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免税店「ラオックス」が大変身。コロナ苦境で見せた新たな一手とは

bizSPA!フレッシュ / 2021年10月20日 8時47分

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ラオックス秋葉原本店はコロナ禍でホビー専門店「アソビットシティ」業態に転換。店頭には人気アニメ作品の抱き枕やタペストリーが並ぶ(2021年8月撮影)

 新型コロナウイルスの感染拡大により、店舗網が大幅に縮小してしまった「ラオックス」。

ラオックス

コロナ禍で少し雰囲気が変わってしまった東京・秋葉原。秋葉原の顔・ラオックスも「業態転換」したというが…?

 中国大手家電量販店「蘇寧電器(現・蘇寧易購)」の傘下になったことを発端に、「家電量販店」から「免税店」へと業態転換を果たすことで大成功を果たした同社であるが、コロナ禍により業績は右肩下がり。この夏から秋にかけてさらなる店舗閉鎖を発表し、年末までに残る営業店舗はわずか4店(+休業中2店)となる見込みだ。

 一方で、営業を続けるラオックスの店舗へと足を運んでみると、そこには「家電量販店」でも「免税店」でもない、ラオックスの「新たな顔」があった。

◆京都中心部にラオックス新店舗がオープン

 京都市中心部・四条河原町にあるイオン系(元ダイエー系)ファッションビル「河原町オーパ」。今年7月、この建物の6階に新たに開店したのがラオックスの最新店舗「ラオックス河原町OPA店」だ。

 なぜ店舗縮小を続けているラオックスが新店舗を開業させたのか――と店舗に向かうと、そこにあったのは免税店……ではなく、何と「コスメショップ」。

 店舗入口付近で販売される商品は若い女性をターゲットとした中国や韓国などアジア各国で作られた輸入コスメ。そして、店内を進むと棚一面に中国や韓国、そしてベトナム、タイ、台湾などアジア各国で製造されたラーメン、ビーフン、フォー、調味料などが所狭しと並ぶ。

◆ラオックス、新店舗のテーマは「アジア」

ラオックス

以前のラオックスとは大きく異なる業態となった河原町OPA店。パステルカラーのカラフルな店内にはアジアンコスメなどが並ぶ

 実は、このラオックス河原町OPA店はこれまでのラオックスとは異なる「新業態店舗」の1号店。ラオックスによると、店内で販売される品目数はメインとなるアジアンコスメ1700品目をはじめ、アジアンフード1300品目、さらにアジアン雑貨も500品に及ぶといい、今後も「日本初上陸の商品」をはじめとしたここだけでしか買えない商品を取り揃えることで集客を図る考えだという。

 免税売上が見込めない時代の新たな挑戦として生まれた新業態。ラオックスの新しいスタイルとして定着していくことになるのだろうか。

◆秋葉原のラオックスもコロナ下で一変

 京都のラオックス新業態店は、ファッションビルでアジアンコスメやアジアンフードをメインに販売するという「嗜好性の強い商品」をメインに据えた店舗となった。それとは同様に「嗜好性の強い商品」ではあるものの、京都の店舗とは異なる業態で起死回生を狙うのが東京・秋葉原にある旗艦店「ラオックス秋葉原本店」だ。

 このラオックス秋葉原本店は大型家電量販店として営業していたが、2009年6月にラオックスが中国企業・蘇寧電器の傘下となったことを契機に総合免税店へと転換(ただし、それ以前も家電中心の免税品売場は設けられていた)。アジア各国からの観光客による「爆買い」の象徴的な場としてメディアに登場する機会も多くあった。

 しかし、コロナ禍のなか店舗を訪れると、かつて外国人観光客で溢れていた店頭のようすは一変していた。店頭で迎えてくれたのは(※今年8月時点)、花嫁が多すぎることで知られる人気漫画『五等分の花嫁』と、彼女が多すぎることで知られる人気漫画『カノジョも彼女』のタペストリー。そして、セールの棚に並ぶのは今年完結を迎えた人気アニメ「エヴァンゲリオン」シリーズのグッズたち――。

 そう、この秋葉原本店は、総合免税店から秋葉原を訪れるホビー・サブカル好きにターゲットを当てた店舗へと生まれ変わったのだ

◆「かつての人気店」が復活

ラオックス

ラオックス秋葉原本店はコロナ禍でホビー専門店「アソビットシティ」業態に転換。店頭には人気アニメ作品の抱き枕やタペストリーが並ぶ(2021年8月撮影)

 実は、この業態はかつて存在したラオックス本店のホビー店(別館)「アソビットシティ」を復活させたもの。店頭には懐かしのカラフルな「Aso Bit City」ロゴも復活している。

 ラオックスアソビットシティは長らく秋葉原を代表するホビーショップとして人気を集めており、ラオックスが蘇寧電器傘の下となった後も営業を続けていた。しかし、外国人観光客の増加に伴い、2015年ごろから徐々に売場を免税店へと改装。ホビー商品の品揃えが減ったうえに常連客が入りづらい雰囲気となってしまったことで客離れを起こし、再びホビー関連売場を拡大・移動するなどの試行錯誤を経て、2017年3月に突然閉店してしまった。

 現在のラオックス秋葉原本店は、地階・1階・2階をこの「アソビットシティ」として営業(一時、3階と4階もアソビットシティとなっていたが8~9月時点は休業中、地階は催事中心)。店内にはアニメ・漫画・ゲーム関連グッズやプラモデルをはじめ、小物文具やファンシー雑貨も販売されており「総合免税店」らしい売場は5階にわずかに残るのみだ。

◆「地域の顔」のさらなる一手に注目

ラオックス

閉店直前のラオックス本店別館・旧「アソビットシティ」。「ラブライブ!」のイベントを開催していたものの、1階はホビー売場から外国人向け化粧品売場に改装。こうした迷走が閉店に繋がったといわれる。現在のラオックス本店はこのアソビットシティの業態を復活させたものだ

 地階ではかつてのアソビットシティと同様に人気アニメとのコラボレーションイベントやアイドルとの交流イベントも開催されており、京都の新店舗とはまた異なる「サブカル好き」をターゲットとした業態で、秋葉原で培ったノウハウを活かしての復活を目指すこととなった。

 コロナ禍のなか、「嗜好性の強い商品」を武器に反転攻勢をめざすラオックス。

 こうした新業態はあくまでも「免税店」として復活するまでの中継ぎなのか、それとも「輸入商品」などをラオックスの新たな魅力として定着させていくつもりなのか――。とくに秋葉原の一等地にある本店は「地域の顔」的存在となっているだけに、感染状況が落ち着きつつあるなかでの今後の「さらなる一手」も注視していきたい

<取材・文・撮影/若杉優貴(都市商業研究所)>

【都市商業研究所】

若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitter:@toshouken

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