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ベテランUberEats配達員がボヤく、汗と涙の日々「オシャレな店はだいたい危ない」

bizSPA!フレッシュ / 2021年6月19日 15時47分

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渡辺雅史氏

 コロナ禍のなか急速に浸透したのが、フードデリバリーサービス。東京では街を歩けば大きなリュックを背負った配達員を見ない日はないほどで、全国的な広がりも見せている。

Uber Eats

画像はイメージです

 今回は本業であるライターの仕事の傍ら、ウーバー配達員として働き、『アラフォーウーバーイーツ配達員ヘロヘロ日記』(ワニブックス)を上梓した渡辺雅史氏にインタビュー。ラジオの放送作家でもある渡辺氏に、ウーバー配達員の実情を聞いた。

◆知らない場所での思わぬ発見も

 2018年からダイエット目的でウーバー配達員として働き始め、現在もWワーク生活を送る渡辺氏。webサイト『ニュースクランチ』(ワニブックス)での連載をまとめた本書では、数々の具体的な配達エピソードとともに奮闘ぶりが語られている。

「私が配達員を始めた頃は、ウーバーイーツもwebメディアで2〜3記事程度取り上げられていたくらいで、サービス提供エリアも港区や渋谷区といった中心部のみ。1日中、自転車を漕いでいても、他の配達員に1人会うか会わないかという状態でした。ちょっとした空き時間に働けるので、ウーバーのリュックに仕事道具を入れて、本業の打ち合わせとかにも行っていました」

 配達員の仕事は不規則なライター業との相性が良かったようで、街ネタ企画などのきっかけになることも少なくなかったという。

「忙しければやらず、あくまで予定が空いていたらやる感じです。基本は原稿を書きつつ、配達の注文を持つようなスタイルですね。知らない場所に強制的に行かされるので、ローカルな街の問題や人気店といった発見はいろいろあります。2020年の4〜5月は緊急事態宣言で、配達員が増えてウーバーの収入は減った代わりに、都心の様子を写真で撮りながらレポートする仕事が増えました

◆配達員がシェアサイクルを使う理由は?

渡辺雅史氏

渡辺雅史氏

 渡辺氏は日本橋を拠点に中央区、港区、千代田区、江東区、台東区などへ配達しており、配達では電動アシスト付きのシェアサイクルを愛用。必死に丸1日働けば1万5千円ほどは稼げるそうだ

「本当は新宿や渋谷のほうが稼げるんですけど、あの辺は坂道が多くて電動アシストの電池消耗が早く、シェアサイクルの奪い合いも激しいんですよ。日本橋エリアや湾岸エリアは坂が少ないし、シェアサイクルのポートも多く、競争率も比較的低いんです」

 ウーバーの配達を専業にする人は配達回数をこなすためバイクを使う人が多いらしいが、渡辺氏のようにシェアサイクルを使う配達員は多い印象だ。

理由としては『停めやすい』『盗まれない』『悪戯されない』ことが大きいです。高い自転車を受け渡す間に盗まれたくないし、シェアサイクルは違法駐輪の警告もわりと見過ごされやすい。あとは出先ですぐ始められて、疲れたら乗り捨てて電車で帰れるのも利点です。2020年までウーバー配達員専用の格安プランがシェアサイクルであったので、もっと便利だったんですけどね」

◆早く食べたいならメールは送らない方が良い

 普段、ウーバーイーツを利用する読者も多いだろうが、配達員にとって嬉しい注文者の特徴などはあるだろうか?

まず困るのは配達中にメールをたくさん送る人ですね。配達員用アプリが10秒に1回くらいポップアップを出し続けるので、いちいち自転車を止めて必ず確認する必要がある。早く配達してほしい人は最低限の連絡だけするほうがいいです。あと、個人的に嬉しいのはフーターズの注文です(笑)。フーターズって女の子の店員や雰囲気がウリですけど、私に料理を受け取らせて、運ばせるってどういう感覚なのか……。意味わからないですけど、目の保養になるのでありがたいです」

 また、マップで“ピンずれ”が起きるなど、わかりにくい住所の場合は行き方や建物の特徴をアカウント情報にあらかじめ記載しておくこともポイント。「マンション名をきちんと記載するだけでも配達のしやすさは違う」と語る。

「ウーバー配達員はプロの宅配業者ではないし、最近は利用者が増えて同じ場所に何回も配達することも減っていますからね。私が始めた当初はお金持ちの注文者ばかりで、六本木ヒルズの居住棟にやたら運んでいた時期もあって。どのフロアにどんな住人がいるか、勝手に分析して楽しんでいましたけど。最近そういうケースはまずないです」

