東京五輪チケット規約、IOCに有利すぎ? 福井弁護士が「知っておくべきポイント」解説

弁護士ドットコムニュース / 2019年5月14日 9時30分

また、会場内での事故などについて、入場者は自ら、子どもの同伴者、そして所有物の安全を確保する責任がある(23条)。打球やもっと重いもの、選手自身などをよける練習は、怠らないように。

●規約はそもそも有効なのか?

さて、長々書いてきたが、そもそもこうした規約は有効なのだろうか。チケットを申し込むときには、全員がかなりはっきり規約への同意を求められるので、原則としては有効だろう。

なお、同意対象は「購入・利用規約」本文だけでなく、「チケット購入ガイド・チケット申込フォームの規定・個人情報保護方針・会場規則その他組織委員会が定める規則」のすべてとなっている(2条1項・1条20号)。

ただし、消費者契約法その他の法令によって、こうした条項は一方的に購入者の利益を害する内容の場合には無効とされることがある。上記の規約のうち一部のものは、特にその運用次第では、効力を否定されることもありうるだろう。スムーズな運営と、快適で楽しいオリンピック体験のバランスが望まれる。

もう1点、規約は組織委員会が一方的に変更できるとされ、かつ、その変更は「チケット利用者の権利に重大な影響を及ぼす場合にのみ、組織委員会が定める方法で通知される」とある(3条)。これは、恐らくチケットを購入した後で変更された規約や変更を知らされた規約も、われわれに適用されるという意味だろう。よく見られる規定ではあるが、拘束力には限界もありそうだ。

以上はごくざっくりした紹介だった。今回は編集部の要望で急きょの検討だったので細部は省いたし、見落としや誤解もあるだろうから、ご指摘をいただければ幸いだ。気になったが検討が間に合わず、あえて指摘していないところもある。この点は、各規定の詳細とともに別稿で報告したい。

では、みなさん、希望の席が当たりますように!

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
福井 健策(ふくい・けんさく)弁護士
弁護士・ニューヨーク州弁護士。日本大学芸術学部・神戸大学大学院 客員教授。内閣府知財本部委員ほか。「18歳の著作権入門」(ちくま新書)、「誰が『知』を独占するのか」(集英社新書)、「ネットの自由vs.著作権」(光文社新書)など知的財産権・コンテンツビジネスに関する著書多数。Twitter:@fukuikensaku
事務所名:骨董通り法律事務所
事務所URL:http://www.kottolaw.com

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