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道路の白線、なぜ濡れると滑りやすくなるのか?

バイクのニュース / 2022年6月17日 9時0分

道路にはさまざまな線が引かれていますが、中でも目にする機会が多いのは、白線と言えるかもしれません。しかしこの白線は、雨などで濡れると滑りやすくなるため、ライダーにとっては避けたい場所です。そもそも、道路の白線はなぜ濡れると滑りやすくなるのでしょうか。

■道路の白線が濡れると滑りやすくなる理由って?

 雨で濡れた路面はスリップの危険性が高まりますが、中でも滑りやすい場所のひとつに、道路上に引かれた白線が挙げられます。交差点に引かれている横断歩道の白線など、道路上にはさまざまな場所に白線が引かれていますが、すべての白線を避けるのは至難の業といえます。

 では、道路の白線が濡れるとなぜ滑りやすくなるのでしょうか。

道路上に引かれた白線(横断歩道)などは、雨に濡れるとスリップの危険性が高まります道路上に引かれた白線(横断歩道)などは、雨に濡れるとスリップの危険性が高まります

 そもそも、路面の交通標識のために道路に塗装されている白線には、JIS(日本産業規格)で定められた「K5665」という塗料が使われています。これは路面表示専用の塗料で「トラフィックペイント」と呼ばれており、通常のアスファルトに比べて表面が非常に滑らかになる性質があります。そのため、道路上の白線が滑りやすくなっている理由には、使われている塗料が関係しているのです。

 このトラフィックペイントに求められる性能として、耐摩耗性や反射輝度などが挙げられます。そのなかで、濡れた状態での滑りにくさを表したのが滑り抵抗値(BPN値)です。これは、試験機器で測定し数値化したもので、数字の値が大きくなるほど滑りにくいと判断されます。濡れた路面の場合、40BPN以上が安全なレベルとされています。

 路面標示用塗料メーカー団体である路面標示材協会によると、一般的なアスファルトの濡れた状態での滑り抵抗値は40から70BPNと報告されていますが、トラフィックペイントは40から50BPNとなっています。

トラフィックペイントの塗料は非常に耐水性に優れており、アスファルトに比べて吸水性に乏しく水はけがよくありませんトラフィックペイントの塗料は非常に耐水性に優れており、アスファルトに比べて吸水性に乏しく水はけがよくありません

 この数値からもわかるように、雨で濡れた状態では、白線はアスファルトよりも滑りやすいといえます。また、トラフィックペイントの塗料は非常に耐水性に優れており、アスファルトに比べて吸水性に乏しく水はけがよくありません。そのため、雨が降ると横断歩道の白線の上に水の膜ができ、通過しようとするとハンドルやブレーキがコントロールできなくなる、ハイドロプレーニング現象が起こる危険性があります。

 特に雨の降りはじめは、路面上にある小さな泥や油分、ホコリなどが浮いて滑りやすくなるので注意が必要です。また、トラフィックペイントは一般のペンキとは異なり、クルマのタイヤなどによる摩擦に耐えうるよう、速乾性と弾性、耐摩耗性に優れています。加えて、運転者や歩行者の安全を守るため、他にもさまざまな工夫が施されています。

道路上の白線には視野性を高めるため、「ガラスビーズ」などが含まれている道路上の白線には視野性を高めるため、「ガラスビーズ」などが含まれている

 まず、道路上の白線には視野性を高めるため、「ガラスビーズ」という細かいガラスの粒が材料に含まれています。このガラスビーズは、光を当てるとそのままの角度で強く反射する特徴があります。バイクやクルマのヘッドライトの光が横断歩道に当たるとキラキラと反射するため、運転手が横断歩道の存在に気づきやすくなっているのです。

 道路上の白線の材料はガラスビーズのほかに、砂などの骨材や石油樹脂、着色顔料などを混ぜたものが主原料となっています。ガラスビーズは数が多いほど光を反射するため、道路上に白線を引いたあとの乾く前に、ビーズを線の上からふりかけて反射を強めていることが多いようです。

 このように、材質や雨水の影響などで滑りやすい白線ですが、滑りにくくするため対策や改善はおこなわれているのでしょうか。

 この問題は以前から課題となっており、対策として摩擦係数を高めるために塗装の表面に凹凸を施すなどの工夫がされてきました。しかし、凹凸を持たせると表面が削られやすく劣化が早まるほか、JIS規格から外れてしまう可能性もあるため簡単に変更できないようです。

 そんななか、滑りにくいトラフィックペイントのひとつに、細いスジ(グルービング)が入ったものがあります。これは、アトミクス社の「レインフラッシュグルービー」という商品で、通常のガラスビーズのほかに反射輝度を高めるため、専用の高輝度のガラスビーズを塗料の上に散布し、夜間の視野性を向上させています。また、スジが入ることで、同社の従来品よりも滑り抵抗値が縦・横方向それぞれ15BPN前後向上しているようです。

 スジが入ったもの以外に実用化されているものは、横断歩道用のものだけでも8種類あり、ガラスビーズを大粒にして凹凸を持たせたり、凹凸をタイル状にしたものなどがあります。

降雨時の踏切内は、白線の他にもレールなど滑りやすい場所が多数あります降雨時の踏切内は、白線の他にもレールなど滑りやすい場所が多数あります

 ちなみに白線以外にも、道路上には雨で濡れると滑りやすい場所があります。まずマンホールの蓋は、雨で濡れると特に滑りやすくなるため、できるだけ雨の日は蓋の上を通過しないように注意する必要があります。マンホールの蓋は昼間は見つけやすいですが、夜間や早朝・夕方の薄暗い時間帯は見つけづらくなるため、速度を落として慎重に走行することが大切です。

 ほかにも、橋や高速道路の継ぎ目、工事用の鉄板もマンホールの蓋と同様に鉄でできているため、濡れると滑りやすい場所といえます。また、道路の側溝やアンダーパスなどに設置されているグレーチングと呼ばれるメッシュ状の排水溝の蓋も、濡れると非常に滑りやすく注意が必要です。

 道路上に設置されているもの以外では、特に秋になると多くなる落ち葉も濡れると滑りやすくなります。山間部をはじめ、街中で街路樹がある道路を走行するときは細心の注意を払う必要があります。

 二輪で走行するバイクはクルマと比べても特にスリップしやすく、転倒や事故につながる恐れがあるので、雨の日は運転により一層の注意が求められそうです。

※ ※ ※ 

 横断歩道などに引かれている白線は、雨で濡れると滑りやすいことが数値上でも明らかになっています。摩擦抵抗を高めるため、表面を滑りにくくする加工などの対策がおこなわれていますが、十分に改善されていないのが現状です。

 雨の日に、バイクで横断歩道の上を通過するときは、速度を控えて慎重に走行することが大切といえます。

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