有効な同意を取ることがベストではある」としながら、「アクセス解析のタグなど全てで事前同意取得を義務付けると、産業へのインパクトが大きい。社会のコンセンサスをどう作っていくのかが課題だ」と難しさを口にする。

●自粛する動きも

こうした新しい技術への取り締まりに対し、ネットでは懸念の声が上がっており、すでに自粛する動きも出ている。

「何を書いたら、何をしたら逮捕されるのか全く分からないことが怖い。ならば全ての活動を止める以外の選択肢が無い」。2013年から「すみだセキュリティ勉強会」を主催するセキュリティエンジニアのozumaさんは、しばらくの間、勉強会の活動を休止すると決めた。 ozumaさんは実際に攻撃者が利用する方法を使って擬似攻撃を行い、サービスに情報セキュリティー上の欠陥がないかどうか調べる脆弱性診断を専門としている。勉強会では実際に攻撃者が利用する手法を解説することもあり、「自分が逮捕されること、そして大切な友人や勉強会に来てくれる人たちが逮捕されるのが怖い」と話す。

勉強会休止決定の背景には、不正指令電磁的記録に関する罪の取り締まりに対する疑念もある。

2018年3月、情報セキュリティーに関するウェブマガジン「Wizard Bible」を運営していた男性が、遠隔操作によって外部からコマンドを実行できる簡単なサンプルコードを公開していたことで、不正指令電磁的記録提供の罪で略式起訴され、罰金50万円の略式命令を受けた事件があった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング