吉本、NSC合宿の「死亡しても責任負わない」誓約書は「無効」 芸能弁護士が批判

弁護士ドットコムニュース / 2019年7月31日 18時52分

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吉本興業が運営する芸人養成所「NSC」の研修生に対し、合宿に参加する際、「死亡しても吉本興業は一切の責任は負わない」「合宿で起きた障害について、吉本興業に賠償請求は行えない」などとする誓約書の提出が求められていたことが、朝日新聞で報じられた。合宿は9月中に静岡県内で開催されるもの。弁護士ドットコムニュースの取材に対し、吉本興業は事実関係を認め、「担当者のミスで起きてしまった」と説明した。

●2017年から3年間、「誤った誓約書」を配布   

問題とされた誓約書には、「合宿中、負傷した場合、またこれらに基づいた後遺症が発生した場合、あるいは死亡した場合においても、その原因いかんを問わず吉本興業株式会社に対する責任の一切は免除されるものとする」と書かれていた。

また、「今回の合宿で起きた障害について吉本興業株式会社に対する賠償請求、訴訟の提起など支払い請求は行えないものとする」ともあり、訴訟リスクをあらかじめ回避しようとする意図の文言も含まれていた。

吉本興業によると、この誓約書は古いもので、2014年から2016年にかけての合宿ではこれらの記載がない、正しい誓約書の提出を求めていた。しかし、2017年から今年にかけての3年間は、担当者のミスにより誤った内容の誓約書を参加希望者に渡していたという。一方、合宿は毎年実施されているが、現在にいたるまで賠償責任が問われるような負傷や事故は発生していないとした。

●「憲法で保障された裁判を受ける権利を奪うことはできない」

NSCは、第1期生にダウンタウンを輩出するなど、吉本興業の芸人たちが多く巣立った養成所でもある。

2017年と2018年の合宿では、これらの記載がある誓約書が実際に用いられていたことになるが、どのような問題があるのだろうか。河西邦剛弁護士はこう指摘する。

「一言でいうと誓約書に記載されていることは法的にはまったく無効となります。

つまり、『今回の合宿で起きた障害について吉本興業株式会社に対する賠償請求、訴訟の提起など支払い請求は行えないものとする』という書面に署名押印したとしても、何らの法的効果も生じません。

研修生が書面にサインしていたとしても、合宿中にケガをした場合には、吉本興業株式会社に請求することも、訴訟を提起することも、何ら制約されることはありません。もし仮に2017年、2018年の合宿での事故があった場合には、請求することも訴訟を提起することも可能です。

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