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「生理でもないのに下腹部に痛みが…」医師が女性にありがちな腹痛について答えます!

美人百花デジタル / 2021年6月28日 20時30分

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生理でもないのに、お腹に鈍い痛みを感じた経験はありませんか? こんな時は、病院へ行くべきか迷いますよね。そこで今回は「春木レディースクリニック」の藤川恵理先生に腹痛について話を伺いました。

 

生理ではない時に下腹部が痛みます。産婦人科に行くべきか普通の腹痛か見極める方法が知りたいです。

一般的に、女性が下腹部痛を訴えて救急外来を受診した場合、そのうち産婦人科疾患が原因であるのは2割弱、特に40歳以下では約半数が産婦人科疾患だと言われています。腹痛は大きく分けて、内科系の病気(胃腸炎、消化性潰瘍など)、外科系の病気(虫垂炎、腸閉塞や腸穿孔など)、泌尿器系の病気(尿路結石や膀胱炎など)、産婦人科系の病気(子宮筋腫、子宮内膜症、子宮外妊娠、卵巣茎捻転、性感染症など)の4つに大別されます。すべての腹痛が病気に分類されるわけではございません。

心配のない女性特有の下腹部痛としては、排卵時(卵巣の一部が裂けて卵子が飛び出す現象)に起こる「排卵痛」というものがあります。全く自覚されない方も多いのですが、子宮内膜症や骨盤内に癒着があると毎回鎮痛剤を飲まないといけないほど痛みが強い方もいます。一方で、排卵の際に卵巣から多量の出血を起こすと「卵巣出血」となり、ごくまれに緊急手術が必要な場合もあります。これは若い女性に多く、特に性交渉後に起こることが多いと言われていますが、通常は1週間程度の安静で軽快します。普段から基礎体温をつけて自身の身体がいまどのような状態にあるのかなど把握しておくと、一定の時期に起こる痛みの理由やいつもと違う痛みがわかりやすく、病院受診の目安となるかもしれません。

例えば高温期が2週間以上持続しているときの下腹部痛では、妊娠に関連する疾患が考えられ、子宮外妊娠や切迫流産などを考える必要があるでしょう。また、下腹部痛以外の症状にも注意が必要です。月経でもないのに性器出血がある、おりものがいつもと違う、下腹部にしこりがある、生理がきていないなどの症状があれば婦人科疾患の可能性が高いと思われるので、まずは産婦人科にかかるのが良いでしょう。

緊急性が高い下腹部痛の症状を教えてください。

産婦人科疾患で最も緊急性が高いのは、異所性妊娠(子宮外妊娠)と言われるもので、破裂してしまうと大出血を起こすため命に関わり、緊急手術が必要です。最近月経がきたのに、と思われてもそれが妊娠初期の出血である可能性もあり、妊娠反応を確認するまでは否定できません。

次に緊急性が高いのは、卵巣腫瘍に関連するもので、卵巣茎捻転と卵巣腫瘍の破裂があげられます。卵巣腫瘍があると運動などのちょっとしたきっかけで腫瘍が捻じれてしまうことがあり、卵巣茎捻転と呼ばれます。卵巣腫瘍が5-6cmを超えると、この茎捻転が発症しやすいと言われます。多くの場合は激痛で発症して緊急手術が必要となり、発症から時間がたってしまうと卵巣の組織がダメージをうけるため卵巣を摘出せざるを得ないのですが、発症して間もない場合は卵巣を温存することも可能です。卵巣腫瘍の破裂は子宮内膜症によるもの(チョコレート嚢胞)が多く、やはり緊急手術が必要になる場合もあります。これらの疾患は、今後の妊孕性(妊娠する力)にも関わりますので、早めの診断が求められるところです。

他にも、クラミジアや淋菌などの性感染症がきっかけとなって起こる骨盤内炎症性疾患にも注意が必要です。通常は軽い下腹部痛なのですが、炎症が骨盤内から肝臓周囲にまで及んでしまうと急激な腹痛や発熱を起こし、右上腹部痛などが症状として出るので、最初は内科や外科を受診するためになかなか原因がわからず、診断が遅れることもあります。また、卵管内に膿がたまってしまう卵管留膿腫という疾患があり、下腹部痛と発熱以外に、黄色~緑色の異常なほど多量のおりものがでることが特徴です。この状態を放置して卵管が破れたりすると緊急手術が必要になりますので、すぐに婦人科を受診してください。

日常生活でのアドバイスがあれば教えてください。

普段から基礎体温をつけて自身の身体の状態をきちんと把握し、婦人科検診も含めた健康診断を定期的に受けられることをおすすめします。基礎体温でちょうど排卵期(体温が下降した日や上昇した日)に下腹部痛が起こった場合には、「排卵痛?」と冷静にうけとめることができますし、高温期が持続しているときの下腹部痛は、「あ、妊娠?もしかしたら異常妊娠かも??婦人科に行かなきゃ!」と的確な判断も下せるでしょう。

また、卵巣腫瘍などは自覚症状があまりないため、茎捻転や破裂を起こして下腹部痛がひどくなり、婦人科を受診して初めて診断されるといったことも少なくありません。しかし、婦人科を定期的に受診しておけば、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣腫瘍などは容易に診断可能です。例えば、大きな卵巣腫瘍が見つかった場合には、ひどい下腹部痛で緊急搬送されたあげくに緊急手術となる前に、お腹にほとんど傷を残さず入院期間も短い腹腔鏡手術によって完治することができます。

また、子宮内膜症が判明していれば、黄体ホルモン剤や低用量ピルなどで治療を開始することができるため、結果的に卵巣腫瘍(チョコレート嚢胞)破裂の予防にもなり、妊孕性(妊娠する力)が維持されるかもしれないのです。基礎体温プラス婦人科検診でご自身の状態をいつも把握しておくことが、生活の質の向上にとって非常に重要だと思います。

教えてくれたのは

「春木レディースクリニック」藤川恵理先生

周産期、腫瘍、生殖やヘルスケアなど幅広く女性の一生に深く関わることのできる産婦人科に学生時代から憧れており、卒業後は、周産期センターや婦人科専門病院で研修を積む。その中で、女性のライフスタイルの変化とともに生殖医療の需要がますます大きくなっていると感じ、この春から「春木レディースクリニック」で不妊治療に携わるように。

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