裁判官「共犯者について話せば、量刑を考慮する」 異例の説得に問題はないのか?

弁護士ドットコムニュース / 2015年7月18日 10時47分

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「共犯者について話せば、量刑を考慮する」。詐欺罪などに問われた男性の裁判で、裁判官が異例の説得をしていたことがわかった。

報道によると、男性の被告人は、熊本県に住む女性に息子を装って電話をかけ、現金800万円をだまし取ったとして、詐欺罪に問われていた。弁護人によると、福岡地裁小倉支部の公判で、裁判官に説得され、被告人が捜査側に共犯者の情報を伝えたという。

その結果、福岡地裁小倉支部は7月15日、「本来は実刑だが、真相解明に貢献した」として、男性に「懲役2年4か月、保護観察付き執行猶予4年」という判決を言い渡した。

今回の判決は「国会で議論されている司法取引を司法が先取りした形」などと報じられているが、裁判所が真相解明のために、量刑を考慮することを被告人に持ち掛ける手法は、問題ないのだろうか。元裁判官の田沢剛弁護士に聞いた。

●被告人が虚偽の供述をしてしまう可能性がある

「このような手法を用いることは、非常に問題があると言わざるを得ません」

田沢弁護士はこのように述べる。なぜだろうか。

「今回報道されたような、裁判官が『共犯者について話せば、量刑を考慮する』などと述べるということは、私自身は聞いたことがありません。

しかも捜査段階ではなく公判段階で、まさに自分の刑罰が決められるという段階です。

できるだけ刑を軽くしてもらいたい被告人としては、そのようなことを言われれば、虚偽の供述をしてしまう可能性が高まるとはいえないでしょうか」

そもそも、真相解明の役に立ったことを、量刑を考える上で考慮することはできるのだろうか。

「捜査に協力して真相解明に寄与したということを量刑において考慮すること自体は、何も問題ありません。それは、被告人の悔悛(かいしゅん)の情を示す一つの事情となるからです。

しかし、刑を軽くしてもらうという利己的な動機の場合、刑を軽くしてもらえないなら協力しないということの裏返しともいえます。そのような場合に悔悛の情を認めることは困難でしょう。

そうすると、公平・公正であるべき裁判所が、このような手法を用いることは、非常に問題があると言わざるを得ません」

●国会で議論されている「司法取引」制度も問題あり

報道では「国会で議論されている司法取引を司法が先取りした形」といった指摘も出ているが、どう考えればいいのか。

「政府が2015年3月13日に国会に提出した『刑事訴訟法等の一部を改正する法律案』において新たに導入が検討されている『捜査・公判協力型協議・合意制度』のことですね。

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