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ソニーが過去最高売上を更新できる理由。要因は「PS5」だけじゃない

bizSPA!フレッシュ / 2021年9月22日 8時47分

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PS5

 各社がコロナ禍のため2020年度の業績悪化を発表していますが、ソニーは好調だったようです。決算書によると2021年3月期売上高は9.0%上昇し、最終利益も2倍となりました。最新、2022年3月期第1四半期(4~6月)の収入も前年同期比で15%増えており、巣ごもり需要に支えられたゲーム関連事業が好調なようです。

ソニー

©Pawel

 ソニーといえばゲームやオーディオ機器のイメージが強いですが半導体も生産し、そして銀行業にも参入しています。決算資料から改めてソニーの事業内容を見ていきましょう。

◆ヒット作を生み続けるソニーの歴史

 ソニーは1946年、ラジオの修理を請け負う「東京通信工業株式会社」として開業しました。’50年代には日本初のトランジスタラジオを発売し、ラジオの成功に伴って、製品ロゴに使っていた「SONY」から社名をソニーに変更しました。’60年代には早くも欧米進出を進め、’70年には日本企業で初めてNY市場に上場しました。

 そして’79年には携帯型カセットテーププレイヤーの「WALKMAN(ウォークマン)」を発売し、これが若者の人気商品となりました。しかし、設立当初からアメリカの大企業を目指していた創業者の一人、盛田昭夫氏はWALKMANの成功に満足せず、発売同年から生命保険事業にも参入しました

’80年代は携帯型CDプレイヤーを発売したほか、米国のレコード会社と映画会社を買収して音楽・映画事業に参入します。そして忘れてはいけないのが、’94年に発売した「PlayStation(プレイステーション)」の成功です。後継機のPlayStation2は2000年代も同社の業績を支え、2020年発売の「5」に至ります。’10年代はノートPC事業から撤退するなど財務の健全化を図り、’21年からはソニーグループ株式会社となりました。

◆ソニーを形づくる6本の主事業

Sony Walkman

Sony Walkman ©Linda Bestwick

 ソニーグループ株式会社の2022年3月期第1四半期の決算資料では以下のように分類されています。1Qの売上高2兆2568億円に対する各事業の割合を見るとゲーム関連の(1)が最大で、次に(4)の電気機器関連事業が並びます。そして消費者の間ではあまり知られていませんが、金融事業は18%を占める同社第3の事業です。

(1)ゲーム&ネットワークサービス:27.3%
(2)音楽:11.3%
(3)映画:9.1%
(4)エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション:25.5%
(5)イメージング&センシング・ソリューション:9.7%
(6)金融:18.4%
(7)その他:1.0%

 それでは各事業の内容について紹介していきましょう。

◆1)ゲーム&ネットワークサービス事業:ソニーを支える事業

PS5

PS5

 ゲーム&ネットワークサービス事業(G&NS)はPlayStationの製造販売およびソフトウェアの販売を行う事業で、’90年代よりソニーを支える事業です。PlayStation初号機は1億台以上、2は1億5000万台以上売れ、3は8700万台に落ち着きましたが、4は1億1000万台以上売り上げています。

’20年11月に発売された「5」は国内では100万台しか売れていないようですが、当初から海外を対象とした商品であるとみられ、全世界では1000万台を突破しています。ソフトウェアでも名作を出しており、本格レースゲーム『グランツーリスモ』やモンゴル帝国の襲来から対馬を守るアクションゲーム『Ghost of Tsushima』が人気です。

 単なるゲーム事業ではなくG&NS事業の名がつけられているのは、PlayStation Networkを通じたサービスを提供しているためであり、同サービスはオンラインゲームには欠かせません。コンテンツのダウンロードやオンライン決済も提供しています。

◆2)音楽事業:ソニーの芸能事務所

 音楽事業はソニー・ミュージックエンタテインメントを通じて展開しています。楽曲のレーベルといった基本的な業務からアーティストの発掘や育成、マーケティングの他、ライブイベントの運営事業を展開しています。

 また、WALKMAN公式の音楽ダウンロードサイト「mora」も音楽事業によるものです。ちなみに、洋楽好きの方は「VEVO」のロゴがついたYoutubeの動画を見たことがあるかもしれません。VEVOは音楽動画のプロバイダで、ソニーの米国企業が出資しています。

◆3)映画事業:現在ではアメリカを代表する映画企業に

 映画事業はソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが展開していますが、こちらはカリフォルニアに拠点を置く米国企業です。前身はコロンビアピクチャーズですが、バブル期にソニーが買収し、傘下に入りました。劇場のみならずテレビ用のコンテンツを制作し配給も行っています。

『スパイダーマン』や『ダ・ヴィンチ・コード』、マイケルジャクソンの『THIS IS IT』など、ジャンルは多様で多くの名作を出しています。ソニーが買収した当初は貿易摩擦の影響もありアメリカでは反対意見も聞かれていましたが、現在ではアメリカを代表する映画企業になっています。

◆4)エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業:映像機器を生産

Xperia

Xperia 10 II

 こちらは世界の映像を支える事業です。一般消費者向けには「α」を代表ブランドとするデジタル一眼レフカメラやハンディカム、ヘッドホンを生産するほか、スマホの「Xperia」や液晶テレビ「BRAVIA」を生産しています

 プロ向けにも同様の製品を供給しており、テレビスタジオで使われるカメラや空撮用のカメラ搭載型ドローン、業務用大型ディスプレイを生産しています。また、オリンパスと共同で出資した企業を通じて内視鏡を生産していますが、こちらではソニーの高画質映像技術が活かされているようです。ちなみにインターネットプロバイダーのSo-netも同事業の一環です

◆5)イメージング&センシング・ソリューション事業:実は世界シェア50%

 この事業の売上高比率は10%とあまり多くはありませんがソニーの映像技術を支える事業で、同社の最先端技術を扱っています。主な製品であるイメージセンサーは入ってきた光を電気信号に変える半導体部品で、風景を映像にする役割を果たします。

 一眼レフカメラや映像用のカメラ、Webカメラや携帯用のカメラには必ず搭載されており、映像の画質はイメージセンサーの性能に依存します。世界市場におけるイメージセンサーのシェアはソニーがなんと、50%も握っています。韓国の競合サムスンの追い上げが気になりますが、今後の技術開発に期待したいところです。

◆6)金融事業:ソニーが進出した理由は…

銀行

※イメージです

 なぜソニーグループが金融事業を展開しているの? と思うかもしれません。同社が金融事業を手掛ける背景には創業者の意思があります。井深大氏と共にソニーを創業した盛田昭夫氏はアメリカの企業を回っていた当時、大企業はいずれも金融事業を展開していることに気が付き、金融事業に参入したようです。

 ちなみに2021年9月16日にSBIホールディングスからのTOBを仕掛けられている新生銀行が、対抗策として複数企業にホワイトナイト(友好的なスポンサー)を打診していると報じられました。そのなかにもソニーも含まれていたようです。

 同事業ではテレビCMも提供されているソニー生命とソニー損保、ソニー銀行が運営されています。生命保険や損保はどの企業も同じようなものを提供しているため大差はないと見られますが、ソニー銀行は店舗を持たない完全オンラインの銀行。セブンやイオン、三井住友銀行や三菱UFJ銀行など取り扱いATMが多いため使い勝手が良い印象です。

◆コロナ禍でゲームが好調、今後も期待

ソニー

SONY © Josefkubes

 ソニーグループの2020年3月期は売上高8兆2599億円と前年より5%減少しましたが、コロナ禍の巣ごもり需要に支えられたためG&NS事業が好調となり、2021年3月期は全体で8兆9994億円の9%増となりました。2022年3月期1Qも2兆2568と前年の15%増を記録し、大ヒットした「鬼滅の刃」配信による音楽事業の好調のほか、メディア配信の伸びによる映画事業の増収が業績に大きく寄与しています。

 なお今期は売上高9兆7000億円と2021年3月期に引き続いて最高値を更新する見込みです。かつて日本企業は自動車や家電など「有形」物で世界市場を席巻してきましたが、経済が「無形」化するにつれ、多くの企業が存在感を失いました。

 しかし、モノに依存しないソニーの事業は今後も強みを発揮していくことでしょう。

<TEXT/経済ライター 山口伸>

【山口伸】

化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー Twitter:@shin_yamaguchi_

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