痴漢されたら「安全ピンで刺す」は正当防衛か傷害罪か?  Twitterで大論争

弁護士ドットコムニュース / 2019年5月25日 9時4分

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Twitterで痴漢対策の安全ピン使用が大きな話題になっています。

これは、ある女性が電車内で痴漢された体験をTwitterで語ったことがきっかけです。その女性は、中学生の時に両脇に座られた2人の男性から体を触られたそうです。恐怖で声も出せなかったことを、保健室の先生に相談したところ、安全ピンを渡され、「無理に声を出さなくていい。次に痴漢が出たら安全ピンで刺しな」とアドバイスされたそうです。

先生は、抵抗しないと痴漢行為がエスカレートしたり、顔を覚えられてまた狙われるかもしれないから、「せめて行為をやめさせるために」安全ピンで意思を示した方がいいと説明したとのことです。

これに対し、Twitterでは賛否両論が上がりました。中でも、男性からは「もしも冤罪だったらどうするんだ」「普通に傷害罪だろ」という批判がありました。一方で、女性からは「むしろ、冤罪は生まれにくい」という声や、安全ピンだけでなく、昭和の頃から「まち針」や「コンパス」「カッター」などで痴漢を撃退してきたという体験談が寄せられました。

声を上げられなかったり、声を上げても否認されたりすることから、「刺すことで、犯人だという証拠にもなる」と以前から根強く使われてきた方法のようです。これは傷害罪にあたるのでしょうか、それとも正当防衛として許されるのでしょうか。伊藤諭弁護士に聞きました。

●若干の出血を伴う程度の安全ピンの攻撃は正当防衛の可能性が高い

痴漢を安全ピンで刺す場合、正当防衛になるのでしょうか?

「まず、はじめに断っておきますが、安全ピンで刺すことを推奨する趣旨でも、問題がないという趣旨でもありません。あくまでも、そのような行為が行われた場合、どのような評価を受ける可能性があるか、という観点で説明いたします。

刑法上の傷害罪が成立するには、一般的には『人の生理機能に障害を与えること、または人の健康状態を不良に変更すること』(生理機能障害説)とされています。

他人を安全ピンで刺すことによって刺し傷ができれば、傷害罪が成立します。仮に傷ができない場合であっても暴行罪は成立します。

しかしながら、この行為が、自らに降りかかっている『痴漢』という不正な行為から身を守るため、やむを得ずしたものと評価されれば、正当防衛となり、違法ではなくなります。

痴漢行為の態様や安全ピンでの攻撃の程度、周囲の状況などからケースバイケースであるとは思いますが、通常は、痴漢という重大な身の危険に対して、若干の出血を伴う程度の安全ピンの攻撃であれば、正当防衛が成立する可能性は高いと思われます。

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