エース不在で戦い抜いたMotoGP 2020シリーズは「完敗」! 負けから多くを学んだシーズン

バイクのニュース / 2021年1月8日 19時8分

ホンダがオンラインで、2020年シーズン MotoGP合同取材会を開催。エースライダー不在、新型コロナウイルスの感染拡大など、さまざまな逆境のなかおこなわれた昨シーズンを振り返りました。

■エースを失っても、やることは変わらない

 ホンダの絶対的エース、マルク・マルケス選手の怪我による欠場などの影響もあり、MotoGP通算7回目の優勝を逃した2020年シリーズのホンダの戦績は、中上貴晶選手がランキング10位、アレックス・マルケス選手がランキング14位、カル・クラッチロー選手がランキング18位、ステファン・ブラドル選手がランキング19位、コンストラクターランキングは5位という結果となっています。

 そんなホンダが、2020年シーズン MotoGP合同取材会を開催。オンラインで、昨シーズンの振り返りをおこないました。

写真右:ホンダレーシング 取締役 レース運営室長 桒田哲宏(くわたてつひろ) 写真左:ホンダレーシング 開発室 RC213V 20YM開発責任者 子安 剛裕 (こやすたけひろ)

 まず、2020年シリーズの総括として、レース運営室長 桒田哲宏氏は次のように話します。

「未勝利に終わった2020年は、ひとことで表すと完敗のシーズンでしたが、その負けにより多くの学びもあった1年でした。そしてそれらは、今シーズンに繋がるものになったと考えています。

 まず、ウィンターテストから始まって、新しいリアタイヤにかなり苦しめられ、カタールテストまで苦戦を強いられました。

開幕前のカタールテストでも新しいリアタイヤにかなり苦しめられた(写真:アレックス・マルケス選手)

 その後、新型コロナウイルスの感染拡大により、テストやレースがすべてキャンセルになるという難しい状況に陥るなかで、マシンの開発を進めて行きました。

 そして、なんとかいい状態に仕上げられたマシンを開幕戦のへレスに投入し、マルク・マルケス選手が圧巻の走りを見せてくれるも負傷。その後は2020年シーズンのRC213Vのポテンシャルを引き出してくれるライダーがなかなか現れず、どうすれば我々のマシンのポテンシャルを他のライダーに引き出してもらえるのかを考え続けた1年でもありました」

MotoGP第12戦テルエルGPで初のPPを獲得した中上貴晶選手

 しかしホンダは、マルク・マルケス選手が不在となるなかで、常にランキング上位をキープしていた中上貴晶選手のさらなるサポートを開始。さらに、シリーズ後半には、アレックス・マルケス選手が表彰台を獲得するなど、じわじわとポテンシャルを上げてくるなど、マシンの熟成やタイヤに対する理解を進め、来季に向けては好感触です。

 また、マルク・マルケス選手の怪我による欠場が決まった後の戦略変更については、「目標は毎年、3冠を取ること。それを実現するために、何をやっていくかということなので、マルク・マルケス選手が欠場となった後は、ステファン・ブラドル選手に乗ってもらうことを決定。マシンの開発を進め、成績をだしてもらうというという点においては同じなので、戦略としてはあまり変わっていないと思います。

 ただし、そのなかでランキング上位の選手に対しては、サポートを強めていくというのは当然のことなので、今年でいうところの中上選手やアレックス・マルケス選手が、極力成績を出せるようにさらなるサポートを追加しました。我々のなかでは、特別何かが変わったということはありません」と説明しています。

■「強み」を作り出せなかった2020年のマシン開発

 2020年シーズンにおいてのマシン開発の方向性について、RC213V 20YM開発責任者 子安剛裕氏は、次のように説明します。

2019年型からフレームやスイングアームを細部まで見直された2020年型RC213V 20YM

「基本的には、エンジン、車体など、すべてにおいて見直しを行いました。具体的には、出力や扱いやすさなどを主眼に、エンジンについては細部にわたる見直しを実施。

 車体領域については、特に減速や加速時の車体の安定性や旋回性の向上、トラクションなどを主眼に、フレームやスイングアームなど、大型主要パーツについても、部品の配置など、細部までの見直しをおこなっています。

 電装系や電子制御システムなども変更。特に減速領域での見直しが、2019年から2020年にかけての大きな変更点となっています」

 さらに、2020年モデルの問題点として、次のように付け加えます。

旋回性に影響の出たエアロ領域の開発はシーズン中にも開発を継続した

「20年の開発コンセプトのひとつに、加速力や最高速など動力性能の向上を掲げていたので、昨今開発が進められているウィングなどのエアロ領域の開発を、ウィリーを抑制することでダウンホースを稼ぐという方向でやっていきました。

 その主題に対しては達成できたのですが、一方で旋回領域に悪影響が出ていることが開幕直前のカタールテストで発覚。開幕までに時間がなかったことから、2019年型のウィングに戻すことになり、その領域に関してはシーズン中に開発を進める計画となっていました。

 しかし、昨今の新型コロナウィルスの影響でレギュレーションも変わってしまい、達成できなかったというのがプレシーズンです」

※ ※ ※

 圧倒的な強さで勝った2019年モデルのマシンにあって、2020年シーズンに無かったもの。それは、例えば直線で抜ける加速力や動力性能、さらには新しく投入されたミシュランタイヤへの対応に時間がかかってしまったというのが課題だったと振り返った、昨シーズンのマシン開発。

新しく投入されたミシュランタイヤへの対応に時間がかかった2020年型

 新型コロナウイルス感染拡大の影響は、まだまだ続くことが予想されますが、これらの課題をクリアし、今シーズンはどのような活躍を見せてくれるのか。期待が高まります。

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