19歳になった「子ども店長」加藤清史郎が、“一人の俳優”として考えたこと

bizSPA!フレッシュ / 2020年8月6日 15時45分

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19歳になった「子ども店長」加藤清史郎が、“一人の俳優”として考えたこと

 なんと芸能界デビューは1歳のとき! という加藤清史郎さん(19)。現在は大学生となり、すっかりステキな青年になりました。そんな加藤さんの主演最新映画『#ハンド全力』が公開中。熊本の震災をきっかけに大好きだったハンドボールから離れていた高校生が、「頑張っているふり」をしたことから再びハンドボールに向き合っていく青春物語です。

加藤清史郎

主演最新映画『#ハンド全力』が公開中の加藤清史郎さん

 長編映画の公開は2016年以来となる加藤さん(アニメ作品を除く)。その間、高校3年間はイギリスに留学していました。日本に帰り、精力的に俳優活動を再スタートさせている加藤さんに、本作についてだけでなく、留学で学んだことなどを聞きました。

 さらにキャリア十分の加藤さんに「仕事人として大切にしていること」を尋ねると、意外な答えが返ってきました。

◆マサオはTHE普通の高校生で難しかった

加藤清史郎

(C) 2020 『#ハンド全力』 製作委員会

――すごく楽しそうで、本当の高校生の日常を見ているようでした。

加藤清史郎(以下、加藤):楽しさがあふれ出ていたら嬉しいです。撮影自体は去年の春休み期間。本当に学校にいるようでした。キャストの年齢的にはバラバラで、福ちゃん(鈴木福)が僕より3つ年下で、坂東(龍汰)くんは当時22歳でしたが、みんなで和気あいあいと楽しみながら撮影できました。

――熊本復興映画祭がきっかけになった作品で、震災もテーマのひとつになっています。難しさはありませんでしたか?

加藤:マサオは震災をきっかけでハンドボールを嫌いになっていますし、確かに震災を背景に描いていますが、あまり重々しくなっていません。ハンドボールというスポーツやSNSという現代ならではのコンテンツの要素が相まって、すごく素直な青春ストーリーだなという気持ちが強かったので、難しさは感じませんでした。

――「頑張っているふり」をするというマサオの気持ちはすごく共感できました。

加藤:そうですね。脚本を読んだときには、THE普通の高校生だなと思いました。心の奥ではハンドボールが好きなのですが、素直になれない部分も高校生っぽいと思いました。

 でも、だから逆に役作りが難しくてどうしようかなと悩んでいましたが、現場に入ってみんなと一緒にお芝居をしていくうちに見えてきて。マサオは自分から発するのではなくて、相手からもらったものを受けるか、跳ね返すかのお芝居が多く、あとは相手との兼ね合いで作っていくことができました。

◆ひとりの俳優として立てるように

加藤清史郎

――鈴木福さん、蒔田彩珠さんに、そして仲野太賀さん、志田未来さん、安達祐実さんと、世代を超えて、子役出身の方がとても多く出演している作品です。子役出身だからこその仲間意識みたいなものはありますか?

加藤:そういうのはあまりないです。挙げていただいた先輩の仲野さん、志田さん、安達さんは、本当に素敵な俳優さん女優さんで、自分もそうなれるように頑張りたいとは思います。やっぱり僕は「まだ子役と俳優の間」みたいに思われることも多い。

 これからも子役出身という部分を払拭することはできないかもしれませんし、無理に払拭するものでもないと感じます。そことは別に、ひとりの俳優として立てるようになりたいです。特に今回、僕の兄役だった太賀さんは、ご本人もお芝居も本当にステキな方で影響を受けました。

◆頑張れることの素晴らしさに気づいて

加藤清史郎

――よく覚えている出来事などはありますか?

加藤:亡くなったおじいちゃんのお別れ会のシーンがあって、みんなで歌うのですが、マサオが参加したところで脚本は終わっているんです。撮影には実際に仮設住宅に住まわれている方々がエキストラで参加してくださいました。太賀さんのアドリブに次ぐアドリブのおかげで本当に盛り上がって、カットの声も聞こえずに、そのまま続けていたら本編に全部使われていました。

 パワフルにその場を引っ張っていく姿を見て、本当にすごいなと思いましたし、役としてのバランスもすごく上手で心を動かされました。そうしたお芝居ができる俳優さんになりたいと、強く思いました。

――完成した作品に感じたことを教えてください。

加藤:生きているとどうにもならないことにぶち当たることってあると思います。今は特に全世界の人が、どうにもならない状況に置かれてしまっています。その中でも頑張れるってすごいこと。劇中で出てくる僕らの笑顔は偽りのないものです。それは頑張れることの喜びとか素晴らしさに気づけたからかなと思います。

◆イギリスでは劇場での観客の姿勢が違っていた

加藤清史郎

――高校時代の3年間、イギリスに留学していました。将来、役者としてやっていくために演劇を学ぼうと思ったからだと。留学したことで得たことを教えてください。

加藤:まず役者として、個人レッスンも受けましたがアクターズスクールに通えたことはすごく大きかったです。役を作るうえで、今まで自分のなかで曖昧だったことを明確にできました。具体的には「ふりをするな」と言われたんです。その人のふりをするのではなくて、「その人の中に住め」と。その言葉を聞いてすごく腑に落ちました。それからイギリスに行ったのは、ウェストエンドのミュージカルを観たかったからでもあります。実際に観に行ってすごく驚きました。

――驚いた?

加藤:はい。当然、ミュージカルや役者の表現力についても学びましたが、それよりも、観劇している人の意欲の違いに驚いたんです。エンターテインメントが人々の間にすごく根付いている。観劇の仕方も自由で、立ち上がったり叫んだり、カーテンコールでは踊ったり。とにかく自由で積極的なんです。それって作り上げてきた文化の歴史が大きい。博物館や美術館に無料で入れたりといった日常から、文化との距離が変わっていくんだろうと感じました。

◆帰国してから大学進学を決めた理由

加藤清史郎

――役者としてではなく、個人として学んだことはありますか?

加藤:結局、役者業にも繋がるのですが、やっぱり広い世界を見られたと実感しています。たとえば、実際にイギリスに行くまでは、渋谷はグローバルな街だと思っていました。たくさんの外国人の方がいますし。でもイギリスに行ってみて、異文化交流とか異文化理解とか、本当に色んな人がいるということを、頭じゃなくて身体で体感できたんです。

 それに付随して、いろんな知識も得られました。生きていく上でも必要なことですし、役者としても大切だと思うので、本当に行って良かったなと思っています。

――中学生のときに舞台で共演された市川海老蔵さんの言葉に刺激を受けて、役者としてやっていこうと決めたと公言しています。そこからイギリスに留学、さらに現在、大学に進学したのはなぜでしょうか?

加藤:僕と同年代の人でも大学に行かずに役者一本でと決めた人もたくさんいます。そういう人の意思も固くてかっこいいなと思いますが、僕は大学に行くことに決めました。イギリスに留学した理由と同じになりますが、広い世界を知ることでお芝居に繋がることがたくさんあると、僕は思っているんです。直接的ではなくても間接的に。

 僕は大学で芸術系の内容を学んでいます。そうした知識を増やしたうえで演じると、色んなことがまた少し変わるのかなと。だから大学進学も役者として成長できるひとつの過程になると思っています。将来的には役者一本でやっていきたいと思っていますし、そのためにも大学に行っていろいろ学びたいと思ったので進学を決めました。

◆仕事人としての心得は「まだ分からない」

加藤清史郎

――物心つく前からの芸能界デビューで、本当に長いキャリアのある加藤さんですが、仕事人として大切にしていることを教えてください。

加藤:正直なところ、まだ分かっていません。小さい頃からずっと続けてきて、そのときは言ってしまえば趣味のひとつのような感覚でした。中学あたりから、仕事だという意識を持つようにしていかないと、と思っていますが、仕事人としてはまだまだ未熟です。高校はイギリスに行っていて俳優活動もできませんでしたし、何を大切にすべきか、まだ分かっていません。

 ただ、当たり前のことですが、だからこそひとつひとつの役、作品、スタッフさんキャストさんとしっかり向き合って、みんなでひとつのものを作っていくんだという気持ちは、絶対に忘れてはいけないと思っています。

<取材・文・撮影/望月ふみ ヘアメイク/入江美雪希 スタイリング/金順華(SABLE ET PLAGE)>

【望月ふみ】

ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異

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