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コロナ禍の今、あえて居酒屋をオープンした店主「高円寺を楽しくしたい」

bizSPA!フレッシュ / 2021年9月3日 15時47分

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コロナ禍の今、あえて居酒屋をオープンした店主「高円寺を楽しくしたい」

 緊急事態宣言の度重なる延長によって、東京都では深夜営業や酒類を提供する飲食店にさまざまな要請を行っています。一部で堂々と酒類を提供する飲食店もありますが、ほとんどの真面目に要請を守っている飲食店は、経営危機に立たされています。

千代田英司さん

千代田英司さん

 バンドマンや芸人などが多く暮らし、数多くの飲食店が軒を連ね、“飲み屋激戦区”とも呼ばれる高円寺。そんな町で、飲食店を含む複数の店を経営する株式会社ワイルドボイスの代表取締役 千代田英司さんに「高円寺の飲み文化」と自身の店について話を聞きました。

◆カラオケ、マンガ喫茶はかなり厳しい

――どんなお店をやってるんですか?

千代田英司(以下、千代田):うちはまず、新高円寺でカラオケ店とマンガ喫茶をやってますね。あとは「じゃぐら」というラーメン店。

――コロナ禍での各店の売り上げはどうですか?

千代田:カラオケはダメですね。休業要請なので、売り上げが下がるというよりも店を開けられないですから、まったくのゼロ。同じくマンガ喫茶もダメですね。以前は、終電を逃した人が使ってくれてたりしたんですけど、飲食店が20時で閉まっちゃうから、もう終電逃さないですもんね。お昼はサラリーマンが休憩やサボりで使ってくれてたんですけど、テレワークが増えたからそれもなくなりましたし。

――ラーメン店はどうですか?

千代田:緊急事態宣言といっても人間はご飯を食べないといけないから、ゼロになるってことはありませんでしたけど、それでも2020年6月にはコロナ前に比べて売り上げが30%落ちました。でも、テイクアウトや冷凍ラーメンを頑張って作ってなんとかやってます。

◆従業員を守る必要がある

千代田英司さん

――いろんな業態でコロナと戦ってきて気がついたことはありますか?

千代田:何より「信頼」が必要だということです。テイクアウトをやるにも、お店の味がしっかりしていないと売れません。あと必要なのは「貯金」(笑)。他には、細かいことだけどラーメンは冷凍させるだけでは、家庭で同じ味にならないっていうことですね。

――お店で作ったものを凍らせて売ってるだけではないんですか?

千代田:スープはお店で炊いたものを冷凍させてたんですけど、お客さんが持って帰って家でもう一度煮詰めると味が変わってくる。だから冷凍用は、店で出しているものからさらに調整して作ってますよ。

――それでも大きな危機と言えるコロナ禍、大変であることは間違い無いですよね。

千代田:うちは従業員が各店舗あわせて15人いるから、彼らのことも守っていかないといけません。

◆コロナ禍だからこそ居酒屋をオープン

鉄板酒場 チヨハチ

鉄板酒場 チヨハチのテーブル

――従業員を守るために、どんなことをやりましたか?

千代田:まずは、行政からの雇用調整助成金でしのぎました。でも、これをいつまでもやるわけにはいかないなと思いました。

――となると、解雇も?

千代田:いや、忙しい時だけ使って売れなくなったらサヨナラなんてことはできませんよ。稼げる店がなくなったのなら、作るしかないと思いました。それで、2021年6月27日に「鉄板酒場 チヨハチ」をオープンさせたんです。

――コロナ禍「なのに」じゃなくて、「だからこそ」出したということですね。

千代田:賛否両論ありましたけど、うちの従業員はみんな喜んでくれました。高円寺の町の人からも、喜んでくれる声が多かったですよ。高円寺は個人店が多いから、これだけコロナ禍が続くと、経済的な体力のない個人店はなくてどんどんなくなってるんですよ。そんな中で新しいお店がオープンっていうことで、景気が良い感じがしたんでしょうね。

――この時期の開店、なるべく初期投資を減らしたいですよね?

千代田:最初は、安く上がる居抜きで開店することも考えましたよ。でもね、お客さんもテンションの上がるカッコイイお店が作りたかったんです。こんな時だからこそっていうのもあるし、僕が憧れたかっこいいお店の人たちもみんな辞めていっちゃったから「ここは僕がという気持ちにもなりました。だから、安く上がる居抜きじゃなくてちゃんとつくりましたよ。借金は増えましたけどね(笑)。

◆ノンアルコール専用メニューを作成

ノンアルコール専用メニュー

ノンアルコール専用メニュー

――お金かけたからこそのこだわりですね。

千代田:カッコ良さだけじゃないんですよ。焼肉屋とか鉄板焼きの店は、高性能な空調を使うんですけど、うちはそれよりもさらにいいものを導入しました。だから、安心して来ていただきたいですね。

――お酒を扱うには厳しいご時世。酒場としてどうしてます?

千代田:ノンアルコールビールでも、冷凍庫でキンキンに冷やしたジョッキで生ビールみたいに注いで提供してます。そうすると、お客さんもめっちゃ喜んでくれるんですよ。

――気分だけでも盛り上げてくれてるんですね。

千代田:あと、たくさんあるメニューの隅っこに書かれているノンアルを頼むと、なんか悲しくなるじゃないですか。だから、別冊でノンアルコールだけのメニューをつくりました。お客さんも「その気になれるね」って言ってくれてます。

――それは粋なやりとりですね。

千代田:多少でも酔った感じになれるって言ってくれてますよ。普通はノンアルだと1杯だけという人が多いんですけど、これをはじめてから、3杯とか飲んでくれる人も結構います。

◆コロナ禍での高円寺は…?

高円寺

ストリートミュージシャンも多い

――様々なお店から高円寺を見てきたと思いますがコロナ禍の高円寺、どうですか?

千代田:バンドマンとかお笑い芸人が多い町だからなのか、最初はみんな楽観的に飲んでましたね。そこから、一度はおとなしくなったんですけど、最近は駅前の店でもお酒出しているところが増えて来ましたよね。みんな閉めてるなかで、開けてお酒出せば儲かるってことがわかっちゃったから。

――そうした高円寺にあって、千代田さんの立ち位置は?

千代田:一時の儲けは必要ないですよね。店やってる仲間で「生きていくにはしょうがないですよ」っていう奴もいて、彼らには彼らの事情があるから、何も言わないですけど、僕はそこじゃないなって。だって僕だったら、後ろ指をさされるようなやり方してる店には、コロナ終わった時に行きたくはならないなって。

――コロナが終わった先、高円寺とご自身に対する野望はありますか?

千代田:高円寺は、大手が参入してきにくくて個性の強い店が多いですよね。その中で僕は、いろんな業種をやってますけど「高円寺をもっと楽しく」という気持ちですよ。カラオケ・マンガ喫茶・ラーメン屋・居酒屋をやってるから、今度はスーパー銭湯も作りたいですね。楽しいことの全部が高円寺で完結できたら最高ですよね。

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 自由に生きる人たちが自由に飲んで自由に語り合う、そんな高円寺の姿が再び戻り、そこに千代田さんのお店が確かにあるという未来は、そんなに遠くないのかもしれない。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】

Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も Twitter:@Mr_tsubaking

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