「節税」のために放置されてきた「空き家」ーー特別措置法の施行で何が変わる?

弁護士ドットコムニュース / 2015年6月9日 15時16分

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高齢化や人口減少の影響で、空き家の存在が全国的な問題になっている。国も対策に本腰を入れており、放置された空き家の撤去や活用を進める「空家対策特別措置法」が5月26日に施行された。

総務省の住宅・土地統計調査によると、2013年10月時点の全国の総住宅数は約6063万戸で、そのうち空き家は約820万戸。総住宅数に占める「空き家率」は13.5%で、調査を始めた1948年以来、過去最高だという。

空き家が放置される理由として、「更地に比べて空き家が建っていたほうが税金が有利」という意見もあるが、税制の面から見ても何か変化があるのだろうか。足立仁税理士に聞いた。

●「節税のために、廃墟のような住宅が撤去されない」

「固定資産税は、不動産の所有者に対して課される税金です。その税率は、固定資産税評価額に対して、年率1.4%とされています。

しかし、空き家に限らず、住宅用地に対する固定資産税については、課税標準を3分の1にする優遇措置が設けられています。

200㎡以下の小規模な土地の場合は、さらに優遇されて6分の1になります。つまり、住宅の建っている土地であれば、固定資産税は3分の1または6分の1になったのです」

なぜ、優遇措置が設けられたのだろうか。

「政府としては、住宅建設を促進したかったからです。しかし、住宅が古びて空き家になったとき、取り壊して空き地に戻すと、今度は逆に固定資産税が高くなってしまいます。

その結果として、固定資産税の節税のために、廃墟のような住宅が撤去もされずに残されてしまうという問題が生じました。今回の新法は、その問題に対処するためのものです」

●優遇措置がなくなったわけではない

今回の法施行で、優遇措置はなくなったということだろうか。

「優遇措置が完全になくなったわけではありません。

まず、倒壊の恐れがある、衛生上有害である、著しく景観を損なうなどの問題がある空き家を、市区町村が『特定空き家』に指定します。

そして、所有者に除去・修繕を命令します。同時に、固定資産税の優遇措置もなくなります。問題のある空き家以外は、これからも優遇措置を受けることができます」

問題のある空き家の持ち主は、いったん更地にして、駐車場などにしたほうがいいのだろうか。

「空き家を取り壊して駐車場にしたとしても、駐車場は空き地と同じで、固定資産税の優遇がありません。

地価の高い地域では、駐車場だけで採算を取るのは難しいでしょう。やはり、積極的に土地を有効活用すべく、建て替えや、場合によっては売却も視野に入れて、今後の方針を専門家に相談すべきだと思います」

足立税理士はこのように述べていた。

【取材協力税理士】

足立仁(あだち・じん)公認会計士・税理士

東京大学経済学部卒業。税理士法人ファザーズ代表社員として、多くの資産家・企業経営者の顧問を務める。2013年より日本公認会計士協会東京会幹事。

事務所名:税理士法人ファザーズ

事務所URL:http://souzokuzei.or.jp/

(弁護士ドットコムニュース)

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