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ハーレー乗りも唸る! ホンダ「レブル1100 DCT」に見たアメリカン・クルーザー新時代到来の予感

バイクのニュース / 2021年5月16日 9時0分

2020年12月にホンダの大型クルーザー「レブル1100」が日本市場に導入されました。ハーレーダビッドソンのカスタムや走行フィーリングに造詣の深いライター、渡辺まことさんはレブル1100に乗り、どのようなことを感じたのでしょうか。

■先入観無しで乗ったホンダ「レブル1100」、そのファーストインプレッションは……

 技術の進化というものの前に味わった、まるで竜宮城から帰った浦島太郎のような感覚……今回、2020年12月に国内導入されたホンダ「レブル1100」に初めて試乗してみたのですが、まずコレが筆者(渡辺まこと)が感じた率直な感想です。

 普段の仕事柄、筆者はハーレーダビッドソン(以下:ハーレー)や、それら各種モデルをベースとしたカスタムバイクである“チョッパー”についての記事を書くことが中心ゆえ、どちらかというと私自身は“アナログ”な構造の車両に触れることが多いのですが、レブル1100の操作性はこれまでの経験と明らかに違うものでした。

 今回は、まったくの予備知識なく試乗に望んだのですが、まず「バイクで世界初」であることが謳われたホンダの新技術である“DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)”というシステムに対して驚きを禁じ得なかったのが正直なところです。
 
 聞けばDCTは今から10年以上前の2008年にミラノショーで発表され、2010年モデルの「VFR1200F」から採用されているとのことですが、おそらくコレは「ハーレー&チョッパー業界」の人々にほとんどに知られていないであろう新技術。ハズカシながら私自身も今回の試乗で初めて、その存在を知った次第です。

 ちなみにこのDCT、ホンダのホームページ上では「マニュアルトランスミッションのダイレクト感をそのままに、クラッチ操作とシフト操作からあなたを解放する」というキャッチ・フレーズが記されているのですが、ズバリ言うと通常のバイクのようなクラッチレバーが存在しません。

 最初は「クラッチがない……というコトはスーパーカブみたいな感じ?」と想像していたのですが、左足のステップ部にシフトペダルがないのも何とも不思議な感覚です。普段のバイクならエンジンを掛け、クラッチレバーを握り、シフトをガチャリと踏み込み……といった一連の操作が必要になるのですが、このシステムだとエンジン始動後、ハンドルにあるボタンを押すのみ。
 
 右手のスイッチで「Dモード」に入れるとシフトがニュートラルから1速になるのですが、アクセルを開けると車速に応じて自動でシフトチェンジされるという構造になっています。
 
 こう書くと、あたかもスクーターのような感覚と誤解されてしまうかもしれませんが、実際は“ミッション付きバイク”らしい乗り味となっており、車速を上げるとメーターの中のシフトインジケータ―がアップし、ブレーキをかけ、停車するといつの間にか1速までシフトダウン。些か陳腐な表現になってしまいますが、まるで目に見えないオバケが勝手にシフト操作をしているかのようです。

■走行モードを変えれば……

 加えてこのDCTは“ノーマル”と“スポーツ”、“レイン”など走行モードが選択可能となっており、特にアグレッシブなスロットルレスポンスとなる“スポーツ”モードでワインディングを軽く攻めてみると中々に面白く、クラッチレバーを握ってのシフトアップやダウンといった操作がない分、コーナーでのマシンコントロールに集中出来るのも大きな利点となっています。

幾分、幅広なハンドルバーはミッドコントロールと相まって、どちらかというとダートトラッカーを連想させるポジション。クラッチレバーのない左グリップに備えられたシフトスイッチがDCTならではのオリジナリティを感じさせます

 また、DCTは完全なオートマというワケではなく、左手の人差し指と親指で操作できるシフトスイッチ(人差し指がシフトアップ、親指がシフトダウン)で任意に変速することも可能なので、コーナー手前でシフトダウンし、そのままスロットルを開けると加速と共にシフトが自動で上がり、キビキビとした走りを楽しめるのも唸らされた部分です。やはりこの感覚はスクーターとは明らかに違います。
 
 ちなみにレブル1100には水冷4ストロークOHC4バルブ直列2気筒の1082ccエンジンが搭載されているのですが、その乗り味はというとフラットでトルクフル。ハーレーのような“ドドド感”こそないのですが、下から“ググッ”とトルクを感じる走り出しは、コレはコレで楽しいものです。そのフィーリングをあえて悪く言えば「ギクシャク」という表現になってしまうのかもしれませんが、“アメリカン・クルーザー”なら、これくらい荒っぽいエンジン・フィーリングの方が車体のコンセプトにマッチしているでしょう。

■日本メーカーならではの「アメリカン」の表現

 また、スタイルにしても“日本メーカーならではのアメリカン”を感じさせるもので、かなり好感が持てるものでした。80年代後半から90年代にかけての“アメリカン・ブーム”の時代は、どちらかというと各メーカーが“ハーレー的”なデザインの車両をリリースしていましたが、レブルのオリジナリティ溢れるデザインは“新しい時代”の到来を感じさせるものです。

かつてのアメリカン・ブーム時代とは異なり、“日本メーカーならではのアメリカン”といえるデザインとされた「レブル1100」。“新しい時代”の到来を感じさせるものとなっています

 実際、このレブル・シリーズは、250ccモデルが“バイク・オブ・ザ・イヤー2020”に選出され、ベストセラーとなっているのですが、あえてキツい言い方をすれば、それはすなわちユーザー側も決して「ニセ・ハーレー」的なデザインを求めているワケではない、ということを指しているのではないでしょうか。

 エンジンをストレスメンバーとしたダイヤモンドフレームや、ツインレールとなったメインフレームに装着された燃料タンクのデザインなどは独自性を感じさせるものであり、カスタム・ベースとしても中々にソソられるものとなっています。
 
 おそらく車体のサイズやポジションから察するに、このレブル1100はハーレーの“スポーツスター”をターゲットにしたモデルであると推測出来ますが、同クラスの“フォーティーエイト”が税込で150万弱という価格を考えるとレブルの110万円(DCTモデルは121万円)というプライスは、かなり魅力的です。
 
 筆者自身、普段はハーレー系の記事を中心に執筆しているゆえ、どうしてもソレを比較対象に置いてしまうのですが、エンジンの乗り味といい、デザインといい、DCTという新機能といい、様々な部分に唸らされたのも、レブル1100に対する本音。浦島太郎の如く数百年の時をタイムスリップすることこそ叶いませんが、ともすれば先の未来の世界で振り返ると、このモデルの登場は大型アメリカン・バイク市場の“ハーレー・一強時代”という牙城が崩れる兆しになっているのかもしれません。

 そう断言出来るほどに感心を覚えた1台……それがホンダ・レブル1100に対する率直な感想です。

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