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新聞や郵便配達のバイクはなぜスーパーカブなのか?その理由を徹底解説

バイクのニュース / 2021年8月27日 9時0分

新聞や郵便配達のバイクには、ホンダ「スーパーカブ」が採用されていることがほとんどです。いったい、なぜなのでしょうか。

■新聞や郵便配達のバイクにスーパーカブが多い理由とは?

 郵便や新聞配達用のバイクに、スーパーカブが使われる理由として、大きく3つが考えられます。それは、「燃費のよさ」、「丈夫さ」、「使い勝手のよさ」です。

 まず、スーパーカブの燃費は、非常に優れています。現行モデルでは、配達業務向けのスーパーカブ50プロの燃料消費率は93.0km/L(30km/h定地燃費値)、スーパーカブ110プロの燃料消費率が65.0km/L(60km/h定地燃費値)となっており、かなりの低燃費。

 例えば、ヤマハ「ギア」は、排気量50ccで燃料消費率が66.9km/L(30km/h定地燃費値)なので、その違いは明らかでしょう。

 配達業務は毎日おこなわれるだけでなく、新聞配達も郵便配達も、全国で使われているバイクの台数を考えれば、相当な台数になります。そのため、少しでも経済性のよいバイクを選ぶことは、配達業務にあたる企業にとっては当然のことです。

 次に、丈夫さが挙げられます。スーパーカブの耐久性は、世界的に評価されています。「スーパーカブはエンジンオイルがなくても走行できる」などといった噂を聞いたことがある人も、多いのではないでしょうか。これは、もちろん都市伝説のようなもので、実際にエンジンオイルを入れずに走行することはできませんが、こういった噂話が実しやかに広まるほど、スーパーカブのエンジンが、丈夫だということです。

燃費の良いエンジンは、スーパーカブの代名詞です

 頻繁にメンテナンスが必要になるバイクでは、配達に支障が出てしまいます。また、発進と停止を繰り返す配達業務は、エンジンにも負担がかかるため、耐久性に優れていることは、配達に使われるバイクの必須条件です。

 3つ目の理由は、使い勝手のよさです。スーパーカブは、マニュアルトランスミッションではありますが、左手のクラッチ操作が必要ありません。

クラッチは自動化され、左手が自由に使えるために配達時には大きなメリットとなります

 クラッチは自動化されており、左足の操作だけで変速が可能。そのため、左手が自由に使えるというのが、配達時には大きなメリットとなるのです。左手で郵便物を持ちながら、スーパーカブを運転し、郵便受けに郵便物を入れていくという姿を見かけることも多いでしょう。

 ちなみにスクーターでは、フロントブレーキを右手、リアブレーキを左手で操作するため、左手は常にハンドルを握っている必要があります。これが、スクーターが普及しても今なお、配達にはスーパーカブが利用されている理由のひとつです。

ホンダのBENLY e:(ベンリィ イー)

 一方で、近年は配達にスーパーカブを採用する企業が減ってきているのも事実です。郵便配達には、電動二輪車の利用が始まり、東京を皮切りに、2020年1月からホンダのBENLY e:(ベンリィ イー)が導入されています。

 ベンリィeはスクータータイプですが、配達用のモデルにはフットブレーキが採用されていて、スーパーカブと同様に、左手が自由になるメリットが保たれているのです。

 また、電動車はバッテリーの充電が課題となりますが、ベンリィeは着脱式のバッテリーが搭載されているので、充電時間を無駄にすることなく、車両を活用することができます。

■スーパーカブ誕生の歴史とは

 長期に渡り配達で活用されててきたスーパーカブですが、どのような社会背景のなかで誕生したのでしょうか。

ホンダ「スーパーカブC100(1958)」

 スーパーカブが誕生したのは1958年(昭和33年)。第二次世界大戦後の高度経済成長期が始まったばかりの頃です。当時の日本は、まだ道路の整備も進んでおらず、悪路ばかりでした。そうした悪路でも乗りやすく、丈夫で、女性でも乗りたくなるようなデザイン性の高いバイクを求めて、ホンダは開発を進めたといいます。

 また、「そば屋さんの出前持ちが、片手で運転できる」バイクという目標も掲げられていました。

 そば屋の出前は当時、そばを何段にもして肩に担ぎ、片手でそれを支えながら、自転車をこいで配達をしていました。そんな出前で使えるバイクにするためには、左手のクラッチレバーを取り払い、右手と左足でギアチェンジをできるようにしなくてはなりません。そこで開発されたのが、自動遠心クラッチでした。

 ホンダが創業したのは1948年なので、スーパーカブは、まだ若いホンダが総力をあげて開発をした車両といえます。それまでは、50ccの2ストロークエンジンで1馬力だったものを、50ccの4ストロークエンジンで4馬力という世界初の試みも完成させました。このエンジンが、悪路の多い道路や低速でも操作しやすい、安定した動力を生み出したのです。

エンジンをむき出しにせず、細身で跨ぎやすいデザインを採用したスーパーカブ

 デザイン性においても、エンジンをむき出しにせず、細身で跨ぎやすいデザインとしました。当時のバイクはエンジンがむき出しで、音も大きく、女性からは敬遠される乗り物でしたが、後ろに足をあげなくても前から跨ぐように乗ることができるようにしたことで、スカートをはいた女性でもバイクに乗れるようになったのです。

 このスタイルの発明により、女性にも親しまれ、マーケットが大きく広がったといえます。

※ ※ ※

 なお、スーパーカブの開発に費やされた時間は1年8か月といわれていますが、その年月を使って、耐久性、使いやすさ、走行性、乗りやすさなど、あらゆる点が考慮された商品であることが理解して頂けたのではないでしょうか。

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