高速道路でのタンデム走行…何か条件はあるのか?
バイクのニュース / 2022年7月15日 9時0分
高速道路を走行していると、度々ふたり乗り(以下、タンデム走行)で走行しているバイクを目にすることがあります。では、高速道路をタンデム走行するにあたって、どういった条件・ルールが 定められているのでしょうか。
■高速道路をタンデム走行するにあたっての条件やルールとは
高速道路でのバイクのタンデム走行は、現在認められていますが、以前は禁止されていました。しかし、2005年の道路交通法改正によって、高速道路でのタンデム走行が条件つきで解禁されています。
では、高速道路をタンデム走行するにあたって、どういった条件・ルールが 定められているのでしょうか。
高速道路でのタンデム走行
まず、一般道でのタンデム走行は、二輪免許を取得してから通算で1年以上経過していなければなりません。この二輪免許とは小型限定免許を含む、普通二輪免許と大型二輪免許のことを指します。
さらに、排気量が50cc超え、かつ乗車定員が2名のバイクである必要があり、50cc以下の原付バイク(原付一種)および原付免許でのタンデム走行は、いかなる理由があっても禁止されています。このように、免許取得後に一定の期間を設けている理由には、タンデム走行によるバイクにかかる負荷が大きくなるからだと考えられます。
クルマでは乗車人数が1人増えたところで、走行性能にあまり大きな変化はありません。しかし、二輪で走るバイクはタンデム走行になると、加速が鈍り制動距離も伸びるうえ、カーブでの安定性も低下します。つまり、1名乗車時よりもライダーに高いスキルが求められるため、経験を積んでテクニックを磨く必要があるのが理由として考えられそうです。
高速道路でのタンデム走行を行うには、免許取得後に一定の期間や年齢制限が設けられています
また、より速度が上がる高速道路でのタンデム走行には、一般道よりもさらに厳しい条件をクリアする必要があります。高速道路でのタンデム走行には年齢制限が設けられ、運転者の年齢が20歳以上でなければなりません。加えて、普通二輪免許または大型二輪免許を取得してから、通算して3年以上経過している必要があります。
例えば、16歳で二輪免許を取得して3年経過しても、高速道路でタンデム走行をすることはできません。
同乗者が座れるシートと安全につかめるグラブバーまたはベルトが装備されている必要があります
さらに、排気量が125cc超で乗車定員が2名と定められているバイクに限るほか、車両後方には、同乗者が座れるシートと安全につかめるグラブバーまたはベルトがあり、足を乗せるステップを装備した車両であることも条件です。
タンデム走行時、同乗者の免許の有無や年齢制限はありません。しかし、同乗者は安全のためステップに足をのせて乗車しなければならないため、身体が小さくステップに足が届かない幼児は同乗できないことになります。また、子どもが小さいからといってステップボードに乗せたり、おんぶや抱っこでのタンデム走行も禁止されています。
もし、免許取得から3年未満または20歳以下でタンデム走行をすると「大型自動二輪車等乗車法違反」が適用され、反則金1万2000円と違反点数2点が科せられることになります。
ちなみに、バイクの免許を取得すると、免許証の裏面の備考欄に取得日が記載されます。これは、タンデム走行がいつから可能になるか判断するためのようです。免許取得後から3年間は取得日が記載されますが、次の更新手続きをすると裏面の記載はなくなります。
タンデム走行は首都高速の一部の区間で禁止されています
なお、現在は全国のほとんどの高速道路で、バイクのタンデム走行が可能ですが、国内では首都高速の一部の区間だけ禁止されています。中央環状線の内側が禁止されている区間で、2人乗り禁止区間には「大型自動二輪車及び普通自動二輪車二人乗り通行禁止」の道路標識があり、タンデム走行で利用の際は注意が必要です。
では、なぜ首都高速の一部の区間だけ、タンデム走行が禁止されているのでしょうか。
首都高速は、都市部の限られたスペースを利用してつくられた道路のため、急なカーブや路肩の幅員が狭い箇所がとても多い道路です。連続する急カーブのほか、狭くて合流の多い首都高速では、バランスを崩しやすいタンデム走行はきわめて危険だと判断されたため、禁止区間が設けられています。ちなみに、側車付き自動二輪車(サイドカー)は、二人乗り禁止区間であっても走行が認められています。
高速道路でのタンデム走行は、道路が広く信号も無いため快適な走りを楽しみやすい一方、一般道よりもスピードが出る上に不安定なため、常に危険と隣り合わせといえます。
そんなタンデム走行を安全に楽しむためには、いくつか抑えておくべきポイントがあります。
タンデム走行中は、普段着よりも専用のウェアやプロテクターを着用すると、転倒などのアクシデントの時にケガを負うリスクを軽減できます
まず、バイクはクルマのように車体に身体が守られていないため、万が一に備えて、なるべく肌の露出の少ない服装を心がける必要があります。できれば、普段着よりも専用のウェアやプロテクターを着用すると、転倒などのアクシデントの時にケガを負うリスクを軽減できます。
また、転倒時に手を地面につけてケガをする恐れがあるため、グローブを必ず着用し、足元は動きやすい靴で、くるぶしまで隠れるブーツがあればより安全です。
ヘルメットは同乗者にも着用が義務づけられています。ハーフキャップのヘルメットは、顔の露出が多くなるので安全とはいえません。頭部をしっかり守るためにも、耳まで完全に覆うことのできる、ジェット型やフルフェイスのヘルメットが安心です。また、サイズは頭に合ったものを選び、あご紐をしっかり締めるのもポイントです。
そしてタンデム走行時は、1人で乗るときよりも、同乗者を意識した安全運転を心がけることが大切になります。また、同乗者も運転者の操作の邪魔にならないように配慮し、一体感を意識することで快適なタンデム走行が実現できるといえそうです。
※ ※ ※
高速道路でタンデム走行をするには、1人で乗るときよりも高い技術が必要です。そのため、一般道でのタンデム走行の条件よりも厳しいものになっています。
バイクの後ろには、家族や友人など大切な人を乗せるライダーも多いはずです。同乗者の命を預かっているということを忘れずに、安全運転を心がけることが何よりも大切といえます。
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