在宅勤務の新しい装い「テレウェア」は本当に快適か。プロがレビュー
bizSPA!フレッシュ / 2021年1月18日 15時46分

ストレスなく屈伸できた(筆者近影)
すっかり世の中に定着しつつあるテレワーク。出社しない働き方がビジネスマンのライフスタイルを劇的に変えたことは周知のとおりです。最近では紳士服各社が在宅勤務に対応した新時代のビジネスウェアを打ち出し、にわかに注目を集めています。
P.S.FA新宿東口店ではEDWINとコラボしたセットアップ大きく展開していた
コロナ前からビジネスファッションのカジュアル化は進んでいましたが、テレワークの装いとしては少々窮屈かもしれません。とはいえ、寝巻きのような「家着」で仕事をするわけにもいかず……。どんな格好をすればよいのか困っていた若手ビジネスマンも少なくないはず。
のべ4650人を超えるビジネスマンの買い物に同行する服のコンサルタント『真似するだけで印象が劇的によくなる 38歳からのビジネスコーデ図鑑』(日本実業出版社)の著者が「テレウェアの選び方」を紹介します。
◆各メーカーが続々と「在宅用」を発表
まずは各社の「在宅勤務用スーツ」をおさらいしてみようと思います。
紳士服量販店AOKIが開発した「洗える ストレッチ ダンボールニットカーディガンジャケット(通称・パジャマスーツ)」はパジャマ以上、スーツ未満のキャッチフレーズがとても印象的。
触り心地が良く、伸縮性があるので、リラックスして着れそうです。襟のデザインがノーカラー(エリがないデザイン)になっているため、カーディガン感覚でも着られ、これならオンライン会議でも違和感を与えることはないでしょう。
そして、THE SUIT COMPANYは「ブルーパッケージ」というラインナップを販売開始。新感覚のビジネス“リラクシング”ウェアをコンセプトにしています。
なかでも注目は白シャツ。正面からはベーシックな白シャツですが、実は、袖と後ろ身頃をジャージー生地に切り替えたハイブリッドデザインです。“きちんと感”も出しつつ、動きやすさと快適さがあるため、肩肘張らずに仕事に取り組めそうです。
◆豊富なサイズ展開でぴったりのチョイスが可能
多サイズ展開しているので、どんな体型の人でも安心だ(筆写近影)
そんななか「テレウェア」という新ジャンルを提唱し、ジーンズブランドEDWINとコラボした在宅用ビジネスウェアを打ち出したのが、「紳士服のはるやま」が展開するツープライスショップ「P.S.FA」。
今回は実店舗に足を運び、「デニム風セットアップ」を着てみることにしました。
カジュアルな型を採用したAOKIに対して、P.S.FAはドレスライクな型を採用しています。要は、ジャージー感覚の快適な着心地とは裏腹に、エレガントな雰囲気を醸し出してくれる一着。世の中に楽ちんなビジネスウェアは数多くありますが、「きちんとしながらも楽ちん」という新たな切り口です。
コラボによる化学反応は、サイズのバリエーションにも現れています。紳士服メーカーはJIS規格で定められたY体・A体・AB体という表示を使うブランドが多いなか、このセットアップはカジュアルブランドの「S/M/L」サイズ表記と、同時にY体・AB体という2つの基準を用意。つまり同じSサイズでも細身とふっくら体形のどちらにも対応しているということ。
◆オンからオフに切り替えてくれる存在
カジュアルブランドのサイズのみでは、横幅のサイズ感を上げたときに着丈・袖丈が長めに余りがちなので、このサイズバリエーションは嬉しいです。ジャケットのサイズ感は合計8パターンも細分化されているため、自分の体形に合わせたサイズをチョイスしやすいかもしれません。
一方、デニムライクなスラックスもサイズは9段階に分かれています。ご参考までに、身長172センチ・体重66キロの私は、ウエスト82センチのスラックスを、ジャケットはLサイズをピックアップしています。
P.S.FAの親会社である「はるやまホールディングス」の治山正史(はるやままさし)社長は著書で「テレウェアの定義は4種ある」と述べています。その中で私がいちばん共感したポイントは「スイッチウェア」という概念でした。
テレワークの生産性を大きく左右するポイントは仕事モードへの切り替えだと思います。職業柄、カジュアルな格好が多い私でさえも、緊急事態宣言が発令された4~5月に、家着のままパソコンに向かっても、一向に仕事がはかどらなかった苦い記憶があります。
オンからオフへ気持ちを切り替えるため服装、これこそがスイッチウェアの役割です。リラックスしながらもドレスライクという点において、この商品はまさにテレウェアとは何かを体現しているのではないでしょうか。
普段は見えない部分に遊び心が(筆写近影)
ちなみにジャケットの裏ポケットはジーンズのバックポケット型になっていました。普段は見えない部分にもこだわっているところもなかなか粋ですよね。
◆ディッキーズ「ジーンズ」は柔軟性に驚き
最後にカジュアルブランド「ディッキーズ」の別注商品ジーンズも試着してみました。
ストレスなく屈伸できた(筆者近影)
好みは分かれますが、通気性が良く、暑がりの人にはこちらのセットアップのほうが快適に過ごせるかもしれません。その場で軽くストレッチをして、柔軟性も兼ね備えていることもバッチリ確認。長時間の座り作業でも、スーツに「着られている違和感」はなさそうです。
両者に共通することは、その着用感とは裏腹に見た目の印象がスーツそのものなのです。ラクなセットアップはたくさんありますが、「きちんと、楽に」を体現しているのは、紳士服メーカー特有の型紙による成果だと思われます。
状況が読めない今だからこそ、「在宅用」の1着を持っていても損にはならないと思います。スウェットで仕事するよりもきっと捗るはずですよ。
<TEXT/服のコンサルタント 森井良行 取材協力/P.S.FA新宿東口店>
【森井良行】
株式会社エレガントカジュアル代表取締役。’79年 千葉県出身。のべ4600人を超えるビジネスマンの買い物に同行する服のコンサルタント。公式サイト「エレカジ」、著書『真似するだけで印象が劇的によくなる 38歳からのビジネスコーデ図鑑』が発売中。YouTubeは「モテるファッションちゃんねる」
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