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辛くなったら無理せず病院へ!パニック障害について専門家の先生に聞きました

美人百花デジタル / 2021年7月8日 20時5分

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実は意外と身近な疾患であるパニック障害。もしかしたら……と思ったら無理をせず、病院へ受診してください。今回はパニック障害について「株式会社M.D.PROJECT」代表取締役の益子雅笛さんに詳しく話を聞きしました。

 

そもそもパニック障害って?

パニック障害は、不安を主体とする病気である不安障害の一つです。突然理由なく、動悸やめまい、発汗、窒息感(息苦しさ)、吐き気、手足の震えといった症状が発作的に起こり(パニック発作)、死んでしまうのではないかというほどの強い不安が伴い、自分ではコントロールできないと感じることから、また発作が起きたらどうしようと常に考えてしまい(予期不安)、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになる(回避行動)といった特徴があります。そもそも不安は、本来、自分を脅かすものやストレスの要因となるものに対する正常な反応です。人が突発的に恐怖や生命の危機に直面した時、その身体の中には、心臓を動かして筋肉への血流が増加させ、胃腸の動きを止めて、手足に汗をかいて湿らせるなど、「闘うもしくは逃げる(闘争・逃走)」ための反応が起こります。このような反応は生命を脅かす状況に対処できるプログラムとして身体に備わっているものです。しかし、この不安が生命を脅かすような状況でないにもかかわらず、「特にきっかけがなく」「頻繁に」「日常生活に支障をきたすほど強く、また長く持続する」場合は、病的な不安とみなされ、治療の対象になります。

自分の症状がパニック障害だと気付くポイントは?

多くの場合、電車の中などで、突然、特にきっかけなく、ドキドキして冷汗が出る、血の気が引いて、気持ち悪くなる、息苦しくなる、吐き気がする、などの症状が出現して、居ても立っても居られないような落ち着かなさと死ぬかもしれないという不安を感じる発作を経験します。「降りられない」と感じてしまうと不安が増強されます。発作が治まった後、また起きたらどうしようと常に考えてしまい、電車に乗れなくなる、といった場合は症状に気づきやすいと思います。パニック発作があっても、必ずしも予期不安や回避行動がみられるわけではないので気付くのに時間がかかる場合もあります。しばらくしてまたパニック発作がみられることで、予期不安や回避行動が生じて自覚されることもあります。また、電車やバスなどの乗り物の他、美容院など、強い不安に襲われたときに「すぐに逃げられない」「助けが得られそうにない」と感じられる場所が苦手である「広場恐怖」、一人で外出することができなくなる「外出恐怖」、閉塞感や圧迫感があるところが苦手な「閉所恐怖」などがあると、パニック発作が生じやすい傾向があります。

治療方法は?

パニック発作と思われる身体症状を初めて経験した場合は、まず内科を受診して、そのような症状の原因となるような身体の異常がないかを確認してください。パニック障害に限らず、精神症状に関する診断には身体の異変や病気が除外されることがとても重要です。それらの可能性が否定されたらまずは安心し、精神科や心療内科などの専門医へ受診してください。治療には、薬物治療、精神療法・心理療法、があり、症状や時期に応じてこれらを併用することが多いです。

薬物療法

強い不安が起こらないようにする、不安を感じやすいことによる脳の緊張や疲労を緩和する、といった目的で、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などが選択されます。

また、予期不安が持続する場合や発作が起こった時など、症状に対する薬として抗不安薬もしばしば使われます。薬物治療において重要なことは、「その薬を何のために服用するのかを意識すること」「必要な時に必要十分量を用いること」「必要がなくなったら上手に減らしていくこと」です。からだの中に入れるものとして薬をきちんと理解することが効果を上げることにつながります。

また、薬は増やす時のみならず、減らす時にも注意が必要です。自己判断による薬物の調整や中断は、効果が得られないだけでなく、薬によっては危険なこともあります。症状のみならず服薬やその効果や副作用と思われることに関しても正直に医師に伝え、指示に従うようにしてください。

