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10兆円市場に急成長「後払いサービス」関連株5選。投資のプロも注目

bizSPA!フレッシュ / 2021年10月9日 8時46分

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Square, Inc. © Sergei Elagin | Dreamstime.com

 欧米で若者を中心に流行中のBNPLと呼ばれる「あと払い」決済サービス。いまクレジット業界の牙城を切り崩し、急成長を遂げている。これまでの分割払いとは一体何が違うのか。また、この波に乗るための投資先を探った。

スマホ

※画像はイメージです

<BNPLとは……>Buy Now, Pay Later(今買って、後で払う)の略で、クレジットカードと違い与信が必要なく手軽に始められる分割後払いサービス。米国のZ世代と呼ばれる若年層から人気が広がっている

◆フィンテックの中でいま一番ホットな分野

 ついに日本にも「あと払い」の波が押し寄せる。9月に米決済大手ペイパルが日本で後払いサービス(BNPL=Buy Now, Pay Later)を展開するベンチャー企業・ペイディを約3000億円で買収。クレジットカード不要で、分割払いができるBNPLの市場規模はすでに10兆円とも言われている

 米国在住の米国株ブロガー・もみあげ氏@momiage0088)はこう語る。

「BNPLはフィンテックの中でいま一番ホットな分野です。’20年末、米国の家計貯蓄額はコロナ禍での現金給付や失業保険で過去最高を記録。一方で急激な景気回復や半導体不足で物価は急上昇しており、『お金はあるけど高い買い物はしづらい』状況だった。

 そこで時代のニーズにマッチしたBNPLが注目されるように。8月にはペイパルのライバルであるスクエアがオーストラリアの後払いサービス『アフターペイ』を約3兆円で買収。そう考えると、ペイディの買収額3000億円は、アジア展開の足がかりとしては“お買い得”です」

◆若者から支持を得たBNPL

会計

 BNPLは、ネット決済に抵抗がないミレニアム世代やZ世代と呼ばれる若者から広がったという。

「若い世代は、たとえクレジットカードを持っていても利用限度額が気になるし、高い利息のリボ払いに警戒感を持っている。その点、BNPLは、クレジット業界と異なり、支払いが滞っても法外な利息や遅延損害金は原則取らない。今年1月、BNPLを牽引するアファームがナスダックに上場しました。そのアファームの決算書を読むと、消費者側に立っている点が強調されている。クレジット業界のある種の”闇”に対抗し、若者から支持を得たとも言えます

◆BNPLに投資家が熱い視線を注ぐ理由

 さらにアファームは8月に北米でのアマゾンとの提携を発表。目下、株価は急騰中だ。マネックス証券チーフ・外国株コンサルタントの岡元兵八郎氏@heihachiro888)は、BNPLに投資家が熱い視線を注いでいるのは「ただ単に便利な決済サービスという理由だけではない」と指摘する。

マネ得

「通常、分割払いの手数料は消費者が負担し、2020年、米国のクレジットカードを利用した分割払いの手数料は約6兆円です。BNPLはお店側が分割手数料を負担。それはお店側にもメリットがあるからです。BNPLを導入したところ、後払いできるならと新規顧客が増えたり、リピーターになったり、購入金額が上がったりというデータが出ている。

 BNPLは売り上げアップにつながる決済サービスなので、ビジネスへのインパクトが大きい。アメリカのEコマース市場は6000億ドル、グローバルでは3.4兆ドル。市場自体が成長中のなか、BNPLの先頭を走るアファームもまだシェアは1%未満です」

◆注目すべきBNPL関連銘柄

 BNPLは新興企業がしのぎを削る新しい分野のため、未上場企業が多く、投資対象となる銘柄は絞られてくる。

本命はもちろんアファームですが、すでに高値圏内。初心者にはアファームよりも値動きの緩やかなペイパルやスクエアがオススメです。ほかにデジタルクレジットカード発行の技術を持つマルケタも注目したい。取引先はスクエア、アファーム、ドアダッシュ、ウーバーなど、BNPLの取引高が増えれば増えるほど儲かる仕組みを構築しているのは強みです」(もみあげ氏)

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【注目すべきBNPL関連銘柄】
※株価情報は9月30日時点

