性犯罪「無罪判決」相次ぐ 「判断には被害者心理の理解が不可欠」専門家が訴え

弁護士ドットコムニュース / 2019年5月12日 10時14分

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今年3月、性犯罪が問われた裁判の一審で、無罪判決が相次いだ。最初に報じられたのは、テキーラを一気飲みさせられた女性に対し男性が性行為に及び、準強姦罪で起訴された事件。福岡地裁久留米支部は3月12日、男性を無罪とする判決を下した。

その後も、全国で3件の無罪判決が続いたことから、ネット上では判決への批判が高まり、性犯罪の刑法改正を求める署名活動がスタート。5月11日には東京、大阪、福岡で性暴力と性暴力判決に抗議する「フラワーデモ」も行われた。

「無罪判決」はなぜ続いたのか。性暴力の被害者支援や、被害者や加害者の臨床に携わっている専門家が登壇するシンポジウムが5月9日、東京都千代田区の日比谷図書文化館で開かれた。イベントでは、被害者支援の立場から考えた裁判のあり方が話し合われ、専門家からは、性暴力を受けた被害者がどういう状態に陥るのか、その後も続く苦しみや恐怖を知ってほしいという意見が交わされた。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

●今年3月で4件の無罪判決

今回のイベントで話題となったのは、次の4件の無罪判決だ。

【3月12日・福岡地裁久留米支部】 テキーラを一気飲みさせられた女性に対し男性が性交に及び、準強姦罪で起訴された裁判。報道などによると、判決では女性が抵抗できない状態だったことは認定したものの、女性が性交に同意していると男性が誤信する状況だったとして「故意」を認めず、男性に無罪判決を下した。

【3月19日・静岡地裁浜松支部】 40代のメキシコ国籍の男性がコンビニ駐車場で声をかけた面識のない20代女性に対して、強制性交し、けがをさせたとして、強制性交致傷の罪に問われた裁判。判決では、女性が「頭が真っ白になった」ため、抵抗できなかったという検察の主張を認めたが、男性からみてわかる形で女性が抵抗を示していたとはいえず、「故意」は認められないとして、男性に無罪判決を下した。

【3月26日・名古屋地裁岡崎支部】 父親が19歳の娘に対する準強制性交の罪に問われた裁判。長女が中学2年生の頃から頻繁に行われていたといい、長女が服を脱がされないように抵抗したところ、父親からこめかみのあたりを数回拳で殴られたり、太ももやふくらはぎを蹴られた上、背中を足で踏みつけられたりしたこともあった。判決では、長女の同意はなく、抵抗し難い心理状態だったと認めつつも、父親に服従せざるを得ないような強い支配従属関係にあったとは言えず、「抗拒不能だったとはいえない」として、無罪判決を下した。

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