精神療法・心理療法

不安や自身のからだやこころのしくみついて適切に理解するとともに、現実的に対処できるようになることを目的として行います。

パニック障害では、パニック発作の引き金となる刺激に対して、脅威を感じ不安が高まることによって生じた身体感覚の変化に対して、極端で破壊的なイメージが頭の中に浮かんでくる傾向(自動思考)があり、それによってさらなる不安が生じて症状が増強される、という悪循環に陥ります。

例えば、電車に乗る→ドキドキして息苦しくなる→死んでしまうかも→さらに不安、というような状態です。この破壊的解釈を含む自動思考に対して、より現実的で役に立つバランスの良い考え方(適応的思考)を導き出すようにするのが認知行動療法です。曝露療法では、不安の原因になる刺激に段階的に触れることで過剰な不安が生じないようにしていきます。

刺激に触れても大丈夫と思えるような成功体験を積み重ねていくためには、発作がみられない落ち着いた状態で、安全・安心な状況のもとで行う必要があります。治療者と相談しながら行いましょう。

日常生活でのアドバイスがあれば教えてください。

不安は人が生きていくうえで必要な、正常な反応であることから、不安の治療目標は、不安をなくすことではなく、不安をコントロールできるようにすることです。

不安の生じるメカニズムからすると、不安が生じやすい刺激への対処、刺激を受けたときの対処をいかに工夫するかがポイントになります。不安を感じやすい方は、もともと刺激に敏感な傾向が強く、不快な刺激を過剰に受け取ってしまうことや、すぐに不安に対処できるように無意識に自分にとっての脅威となる刺激を探してしまい、むしろ不安になってしまうということもみられます。

自分にとって心地よい刺激にも目を向けられるように意識しましょう。不安に対して最も効果的なのは「安心」です。どんなに安心できる環境であっても、本人が安心と感じなければ安心できません。つまり、安心は他から与えられるものではなく、自分の中でそう思うこと、実感することで得られるものです。ですから、いかに自分で自分を安心させられるか、大丈夫と思えるようにするか、であり、そのためにささいなことであっても自分でできることをすることが大事になります。

体調不良や病気がある場合や、心身の疲労が蓄積している場合などは脳の機能の低下によって不安を感じやすくなり、悲観的な思考に陥りやすくなります。普段から心身のケアを行い、丈夫なからだづくり、こころがゆたかで穏やかになるように心がけましょう。

また、強い不安がある時は思考力が低下しますので、どうしたらよいかわからなくなり、周囲に助けを求めることもままならなくなるものです。状態が落ち着いている時に、自身の状態を説明し、どのような時にどのように助けてもらいたいか、などについて具体的に伝えておくとよいでしょう。

身近にパニック障害の人がいる場合の接し方、注意する点は?

パニック障害といっても、その状態は一人ひとり違います。そして、それをご本人が周囲に理解してもらえるように伝えることは簡単なことではありません。精神症状やこころの状態など周囲から目に見えないことであればなおさらです。

病気に限ったことではありませんが、その人が経験していることを本当に理解することは不可能で、ただ寄り添うという姿勢が大事なのだと思います。まず病気に対する適切な知識と理解を得たうえで、典型的な症状や特徴にこだわらず、また憶測で判断せず、ご本人がどのようなことに困っていて、どのような助けが必要なのかについてご本人に直接確認し、その中でできることをしてください。

発作が起きた時や不安が強い時などは、傍にいてあげること、背中や手などに触れてあげること、など安心できるようにサポートしてあげてください。ただし、ご家族などより身近な方などにおいて、外出時についていく、発作が起きた時に声をかけて安心させる、病院に同行するなど、常に行動をともにしてサポートしていると生活もままならず疲弊してしまいます。

必要な時に助けを求められる、ご本人が安心できる距離を保つことは、治療的にも大切です。具体的な対応については、ご本人の同意があれば受診に同伴し、担当医に相談するのもよいでしょう。

教えてくれたのは

「株式会社M.D.PROJECT」代表取締役・益子雅笛さん

精神科・心療内科クリニックで働くのと同時に、産業医・顧問医として健康に働くためのアドバイス、メンタルヘルス対策の助言指導を行っています。また、少人数のセミナーを開催し、疾病予防や健康への意識を高める活動にも取り組んでいます。

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