ひとコケ最低180万円! LCRホンダのクルーチーフが明かすMotoGPお金事情

バイクのニュース / 2020年6月17日 9時0分

MotoGPのマシンは、世界のメーカーが最高の技術を投入して開発する特別なマシンです。MotoGPマシンのリース料や費用などについて、フランス・メディアのインタビューで明らかになりました。

■RC213Vの年間リース料は約2億4千万円!

 モーターサイクルロードレースの最高峰、MotoGP。世界のトップライダーたちが駆るマシンは、各メーカーによって技術の粋を集めて開発され、選び抜かれた材料が使われているだけに投入される予算も大きい。しかし、ライダーの報酬に比べ、マシンにかかる費用について話題になることがそれほど多くないため、それについて気になっているモータースポーツファンも多いことだろう。

 2008年、ランディ・ド・プニエと一緒にカワサキ・ファクトリーからLCRホンダへと移籍。カル・クラッチローのクルーチーフを担当して6年目となる、ベルギー人エンジニアのクリストフ・ブルギニョンが、MotoGPマシンに関するお金事情について、フランス・メディアのインタビューにて明らかにした。

■RC213Vの年間リース料は約2億4千万円

 WGP(現在のMotoGP)125ccクラスで活躍した往年の名ライダー、ルーチョ・チェッキネロが運営するサテライト・チームのLCRの場合、ホンダに対して、マシンのリース料を支払う必要があるが、果たしていくらになるのだろうか?

RC213Vのリース料は、年間毎年200万ユーロ

「クラッチローが走らせるRC213Vのリース料として、毎年200万ユーロ(約2億4千万円)がかかります。大変な金額に感じるかもしれませんが、この価格には、開発にかかるコストと全てのレースに帯同してくれるHRCのエンジニアの人件費、人的リソースが含まれているんです」とブルギニョンは語る。

 イニシャルコストとして、まずこれだけの金額がかかる訳だが、シーズンを戦っていく中でレーシングアクシデントや転倒による出費がどうしても発生する。

「MotoGPマシンでのアクシデントでは、1万5,000ユーロ(約180万円)から10万ユーロ(約1,200万円)の修理費用がかかります。2,000ユーロ(約24万円)で済むような転倒は存在しないんです。私たちはいつも手持ちのパーツを交換する程度で済むクラッシュであることを望んでいますが、大きなアクシデントやクラッシュが続くと、チーム運営に経済的、時間的に深刻な影響を与えます。私たちがストックで持っている燃料タンクとラジエーターは5個だけですし、HRCに小ロットの製造を依頼すると納期もかかってしまいますね」

■グラベルへ落ちるたびにカーボンディスクブレーキは新品交換

グラベルへ落ちるたびに交換されるカーボンディスクブレーキはセットで1万ユーロ

 ライダーの安全とお金は天秤にはかけられない。

「MotoGPマシンは重く、とても速いので、ちょっとしたクラッシュっていうのはないんですよ。フロントから転倒した場合、フェアリング、ハンドルバー、他の多くのカーボンパーツが100%ダメージを受けます。カーボンディスクブレーキはセットで1万ユーロ(約120万円)。グラベルへ落ちるたびに新品へと交換します。300km/hを超える速度で走るライダーを完全に信頼できないブレーキでトラックに送り出すことはできません」

「マグネシウムホイールは4,000ポンド(約54万円)です。ミシュランタイヤが薄い構造でリムを傷付けやすいこともあって、たいしたことないと思うようなクラッシュでも交換せざるを得ないこともあります。電気関係の部品でも1,000ユーロ(約12万円)を下回ることはありません」

 しかし、めったに交換しないパーツもあるそうだ。

「ほんの少しの転倒でもたくさんのお金がかかってしまいますが、激しいクラッシュでもほとんど壊れないパーツもあります。ブレーキキャリパーを交換することはめったにありませんし、エンジンもそうです。1年間に使用できるエンジンの数はレギュレーションで決まっているので、交換しなくて済むことは大切です。私が覚えている限り、大きなアクシデントによって、マシンの90%を交換しなくてはいけなかったような場合にもエンジンは無傷でした」

■サテライト・チームならではのコスト削減

日本製カーボンパーツは破損しても高価なので再利用

 ファクトリー・チームに比べて予算が限られるだけに工夫している部分もある。

「フェアリングとシートカウルは、修理したり、再塗装したりして使っています。ただの傷であれば修復できる有能なスタッフを私たちは抱えているんです。レプソルのようなファクトリー・チームは修理せずに直接交換してしまいますが、日本製のカーボンパーツは本当に高品質で高価なので、私たちのようなサテライト・チームにとっては馬鹿になりませんからね(笑)」

 MotoGPクラスの開幕までいよいよ約1カ月。かかったコストを計算しながら観戦してみるのもひとつの楽しみ方かもしれない。

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