米国紙記者「日本のメディアは官僚体制の一部。権力との距離が非常に近い」
弁護士ドットコムニュース / 2015年7月6日 12時29分

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「マスコミを懲らしめるためには、広告料をなくせばいい」。そんな与党・自民党の国会議員による発言が物議をかもし、権力とメディアの関係が大きな問題となっている。国会で圧倒的多数の議席をもつ与党のもとで、ジャーナリズムはどこまで機能しているのだろうか。そのような問題意識から、「ジャーナリズムは権力を撃てるのか?」と題したシンポジウムが7月4日、東京・新宿区の早稲田大学で開かれ、「権力とジャーナリズム」の関係について議論がかわされた。
●メディアの幹部が「首相」と頻繁に会食している早稲田大学ジャーナリズム研究所の花田達朗所長の基調講演に続いて、テレビ局や海外メディアなどのジャーナリストたちによるパネルディスカッションがおこなわれた。
その冒頭、アジアプレス・インターナショナルの代表でもある野中章弘・早大教授が問いかけたのは、「権力とジャーナリズムの距離」の問題だ。野中教授は、総理大臣の一日の行動を紹介する「首相動静」という新聞のコーナーにふれながら、こう疑問を投げかけた。
「首相動静を見ると、日本のメディアの経営幹部と編集幹部が頻繁に安倍首相と会食をしている。しかし、何を話をしているのか一切、読者に知らされていない。これだけ安倍政権がメディアに対して攻撃を仕掛けていて、メディアが団結して跳ね返さないといけないときに、経営幹部や編集幹部が首相とご飯を食べている。それについて、メディアの中でおかしいという声がまったく出てきていない。
こういうことが慣習的におこなわれている。日本では、政治家の懐に入って情報をとって半日早いスクープをとるのが優秀な記者だと思われていて、政治家と一体化してしまう取材のやり方が広く行われている。こういう状況は、外から見たらどうなのか。ほかの国のジャーナリズムから見たとき、どう考えられるのか」
●「権力と非常に近い距離が当たり前になっている」これに対して、米国の新聞・ニューヨークタイムズのマーティン・ファクラー東京支局長は「すべての民主主義国家に同じ問題があると思う」として、次のように語った。
「アメリカでも、権力との距離をどう保つかという問題が常にある。アメリカの場合は、波のような感じで、メディアが権力者にだんだん近づいて、何か事件が起きて、やりすぎだなということで離れて、また、近づいていく。
記者にとって権力との距離は、遠すぎると、ただ敵対的に批判するだけの立場になる。近すぎると、名前を言わないが、野球チームをもっている新聞のようになってしまう。つまり、事実上の機関紙になってしまう。そのあいだが大事だが、これは非常に難しい。別に、ここまでという印があるわけでもない。正直なところ、どの国でも難しいところだ。
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