東京五輪チケット規約、IOCに有利すぎ? 福井弁護士が「知っておくべきポイント」解説

弁護士ドットコムニュース / 2019年5月14日 9時30分

競技開始に遅れると入れない場合がある(24条)。1点気を付けたいのは、規約上はいったん外に出ると再入場は禁止されている点だ(27条)。これはコンサート・スポーツイベントなどで見かける規約だが、目的は、通常は転売・共有を防止することだろう。長丁場の競技など、途中で用事のあるケースや疲れて一休みしたい観客のため、どれだけ柔軟に運用できるかがカギだ。

●撮影・録音とその権利について

さて、私が先日つぶやいて大きな反響があった会場内での撮影・録音はどうか(https://twitter.com/fukuikensaku/status/1126415530871611392)。

これは、「撮影禁止区域」以外ではできる。ただし、その写真や映像等の著作権は自動的にIOCに無償譲渡される。IOCやその許可を得た者はこれを将来にわたって自由に利用でき、撮影などした観客は著作者人格権も行使してはならないとされる(33条3項)。

では、観客は自らの写真・映像などを一切使えないかといえば、私的・非営利・非宣伝目的で使うことだけを「許諾」される。ただし、動画・音声の配信・第三者提供は不可なので、たとえば自分たちの応援する姿をYouTubeやインスタグラムのストーリーに上げることはできない(33条4項)。やれば、単なる規約違反ではなく著作権侵害となって、理論上は刑事罰もありうる。現実にどこまで取り締まられるかはまったく不明だが、念頭には置いておきたい。

もう1点、宣伝や賭けのために競技のスコア等を送信することも禁じられているので、これも要注意だ(33条6項)。

他方、観客自身の肖像権は、自由に撮影されることを了承するかたちだ。これは商用目的を含めて、将来にわたって「IOCの発展」などのために自由に利用されうる(33条1項・2項)。規約上はアップでの放送・配信も十分可能だろうから、「顔バレはちょっと」という方は派手めのフェース・ペインティングなど工夫したい。

●違反への対処はどうなっている?

では、以上の規約に違反するとどうなるか。個別に記載された措置があるほか、対象のチケットは無効とされ、退場がありうる。そればかりか、IDが取り消され、すべてのチケットが無効になる可能性もあるので(44条)、注意したい。

●変更・中止と払戻しについて

逆に、予定された競技が変更されたり、遅延・中断したりしても、チケットが払い戻されるケースは限定されている(37条・38条等)。また、こうした変更・遅延や競技中止によってわれわれが損失をこうむっても、組織委員会は責任を負わず(37条1項)、払戻しは券面額が直接の購入者に対してのみおこなわれる(40条)。たとえば、発行手数料や交通費・宿泊費は払い戻し対象にならない。

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