■ アファーム・ホールディングス(AFRM)
株価:119.13ドル
PER:―― 倍
PBR:12.44倍
時価総額:23107百万ドル

ペイパル共同創業者(いわゆる”ペイパル・マフィア”)のマックス・レヴチンが創業し、2021年1月にナスダックに上場。米国で人気のフィットネスバイク「ペロトン」での後払いで脚光を浴びる。「収益源のひとつは資産担保証券(ABS)。将来は規制の対象になるリスクも」(もみあげ氏)

■ ペイパル・ホールディングス(PYPL)
株価:260.21ドル
PER:72.68倍
PBR:15.23倍
時価総額:305755百万ドル

EC決済が中心。テスラのイーロン・マスクも一時在籍していた。会員数600万人を抱えるペイディを買収し、日本での競争をリード。ペイディはアップル製品、アマゾンでも利用可。「ペイパルの時価総額は33兆円。BNPL関連では最大規模で、初心者も手が出しやすい」(もみあげ氏)

◆注目すべきBNPL関連銘柄、あと3銘柄は?

スクエア

Square, Inc. © Sergei Elagin | Dreamstime.com

■ スクエア(SQ)
株価:239.84ドル
PER:499.67倍
PBR:40.79倍
時価総額:95311百万ドル

Twitterの創業者であるジャック・ドーシーらによって2009年成立。「アフターペイを買収したことで、スクエアの決済サービスに分割払いが取り入れられる。アフターペイ会員は1600万人、スクエアは4000万人。利用者が重なっておらず、買収の相乗効果は大きい」(岡元氏)

■ マルケタ(MQ)
株価:22.12ドル
PER:―― 倍
PBR:10.01倍
時価総額:1868百万ドル

2021年6月にナスダック上場。BNPLを実現するためのプラットフォームを提供し、企業独自のクレジットカードを発行することができる。「一番の取引先はスクエア、次はアファーム。BNPLの取引量が増えれば、それだけ恩恵を受けることができるでしょう」(もみあげ氏)

■ アップル(AAPL)
株価:141.50ドル
PER:42.75倍
PBR:36.75倍
時価総額:233百億ドル

「アップルカード」「アップルペイ」と、アップルも決済サービスには力を入れてきた。BNPLに参入するため、「アップルペイ・レイター」をゴールドマン・サックスと共同開発中とのこと。「囲い込みのため、BNPLベンチャーを金融機関やGAFAMがM&Aすることも想定される」(岡元氏)

◆リスク顕在化はまだ先か?

マネ得

日本でも最新機種iPhone 13はペイディを利用すれば後払いができる。後払いがスタンダードになっていくのか(画像はペイディHPより)

 岡元氏も「アファーム、ペイパル、スクエアが業界をリードしていく」としたうえで、意外な銘柄を挙げる。

「ほかとストーリーは違うが、アップルもBNPLに進出している。そもそもアップル製品はBNPLとの相性もいい。そしてアップルはカナダでBNPLを導入するためアファームとタッグを組みながら、アップルペイでも使えるようにゴールドマン・サックスとも開発を進めている。当然、既存の金融機関も黙ってはいません。ビザ、アメックスやシティバンクも独自のサービスに乗り出しているので、競争や買収の激化が予想されるのはリスクです

 ほかに気になるのは支払い遅延リスクだ。簡単に後払いができるため、新たな“サブプライムローン”として規制の対象になってしまわないのだろうか。

「BNPL利用者の3分の1に支払いの遅延があるとの報道もされている。しかし、まだ規模も小さく、現時点では政府が規制に乗り出す心配をする必要はないでしょう」(岡元氏)

 BNPL銘柄をあとで買おうと思って……と後悔しないようにしたい。

<取材・文/東田俊介 図版/ミューズグラフィック>

【もみあげ】
米国株ブロガー。日系サプライチェーン企業に入社し、その後米国駐在員に。Twitterフォロワー10万人。著書に『もみあげ流 米国株投資講座』(ソーテック社)。
Twitter:@momiage0088

【岡元兵八郎】
マネックス証券チーフ・外国株コンサルタント。ソロモン・ブラザーズ証券(現シティグループ証券)、SMBC日興証券を経て現職。著書に『資産を増やす米国株投資入門』(ビジネス社)
Twitter:@heihachiro888

【週刊SPA!編集部】

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