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バイク乗りには恐怖!? タイヤのグリップを奪う道路表面の縦や横の溝の存在理由とは

バイクのニュース / 2021年8月17日 13時0分

峠道などを走っていると、突然現れる道路表面の細かな縦溝や横溝。バイクで走っていると、タイヤのグリップが不安定になり、ハンドルから嫌な感触が伝わってくるなど、冷や汗をかいた経験はありませんか。この道路の表面に細かく刻まれた溝には、どんな役割があるのでしょうか。

■道路表面の縦や横の溝はなんのためにあるの?

 バイクで峠道などを走っていると、度々恐怖を感じさせられる、道路の表面に刻まれた細い溝。ライディング中のタイヤを不安定な状況にするなど、バイクの運転を邪魔しているようにも感じられる道路表面の溝には、どんな役割やメリットがあるのでしょうか。

 アスファルトに刻まれた細かな溝は「グルービング工法」と呼ばれるもので、簡単に説明すると道路表面に刻まれた細かな排水溝です。道路の水はけを良くして、走行するクルマなどがスリップしないよう助ける役割を持っています。

 細かな溝を道路表面に刻むグルービングには、他にどんなメリットがあるのかというと、カーブではタイヤのグリップ力を高め、直線道路では横風への抵抗をもたせてスリップ事故の防止に役立つとされています。さらに、雪などで凍結した路面では、溝が氷を分断して氷や雪を排除する効果があると、されています。

 そんなグルービング工法にはいくつか種類があります。進行方向と同じ、縦に刻まれた溝は「縦型安全溝」。一方の、進行方向に対して横に刻まれた溝は「横型安全溝」と呼ばれています。溝の深さも「6mmパターン」のものと「9mmパターン」のものに分けられ、それ以外にも「幅広」、「排水溝」と名称がつくものなど、目的に合わせて使い分けられています。

 さらに、縦型安全溝と横型安全溝の2種類を組み合わせた網目状の「グレードアップグルービング」と呼ばれる工法も存在します。

それぞれ役割には多少の違いがあり、縦型安全溝はコーナリング時のクルマの安定性や雨天時のスリップ事故の防止、橋の上など、横風の影響を受けやすい場所を走るクルマを安定させたり、凍結路面で氷を分断し、雪や氷の排水に役立つとされています。加えて、縦型安全溝を峠道のカーブに施工することで、危険なドリフト走行の抑止にもつながっているようです。

 横型安全溝は、濡れた道路を時速50kmで走行した際に、制動距離が30%から40%短縮され、急ブレーキ使用時のタイヤのグリップ力を高める役割があります。また、タイヤから伝わる音と振動で居眠り防止にも効果があるほか、縦型安全溝と同様に、雨天時の水の排水や凍結路面でのスリップ事故の防止に効果があるとされています。

 ちなみに、横型安全溝は縦型安全溝に比べて、騒音と振動の軽減に効果があるとされており、住宅街の道路にも施工されることがある点も特徴のひとつですそして縦溝と横溝を組み合わせたグレードアップグルービングは、車道だけではなく、商店街の歩道にも施されることが多く、タイル貼りのようなお洒落な見た目が、一際目を引きます。

■溝の上をバイクでとおる際の注意点

 良いこと尽くしのようなグルービングですが、クルマや歩行者には役立つものの、バイクの運転には逆効果となることもあるようです。

グルービングの溝の影響を受けやすいとされるのがオフロードバイクです

 バイクの運転に慣れている人であれば心配はありませんが、慣れていない人は、タイヤのグリップが不安定になり、転倒の恐れがある為、気を付けて運転する必要があります。とくにバイクの種類のなかでグルービングの溝の影響を受けやすいとされるのが、細いブロックタイヤを装着するオフロードバイクとされています。舗装道路では、オンロードタイヤよりグリップ力が少ないとされるブロックタイヤを履いている場合には、とくに注意するようにしましょう。

 雨天時には排水効果があるとはいえ、多くのバイク乗りは、グルーピングは不要と感じているでしょう。実際に山形県の県民からは、「バイクのタイヤが取られるからグルービング工法をやめてほしい」という意見も挙げられたそうですが、県からの回答は「看板等による注意喚起や舗装打替え時に溝の位置を工夫するなどの対策を随時行ってまいります。…中略…スピードを抑えて安全な走行をお願いします」というものでした。

グルービングの溝の上を安全に走行するときは、雨の時のように走行しましょう

 そこで、運転に慣れていないバイク乗りがグルービングの溝の上を安全に走行するためにできることは、溝の上を通過するときは天候に関係なく、雨の日と同じような感覚で注意深く運転することです。とくに、バイクの運転に影響がでやすいのは、縦型安全溝が施工された道路であるため、慣れていない人は、溝の手前で速度を落としてから溝のある道路に入り、タイヤのグリップが不安定になっても、パニックを起こさず、落ち着いて運転をするようにしましょう。

 そしてカーブを通過する際は、車体のバンク角を浅めにしたうえで、ハンドル操作をメインにすると、安定して曲がることができます。直線であっても、ニーグリップをしたうえでバイクの重心を中央に集め、フラフラしないようにまっすぐ走り抜けるのが良いでしょう。

 その際に速度が遅くなっても気にしないことが、何より大切。後続車やグループツーリング中であっても、自分自身が落ち着いて曲がれる速度、走れる速度で運転することが大切です。

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