◆なぜマックの店先でたむろするのか

渡辺雅史氏

 マクドナルドの店先で配達員が待機する姿もよく見かけるが、配達員に人気のお店もあるようだ。

「おそらくマックは単純に注文が多いのと、1件あたりの配達距離が短い傾向があるので、ボーナスを効率よく獲得したい人が集まるのかなと。ちなみに私が一番好きな店はケンタッキーですね。ケンタッキーはウーバーでドリンクを販売していないようですし、昔からテイクアウト容器がしっかりしていて、安心して運べます

 規定の配達回数をクリアして得られるボーナス制度があるため、ウーバーの配達は基本的に短い距離の配達で回数をこなすほうが効率よく稼げるという。

「最近は容器の技術が進化していて、密閉性の高い容器を使う飲食店が全体的に増え、メーカーの努力も感じますね。その意味では最初の緊急事態宣言の頃が一番大変でした。新しい加盟店が増えた上、どこも緩い容器ばかりだったので……」

◆2021年のGWはパンの配達が多かった

アラフォーウーバーイーツ配達員ヘロヘロ日記

『アラフォーウーバーイーツ配達員ヘロヘロ日記』(ワニブックス、渡辺雅史)

「2021年のGWはオシャレなベーカリーみたいなお店ばかり行っていました。店内も混んでいるし、行列になっている店もあって、パンはめちゃめちゃ流行っている気がしますね。『そんなにパン食いたいか?』ってくらい、毎日パンを運んでいます」とのことで、自ずとグルメの流行にも詳しくなるようだ。

 そして何かと、飲食店の店員に見下される機会も多いそうで、そんな中年配達員の悲哀も本書の読みどころだ。

「大学生にもバカにされるし、最近もマジで態度の悪い“オシャレパン屋”の店員に出会いました。ウーバーの配達は同じ店で2つの配達先の商品を受け取って、一緒に運ぶことがあるんですけど、店頭で渡される時に口頭で言われても、配達中にどっちがどっちかわからなくなる。

 だから『紙袋に注文番号を書いてください』と伝えたら、『うちの紙袋は汚せないんで』と言われて……。なんとか最後は付箋で貼ってもらったんですが、『紙袋の価値なんか知らねーよ!』と思っちゃいますね」

◆日本人より外国人のほうが優しい

 渡辺氏曰く「オシャレな店は容器もだいたい危ない」のだとか。

「それがオシャレだから仕方ないですけどね。日本人の“おもてなし”とかもないですよ。カネ払う人に媚びているだけで、オシャレな店ほどそういう意識が垣間見える店が少なくない気がします。『外国料理屋さんのほうが優しい』と、配達員はみんな口揃えて言いますね。『ご苦労様』と声をかけてくれたり、空いている店内で待たせてくれたり、ちょっとした飲み物くれたりするのは、だいたい海外の店員さんです」

 1件あたりの配達報酬は地域によって異なり、都内では400円弱の基本料金と1キロ60円の距離料金にボーナスが付く構成だったが、5月10日には全国で新料金体系が導入。繁忙に応じて報酬が増減するダイナミックプライシングの要素が取り入れられた。

「全体の報酬自体はほぼ変わりませんが、基本料金と距離料金という考え方がなくなり、どういう計算で算出されるのかわからない『ベース』という料金と、これまたどんな根拠で支払われているのかわからない『配達調整金額』という2つから構成されるようになった。ウーバー側の裁量で勝手に報酬を減らせる仕様になったように思えます

 一部の配達員の危険運転なども取り沙汰されるが、多くの真面目な配達員たちの苦労にも思いを馳せてみては。届けてもらったものが、いつもより美味しく感じられるかも……しれない。

<取材・文/伊藤綾>

【渡辺雅史】
1975年生まれ。ラジオのハガキ職人を経て、ライターに。出版不況の折り、減り続ける仕事と、「メタボ」「糖尿病」「高血圧」「脂肪肝」の四重苦から少しでも免れるためウーバーイーツの配達員に。本書のベストセラーによる印税生活を夢見ている

【伊藤綾】

1988年生まれ道東出身。いろんな識者にお話を伺ったり、イベントにお邪魔するのが好き。SPA!やサイゾー、マイナビニュース、キャリコネニュースなどで執筆中。毎月1日に映画館で映画を観る会“一日会”(@tsuitachiii)主催

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