1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

電動3輪スクーター「ジャイロ e:」 ホンダの電動バイクに可能性を感じられる存在だった!?

バイクのニュース / 2021年9月26日 11時0分

ホンダの電動3輪スクーター「GYRO e:(ジャイロ・イー)」は、現在は法人向けに販売される電動バイクです。しかし走らせる中で、ビジネスバイクから展開していくホンダの電動バイクの可能性を感じられるものでした。

■スロットルの最初のタッチに感じるフレンドリーさ

 これまでにいくつかの電動バイクを走らせる機会に恵まれた筆者(伊藤英里)ですが、今回対面したのは外見からしてひと味違った電動バイク、ホンダの「GYRO e:(ジャイロ・イー)」です。後輪が2輪という電動3輪スクーターで、後部には大きな荷台(低床リアデッキ)が備えられています。

「ジャイロ e:」は定格出力が0.58kWなので原付1種に分類され、普通自動車免許で運転可能です。しかし販売は法人向けなので(バッテリーリサイクルの社会的責任の視点から)、一般ユーザーが購入して楽しむというバイクではなく、ビジネス用の電動バイクになります。

 スペック表上の最高出力は3.2kW(4.4PS)/5,800rpmです。着脱可能なバッテリーを2個搭載し、充電はバッテリーを取り外して専用充電器に接続します。一般家庭が備える100Vコンセントで充電が可能で、バッテリー残量ゼロから満充電まで約4時間となっています。

「おや?」スロットルを回したとき、その扱いやすさに驚きました。電動バイクはトルクの出方が内燃機関のバイクとは異なっており、スロットルを回せばゼロから一気にトルクが出る特性を持っています。しかし、この「ジャイロ e:」はパワーユニットコントロールによって、そのトルクの出方がとてもマイルドなのです。アクセルを回したときのドン突き感が、限りなくスムーズになっています。これと同じ感覚を、以前「PCX ELECTRIC」に乗ったときにも感じたことを覚えています。

シート下にリチウムイオンバッテリー(Honda Mobile Power Pack)を2個搭載

 電動バイクのトルク特性は感じるものの、発進時に怖さや操作に不安を覚えることのないスムーズさ、親しみやすさにフォーカスされている電動バイク……そこはホンダの電動バイクとして共通する特長だと感じました。

「ジャイロ e:」の主な用途がビジネスユースであることを考えれば、乗りやすさは歓迎されてしかるべきもの。操作の難しさ、不安の無さは安全運転にもつながります。実際、走らせていて発進時にそうした不安を感じることはありませんでした。

■音の静かさで存在が希薄に……

 電動バイクの特徴として、走行中の音の静かさがあります。もちろん「ジャイロ e:」も非常に静かです。ライダー本人にも走行音がほとんど聞こえません。これは歩行者や自転車、クルマに音で気づいてもらうことは難しいでしょう。

後方が2輪で荷台があるため走行中は後ろに重さを感じる。また、右左折時のバランスが2輪とは異なるが、すぐに慣れる程度の違和感

 たとえば早朝、深夜に住宅街などを移動する際、この静かさはメリットでしょう。ただ、“気付かれづらい”ことはデメリットです。東京都内の交通量多めの道路の走行ではほぼ左車線の走行だったのですが、前を走る自転車に“どうやって気付いてもらうか”と苦心することになりました。

 このため、内燃機関のスクーターよりも、車線変更が多かったように思います。また、一方通行のような狭い路地では歩行者、右左折のために脇道から出てくるクルマにも非常に気を遣いました。「音なく走るのはこれほど緊張するのか!」と感じたほどです。

 余談ですが、走行中に日本郵便の「ベンリィ e:」(法人向け電動スクーター)が後方を走るシーンがありました。しかし、サイドミラーを見るまで、筆者はその存在に気付きませんでした。

 電動バイクの場合、前方を歩く歩行者、前方のクルマやバイクは、こちらの存在を認識しづらい“気付かない側”としても実感した出来事です。双方の安全のためにも、この部分は今後の電動バイク全体の課題になるのではないでしょうか。

■航続距離はやや短め、けれど最後までパワーは維持

 気になるのは電費です。スペック表上の航続距離は、72km(30km/h定地走行テスト値)となっていますが、現実的にそこまでの航続距離は難しいようです。今回はバッテリー満充電の状態から都内の幹線道路、一方通行の狭い路地などを走り、走行距離34kmでバッテリー残量は8パーセントでした。とくに、このバイクの場合は荷台に荷物を積むことも多いでしょうから、そうなればさらに電費は悪くなるでしょう。

充電は専用充電器で行なう。100Vコンセントを使用するので特別な電気工事などは不要

 さらに、バッテリー残量が20パーセントを切ると、消費量も多くなる印象です。現実的にはバッテリー残量20から30パーセント付近で充電、または交換した方がよさそうです。

 ただ、バッテリー残量が10パーセントを切っても、しっかりと加速する点は安全性という面で安心できました。もちろん加速の度合いは鈍くなるのですが、原付1種の法定速度30km/hを考えれば、それほど問題はないでしょう。

 現在では「ジャイロ e:」も「ベンリィ e:」も、法人向けの販売です。「電動バイク」としての課題を感じるところはあるものの、ホンダの電動バイクとしての可能性と特長を感じることができる電動3輪スクーターでした。今後、さらに展開されていくだろうホンダの電動バイクを、期待を持って待ちたいところです。

※ ※ ※

「ジャイロ e:」の価格(消費税10%込み)は55万円です。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング