「百万円札」使った高校生逮捕・・・なぜ「通貨偽造」ではなく「詐欺」容疑なのか?

弁護士ドットコムニュース / 2013年11月25日 8時31分

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「百万円」と書かれたおもちゃの紙幣を使って現金をだまし取ったとして11月上旬、大阪府内の高校生2人が逮捕された。報道によると、2人は同府吹田市のたばこ店で、76歳の男性店主に1万円札に見せかけたおもちゃの紙幣を渡し、両替を依頼。千円札10枚をだまし取った疑いが持たれている。

報道によると、今回利用されたのは、おもしろグッズとして販売されている「百万円札メモ帳」という商品。表紙には「壱万円」ではなく「百万円」、「日本銀行券」のかわりに「見本銀行券」と書かれているが、福沢諭吉の肖像などデザインはよく似ているという。2人はこれをコピーして貼り合わせ、1万円札に見せかけたようだ。

ところで今回、2人の高校生が逮捕されたのは「詐欺罪」の容疑だったと報じられている。2人が作った「偽札」は、警察も「あまりにも稚拙だ」と呆れたレベルだったようだが、なぜこれは「通貨偽造罪」とされなかったのだろうか。元検事で刑事事件にくわしい山田直子弁護士に聞いた。

●「通貨に対する信用」を守るのが通貨偽造罪の目的

「通貨偽造行為を処罰することによって守られるべき『法益』は、通貨に対する一般人の信用とされています。

日常生活で使われる貨幣や紙幣が本物かどうか、毎回、怪しまなければいけないような事態となれば、経済活動は成り立たなくなって、世の中は大混乱となりますよね。

そのような事態が起きないように、刑法は、通貨偽造行為を厳しく処罰しているのです」

「法益」というのは、ざっくりいうと、法規制によって得られる利益のことだ。さて、そもそも規制の目的が「通貨の信用を守るため」であるとするならば……。

「誰が見ても、ニセモノだとすぐに判る偽札を作ったところで、そのような混乱が生じるおそれはありません。したがって、すぐにニセモノと判る偽札を作ることまでを『偽造』として、処罰する必要はないということです」

●なぜ詐欺罪だったのか?

それでは、2人の高校生が「詐欺罪」で逮捕された点については、どう考えればいいのだろうか。

「偽造通貨を使って相手をだまし、商品を手に入れれば、『偽造通貨行使罪』が成立します。

偽造通貨を使って相手をだますという行為には、詐欺の要素も含まれます。ただ、詐欺罪よりも法定刑の重い『偽造通貨行使罪』には、詐欺の要素も織り込み済みとされており、詐欺罪が別に成立するわけではないのです。

一方で今回のように、『偽造』に至らないニセモノを使ったケースでは、本来の詐欺罪のみが成立することとなります」

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