ホンダ「スーパーカブ110」がモデルチェンジ 上質な走りと伝統のスタイル、充実感に満ちた存在へと進化していた
バイクのニュース / 2022年8月6日 11時0分
2009年に新登場となったホンダの原付2種ビジネスモデル「スーパーカブ110」が、2022年のモデルチェンジで新エンジンを搭載し、前後キャストホイール、前輪にディスクブレーキが装備されるなど大きく進化しました。乗り味はどうなのでしょうか。試乗しました。
■すっかり上質に、充実感も増して進化
2022年にモデルチェンジとなった、新しいホンダ「スーパーカブ110」に乗りました。印象を一言で表現すれば、スイートです。上質な乗り物に進化していたのです。ハンドルバーと、LEDを使った丸いヘッドライトを包み込むカバー、雨の中を走ったり、水たまりを通過しても飛沫でライダーの足元が汚れにくいレッグシールド、車体の中心にある燃料タンクの給油口を覆うカバーの役目も果たすシート、そして大型のラゲッジキャリアなど、キープコンセプトのスタイルはホンダ伝統のスーパーカブ、そのものです。
ホンダ「スーパーカブ110」(2022年型)に試乗する筆者(松井勉)
識別点として解りやすいのは、新型はアルミキャストホイールと、フロントブレーキをドラム式からディスク式に変更されたこと。そしてフロントに作用するABSも搭載されました。
また、レッグシールドに隠れてのぞき込まないと見えませんが、エンジンもボア×ストローク比やミッションレシオを変更した新型に変更されています。5.9kW/7500rpmの最高出力、8.8N.m/5500rpmという最大トルク値などスペックは不変なものの、これまで50.0mm×55.6mmだったボア×ストロークが新型では47.0mm×63.1mmへ。ピストン径が3mm小径になり、ピストンがシリンダー内を上下に動く距離が7.5mm増えているということ。よりロングストロークなエンジンとなり、圧縮比も9.0から10.0へと上昇しています。
メカニズム的には発進用と変速用のクラッチをふたつ備える他、各部のフリクションロスを低減した高効率に性能を追求したのは従来通り。燃費値も、2人乗りでの60km/h定地走行では先代の62km/lから68km/lへと伸びています。
2022年型でモデルチェンジし、2022年4月14日に発売されたホンダ「スーパーカブ110」カラー:バージンベージュ
で、冒頭でも言いましたが、乗ったらスイート。まるで軽トラのような道具感が魅力だった先代に対し、乗り味は上質。「スーパーカブC125」が持つ“良い物”感すら備わった印象です。まず、エンジンが静かに、そしてスムーズに、微振動も減った印象です。エンジンを始動したときのフィーリングから違います。
発進の時、アクセルを捻った時の力の出方もどこか厚みがあり、C125とまではいきませんが、あのフィーリングに似ています。加速してシフトアップを繰り返し、4速で60km/hになったとき、ここでも先代との余裕の違いを感じます。50km/hから60km/hへ、というような加速も、「排気量が上がった?」というトルク感でバイクにスピードをつけてゆく新型。街での乗り心地もサスペンションの吸収力が上がったように感じるのは、新しく履いたキャストホイールのせいでしょうか。おそらく、鉄製のリムとスポークで構成され、ハブの中心にドラムブレーキがあった先代までのホイールよりも軽いのは間違いありません。
同時に、4速でアクセルを閉じ、走っている速度のまま空走する時に感じる、どこまでも転がる感があります。先代ではエンジンブレーキが“ぐーん”とかかり減速しましたが、新型では弱めのエンジンブレーキにより、下り坂を走るように距離が伸びます。低燃費に一役かっている印象です。
前輪ディスクブレーキを標準装備し、フロントのみに作用するABSを採用
そしてドラムからディスクブレーキになった効果がすぐに解りました。ブレーキレバーを引きはじめ、軽く速度調整をしたい時の制動から、信号で止まるまでの日常のブレーキング、さらに強めにブレーキングが必要な場面など、試乗中、市街地で多くを体験しました。いずれのシーンでも、ドラムブレーキの先代よりも少ない握り込みの力で必要な制動力を達成してくれるので、運転が楽、さらに安心感が広がります。
もうひとつの進化はメーターまわりです。従来イメージのメーターパネル内には、速度、燃料計の他、液晶モニターを備え、そこにギアポジション、時計、トリップメーター、平均燃費計などを表示できる機能が加わったのです。先代はアナログ式の走行距離メーター、速度計、燃料計だけだったので、充実感がマシマシです。
上質な乗り味が感じられる新型。ビジネスバイクでありながら趣味性の魅力も併せ持つ乗り物だと再確認
配達、通勤からレジャーまで。1958年に始まったスーパーカブの歴史は、こうして進化を重ねています。いまはホビー需要が大半ではないでしょうか。自動遠心クラッチと4段ミッションを備え、AT免許で運転が可能とはいえ、エンジンを楽しみ、ライディングしながら流れる風景や風の匂いの変化に気が付く。きっと2メートルに満たない最小回転半径も、見知らぬ道を選ぶ勇気を与えてくれます。
新型「スーパーカブ110」に乗って、あらためて小さいバイクが持つ大きな世界を再確認。乗り物としてオススメです。
※ ※ ※
ホンダ「スーパーカブ110」の価格(消費税10%込み)は30万2500円、カラーバリエーションは取材車両の「バージンベージュ」のほか、「グリントウェーブブルーメタリック」「タスマニアグリーンメタリック」「クラシカルホワイト」「パールフラッシュイエロー」の5色設定です。
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