the「燃費」注目度高し! ネオクラ単気筒 ホンダ「GB350」の燃費ってどうなの?
バイクのニュース / 2021年7月31日 11時0分
2021年新登場の注目株、インド市場狙いから日本上陸となったホンダ「GB350」が搭載する新開発の空冷単気筒エンジンの燃費性能は? 実走で測ってみました。
■350ccクラスのスーパーカブか? 移動が楽しく燃費も良い!
いま、インドがキテます。2020年のデータによれば、世界で販売されたバイクのうち30%以上がインドで売られ、世界1、2を競う人口の多さと、その生活の中でバイクがモビリティとして2000万台以上売れたという巨大市場……多くの2輪メーカーが生産拠点を設ける重要なマーケットなのです。
じつは今回のテスト車、ホンダ新型「GB350」もインド市場を狙って開発されたモデルであり、現地生産されるホンダ「ハイネスCB350」が、日本では「GB350」として発売されています。
「GB350」の車重は180kgで、燃料タンクもエンジンもボリューム感があり、350ccクラスのイメージより大きく見える、見せている、というのも特徴かもしれません。また、シーソー式のシフトペダルはインドの履き物事情(サンダル系が多い?)にまで留意してのことでしょうか。
日本的目線で見れば、ネオクラシック系モデルとして注目を集め、排気量348cc空冷単気筒の新規開発モデルなんて、このご時世貴重です。そのエンジンは最高出力15kW/5000rpmと最大トルク29N.m/3000rpmを生み出し、低回転領域でパワーを出すような設定も特徴です。ギアリングもハイギアード。低いエンジン回転領域で走ると心地よい印象です。
もはや空冷フィンもデザイン造形の一部となるブラック仕上げのエンジンは排気量348ccの空冷直立単気筒OHC
気になる燃費スペックは、60km/h定地燃費値(2名乗車時)が49.5km/lで、WMTCモード値(クラス2-1)は41.0km/lとなっています。ほぼ同等排気量の空冷単気筒モデル、ヤマハ「SR400」では、60km/h定地燃費値(2名乗車時)が40.7km/lと「GB350」が圧勝。WMTCモード値はテスト計測時の速度がクラス違い(クラス2-2)で一部異なるため、直接比較にはなりません。
さて、実際にthe「燃費」ルートではどうなのでしょうか。
the「燃費」では市街地、高速道路、快走路(ツーリング路)という異なる3タイプの走行シーンを走り、燃費を計測します。記事中に表記される距離、燃費値は車両に備わるトリップメーター、平均燃費計からの情報です。また、the「燃費」では毎回同じルートを走ることで、過去記事にある様々なモデルと燃費の比較もできるよう展開しています。しかし、燃費は走り方、天候(向かい風、追い風、暑い、寒い)、交通状況などで変化します。the「燃費」では、走行ペースは流れに合わせ、燃費記録を狙ったエコランはしていません。
■小気味よいエンジン、信号待ちの影響をモロに受ける
the「燃費」の市街地計測は、東京都内外苑周辺をスタートし、青山一丁目交差点から国道246号で皇居方向へ。丸の内のオフィス街を走り、銀座、晴海と抜け首都高湾岸線沿いを走る国道357号の東雲付近までを走行します。
いざ、ツーリング燃費の計測へ。都内にある石畳のブティック通りからスタート
片側3車線の道が多く、交差点には右折信号もあり、一度赤信号で停止すると待ち時間は長く、流れの良い時と悪い時で燃費にも差が出る傾向があります。今回は交通量、信号待ち、ともに多めでした。
市街地での「GB350」は“トトトト……”と小気味よい排気音が聞こえ、早めのシフトアップ、その領域を楽しみたい特性に誘われるように低い回転域を使って走ります。これは生まれ持ってのエコラン体質のバイクであり、停止時間が多くアイドリングで消費したガソリンは少なくなさそうです。市街地を12.2km走行し、燃費は32.2km/lでした。
参考まで、別日に同ルートを11km走ったところ、計測日より流れが良かったため平均燃費は35.5km/lを示していました。
■向かい風、登り坂、限られたパワー、シフトチェンジ多めの移動に
the「燃費」の高速道路計測は、アクア連絡道「袖ケ浦IC」から館山道「富浦IC」まで。そして快走路での燃費計測を終えた地点でもある館山道「富津中央IC」からアクア連絡道「木更津金田IC」までの2区間で計測しています。
東京都内から千葉県木更津エリアへ移動し、高速道路燃費を計測
アクア連絡道は制限速度80km/h、館山道は往路では100km/hから80km/h、70km/hと制限速度が変化し、最終的には対向2車線となります。復路は館山道の100km/h制限の区間のみを走ります。館山道はアップダウンが連続し、アクア連絡道は比較的平坦路です。
テスト日には向かい風が強いこともあり「GB350」のパワーとハイギアードな設定により、5速100km/hを維持出来ず、ジワジワ車速が下がることに。しかし、4速を使えば速度維持は楽でした。5速から4速、また5速というパターンを繰り返しての移動になりました。
結果、平均34.7km/lでした。区間別では往路が33.6km/l、復路が35.9km/lだったことから、向かい風、追い風、アップダウン区間が長い往路と距離が、短い復路で違いが出たとも言えそうです。
■どの速度域でも退屈しない、しかも燃費が良い!
快走路計測は、房総半島南部を巡る3区間で計測しています。区間1は、往路の高速道路計測を終えた「富浦IC」近くのコンビニからスタートし、内陸を通る「安房グリーンライン」を使い、房総半島の南端エリアまでの21.8km。区間2は房総半島南端エリアから国道410号、県道34号を経て鴨川市にある「大山千枚田」までの38.6km。最終の区間3は「大山千枚田」から県道34号、「紅葉ロード」を経て館山道「富津中央IC」までの25.6kmです。
実際の燃費はどうなのか? ホンダ「GB350」(2021年型)を走らせる筆者(松井勉)
区間2で走る太平洋沿いの道を除けば、その多くがアップダウンとワインディングが連続する格好のツーリングルートです。快走路区間を走行中、「GB350」だと車の後ろで流れに合わせても、1台でフリーに走っても、どの速度域でも退屈することがありません。
結果は区間1が42.6km/l、区間2が44.6km/l、そして最終区間3で48.3km/lをマーク。気持ち良く走って350ccクラスのバイクでこの結果に、正直驚きました。「GB350」を預かっている間に数回給油をしましたが、満タンにすると航続可能距離がいつも600kmあたりを示すのも納得。燃費の良いバイクです。
■新たな魅力発見、燃費でも選べるバイク
全区間の燃費を足して3で割ると37.3km/lとなり「まあ、こんなもんか」ですが、一般道のツーリング主体であれば40km/l台キープは簡単でしょう。燃料はレギュラー。旅のコストはお安く、というのもインド流でしょうか。燃費的には嬉しいバイクです。
ホンダ「GB350」(2021年型)の販売価格(消費税10%込み)は55万円、シンプルな車体構成もあって250ccクラスの価格帯に
■ホンダ「GB350」(2021年型)燃費結果
総合評価:☆☆☆☆★(ホシ4つ)
総走行距離:176.5km
市街地:32.2km/l
高速道路:34.7km/l
快走路:45.1km/l
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