タイヤは何年で交換すべき?タイミングや費用、注意点を徹底解説
バイクのニュース / 2021年4月24日 9時0分
タイヤの交換時期は、走行距離なのか使用年数で考えるべきなのか迷う人もいるかも知れません。そこで、今回はタイヤの寿命の見方とその確認方法、タイヤを長持ちさせる保管方法などの注意点についてもレポートします。
■タイヤは何年で交換すべきか?
一般的にバイクのタイヤの寿命はどのくらいなのか。1931年創業の国産タイヤメーカー最大手、ブリヂストン(本社東京都)では、ゴムの特性が経年劣化する基準として「溝が残っていても製造から5年以上は交換すべき」としており、これを超えたものはゴムから油が揮発して柔軟性を失い路面を掴みにくくなるとしています。その結果、ブレーキング性能や旋回性能に影響を与えてグリップ性能が低下する傾向があり、安全性を考えてタイヤに溝が残っていても交換するように促しています。
タイヤの製造年・時期は、タイヤの側面に記載されたアルファベットと数字で確認できます。タイヤの側面に「アルファベットの後につながる数字」で打刻されているのが、製造年代および製造時期の情報です。打刻された数字が、仮に「2412」であるなら、先頭の2桁の「24」は製造年の何週目かを表し、後半の数字は西暦の末尾2桁「12」を示しており、そのタイヤは「2012年の6月(24週目)に製造された製品」と判断できます。前述したタイヤゴム質の経年劣化の理屈から判断すると、その交換時期の目安は、5年後の2017年の6月ごろになるというわけです。
また、ブリヂストンでは経年劣化以外に「残り溝の深さ」による基準も示してもいます。タイヤの残り溝の交換基準値として「夏タイヤ」で残り溝が4mmを推奨、「冬タイヤ」のスタッドレスは50%摩耗したときとしています。
トレッド溝の切れ込みが4mm以下になるとウエット路における排水性能の低下を招きます
夏タイヤでは、残り溝が少なくなると、新品タイヤが持っていたトレッド溝の切れ込みが、タイヤにとって重要な性能である「路面とタイヤとの水の除去・駆動力や安定力・操舵安定性や放熱性」の低下が繋がるとしています。
同社の独自データでは、それまで80km/hで走行中の制動距離は、ほぼ50m程度だったものが、4mm以下になると、同じ速度からでも制動距離は60m~80mなどに急激に長くなるとしています。また、ウエット路における排水性能の低下にから「ハイドロプレーニング現象」が起きやすくなるという観点からも夏タイヤの寿命は、残り溝4mmが限界だとしています。
冬タイヤのスタッドレスでは、氷雪道路でのグリップ性能という特殊な用途から、夏タイヤ以上にサイプと呼ぶ細やかな切れ込みが入れられており、このサイプを含んだトレッドが摩耗することによって積雪氷上路の性能低下を招きます。そのため、50%程度の摩耗で交換を勧めています。
■タイヤを長持ちさせるための注意点とは?
ブリヂストンでは使用する個体ごとの「荷重・速度・空気圧」や「保管状態」などの環境条件の違いにより、タイヤの寿命は必ずしも時間の経過と相関しているものではないとしています。先述した残り溝や期間などは、あくまでも目安であり、実際の利用環境の違いによってタイヤの交換時期は変わるとしています。
タイヤは走行距離以外に経年劣化などにより交換時期が決まってきます
わかりやすい事象を列記するなら、目視で「ひび割れ」などの損傷がないか、手で押してゴム感のなくなった「弾力のない状態」になっていないか、「偏摩耗」と呼ばれる一方に偏った減り方をしていないかなど、それら劣化状態によって基準値よりも交換時期が早まることもあり得るといいます。
タイヤを長持ちさせるために、保管する方法としてはどのような事柄に注意すべきなのでしょう。タイヤは「紫外線や熱」による影響を受けにくい場所で保管し、乗車前の日常点検で、損傷がないかのチェックや、最低月に1度程度の「空気圧」の管理が重要です。
タイヤに使われているゴムは紫外線の影響を受けやすく、長時間紫外線を浴びることで、ゴム質が劣化してひび割れなどを起こしやすくなると言われています。これを防ぐために紫外線対策の劣化防止剤なども使われているほどです。
しかし、真夏などアスファルトの温度が高くなるような状況では、この劣化防止剤が気化してしまい、その効果が薄れ、紫外線による劣化が進んでしまいます。そのため、タイヤを長持ちさせるためにも「紫外線」と「熱」への対策は必須といえるでしょう。日陰になる保管場所やガレージがなければ、アスファルトやコンクリートに直接触れないように断熱シートを敷く、シートカバー・タイヤカバーを利用するなどしてタイヤを守りましょう。
タイヤの摩耗を目視確認するために、タイヤには「スリップサイン」があり、トレッド面の溝の中にある突起がそれにあたります。この部分がタイヤ踏面の摩耗とともに徐々に現れ、この高さが完全にほかのトレッド面と同じになったときが、残り溝不足によるタイヤ交換のサインです。
峠やサーキットなどを中心に走行するとタイヤの損耗が激しく、一般道の場合と違い交換時期は5000km程度が目安だといわれています
道路運送車両法第167条(走行装置)4項二で、二輪車のタイヤ溝の最低限として「0.8mm以上の深さが必要だ」とされており、この基準を満たさないタイヤを装着した車両は車検に通りません。この交換時期を示すのが「スリップサイン」の役割で、完全に表面に出るまでの走行距離は、およそ1万km~2万kmと言われています。しかし、峠やサーキットなど過酷な環境を走らせるライダーの場合は、タイヤの損耗が激しく、その半分である5000km程度が目安だといわれます。
もしパンクによってタイヤに損傷をきたし、修理を行ったときには、専門家が見て大丈夫だという判断がない限り、安全性を最優先・考慮してタイヤ交換を検討しましょう。
バイクのタイヤの交換費用は、利用する製品により異なるため一概には言えません。もちろん排気量、バイクに応じたサイズやタイヤの種類・特性による価格差だけでなく、取り付けを依頼するサービスショップによる工賃の違いが、当然あります。交換の際には、タイヤそのものの価格や取り付け工賃のほかに、バルブの交換費用やホイールバランス料金、さらに古いタイヤの処分料なども必要です。新しいタイヤに交換する際に、これらの諸費用も確認してから依頼するようにしましょう。
※ ※ ※
ブリヂストンでは、タイヤを長持ちさせる最良の方法は「安全運転」であるとして、普段から急ブレーキや急ハンドルなど、タイヤの摩耗を早める運転を避けるべきだとしています。新しいタイヤに交換後は、よりその点に注意して「走行距離100km程度までは急制動・急発進・無理なコーナリングは避ける」運転を推奨しています。
もしパンク修理を行ったときには、専門家が見て大丈夫だという判断がない限りは、安全を考慮してタイヤ交換を検討しましょう。
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