伊藤忠商事が導入した「早起き制度」 従業員にとって「得」か「損」か?

弁護士ドットコムニュース / 2013年11月17日 11時30分

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「商社マン」はハードワークの代名詞、毎日深夜までバリバリ働くイメージがあるが、最近は働き方に変化が現れているようだ。報道によると、大手総合商社の伊藤忠商事は10月から、午後10時以降の残業を完全に禁止した。午後8時以降の残業をするためにも、申請が必要になったという。

仕事の穴埋めは「早朝シフト」で行う。午前5時から9時までの「早朝残業」の割増金を、一般社員は25%から50%に引き上げ、0%だった管理職にも、25%支給することにした。対象は、東京・大阪両本社と地方拠点の約2600人。同社はまず、半年間試行し、来春からの正式採用を目指すとしている。

非効率になりがちな深夜残業を禁止し、ワーク・ライフ・バランスの改善を狙う。こうした取り組みは、他の企業にも広がっていく可能性がある。それでは、もし自分が勤めている会社がこういう制度を始めると言い出したら、従業員としてはどんな点に注意をすればいいのだろうか。会社側が作ったルールを従業員として検討する際に、気をつけたほうが良い労働法上のポイントについて、白鳥玲子弁護士に聞いた。

●「早朝シフト」で注意すべき2つのポイント

「従業員として注意すべき点は、2つあります」

このように白鳥弁護士は切り出した。

「1つは、『早朝シフト』に対して、労働基準法上の時間外割増賃金(残業代)がきちんと支払われる仕組みがあるかどうかです。早朝シフトは就業時間の前の時間であるため、『残業』であるとの認識が従業員側でも薄く、少額の早朝手当が支給されるだけで済まされてしまうケースがあるからです」

たしかに「残業」という言葉の響きからすると、ついつい見過ごされがちなポイントといえるかもしれない。

「もう1つ、注意すべきなのは、本当にいわゆる『残業』をやらなくてよくなるのかという点です。取引先との関係等で、実際には就業時間のあとに残業をしなければならない場合があります。

そうすると、早朝から深夜までの長時間労働となるだけで、従業員にとっては『早朝シフト』の導入により、かえって労働条件が悪くなるということになってしまいます」

●サービス残業が横行するようになれば、本末転倒

さらに最悪なのは、ルール上は「深夜残業禁止」となりながら、実態として存続してしまう場合だ。白鳥弁護士も次のような懸念を示す。

「会社側が『深夜残業は禁止』という業務命令をしても、実際に仕事が終わらなければ、『サービス残業』をせざるをえなくなるケースも十分にありえます」

形だけの深夜残業禁止で、結果的に「サービス残業」の横行につながるのならば、本末転倒だ。そのような点も踏まえ、白鳥弁護士は会社で働く人に向けて、次のようなアドバイスを送っている。

「従業員としては、それぞれの会社での業務状況の下で『早朝シフト』が導入された場合、本当に就業時間後に残業をせず、帰宅することが可能なのかを見極める必要があるでしょう」

(弁護士ドットコム トピックス)

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