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遊戯王、桃鉄、パワプロが好調のコナミ。盤石のゲーム事業でも残る“不安要素”

bizSPA!フレッシュ / 2021年11月27日 8時47分

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世界中で人気の遊戯王カード

 コナミホールディングスは、単なるゲームメーカーではなくゲーセン機器やカジノ用機器を生産し、フィットネスやスイミングスクールなどのスポーツ施設も展開しています。

コナミ

©Nagahisa_Design

 しかし、コロナ禍ではゲーセンやフィットネスクラブの来客数が大幅に減少。コナミも業績悪化が予想されるところですが、全社業績はわずかに好調なようです。コナミの事業構造を見ながらコロナを乗り越えられた理由を探っていきます。

◆家庭用ゲーム、ゲーセンのKONAMI

 同社は1973年にコナミ工業株式会社として設立され、アミューズメント機器のメーカーとしてスタート。1980年代にはCPU搭載型の「国盗り合戦」を開発するほかPC用ゲームソフトにも参入し、ゲーム事業を主軸として事業を拡大します

 1990年代はパチンコ用の遊技機にも参入し、1994年にはスーパーファミコン向けに「実況パワフルプロ野球」シリーズの第1作目を発売しました。海外事業に関して1980年代から米国には進出していましたが、1990年代からは欧州向けも強化しました。

◆2000年代にスポーツクラブ事業に参入

コナミスポーツクラブ

コナミスポーツクラブ

 2000年代からは他事業にも進出します。PS2向けソフト「METAL GEAR SOLID 2」「プロ野球スピリッツ(プロスピ)」がヒットするも、ゲーム事業だけに注力するのではなく、子会社買収という形でスポーツクラブ事業にも参入しました

 2010年代からはハドソンの買収やモバイルゲームの強化、米国におけるカジノ事業の強化などを進め、現在に至ります。ちなみに同社はゲーセン向けの電子マネーを運営するなど、単にゲーム機を作るだけでなく運営という形で収益を得ています。

◆典型的なゲームメーカーと異なる

遊戯王

世界中で人気の遊戯王カード

 健全な状態での事業構造を分析するため、コロナの影響が少ない2020/3期の内容をみていきましょう。同社公表の決算資料によると各事業の中身は以下の通りです。

(1)デジタルエンタテインメント事業:1534億円・全体比58.4%
 コナミHDの中核を担うモバイルゲームや家庭用ゲームの開発、販売事業。モバイルアプリは「遊戯王」や「実況パワフルプロ野球(パワプロ)」、「プロスピ」などが好調で、家庭用ゲームも「パワプロ」が好調なほか「ウイニングイレブン(ウイイレ)」や「桃太郎電鉄」、「メタルギア」などを主力とする。カードゲームも同事業に含まれます。

(2)アミューズメント事業:237億円、全体比9.0%
 いわゆるゲーセン関連の事業。ゲーセン向けの機器を製造するほかオンライン接続サービスも提供。「GI優駿倶楽部」「麻雀格闘俱楽部」などがあります。パチスロ機器も同事業に含まれる。eスポーツも主催。

(3)ゲーミング&システム事業:284億円、全体比10.8%
 スロットマシンやカジノシステムの販売および運営を行う。北米、豪州を中心に世界各国で展開しアメリカではほどんどの州でライセンスを取得。IRリゾートの普及に期待。

(4)スポーツ事業:590億円、全体比22.5%
 コナミスポーツクラブや公共スポーツ施設の運営、関連商品の販売。自治体と提携し学校向けに水泳事業の指導も行う。高齢化に伴う健康志向の高まりで伸びる。

 以上のように、同社は典型的なゲームメーカーと異なり、多角的に展開していることがわかります。

◆牽引するのは、やはりゲーム事業

 近年の業績は順調に推移しています。2017/3期から2021/3期までの売上高、利益は以下の通りです。

【売上高】
2299億円→2395億円→2625億円→2628億円→2727億円
【営業利益】
364億円→452億円→505億円→310億円→366億円
【当期利益】
260億円→305億円→342億円→199億円→323億円

 売上高は増収が続いていますが、ずばりデジタルエンタテインメント事業の拡大によるものです。「遊戯王」のモバイル版が好調となったほか、カードゲーム自体もグローバル展開を進めました。「ウイイレ」「プロスピ」も積極的なCM広告によってモバイル版が伸長したようです。

 特にウイイレはオンラインモードの「myClub」が盛り上がりを見せており、これが毎年のリピート率を高めていると考えられます。各ゲームに関連した同社主催のeスポーツも年々活気を増しているようで、これが宣伝効果につながっているかもしれません。

◆コロナ禍で「桃鉄」が大ヒット

桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~

桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~

 コロナ禍の2021/3期は巣ごもり需要でデジタルエンタテインメント事業の成績が大幅に伸びました。家庭用ゲーム、モバイル、カードゲームのいずれも売上が増えたようです。モバイルではウイイレ、パワプロ、プロスピが依然人気を集めているほか、カードゲームは遊戯王が引き続き海外で好調となりました。

 家庭用ゲームは従来のタイトルが堅調ながらも、2020年11月に発売された「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」が特に話題に。Nintendo Switch版として出された桃鉄ですが、4年ぶりの新作ながらもネットやテレビで大きく取り上げられ売り上げを伸ばしました。

 全年代で楽しめる点やフレンドとオンライン対戦できる点がコロナ禍での人気を集めたのかもしれません。デジタルエンタテインメント事業の売上高(1056億円→1203億円→1417億円→1534億円→2042億円)も、好調に推移しており、2021/3期の全社売上高がプラスを維持できたのも同事業の躍進によるものです。

◆ゲーム事業は好調だが…

 一方でアミューズメント事業、ゲーミング&システム事業、スポーツ事業はコロナ以前から不調が続いており、2021/3期にガクッと業績が悪化した形です。アミューズメント事業を例にとると売上高は253億円→252億円→278億円→237億円→176億円と推移しています

 ゲーセン機器関連のアミューズメント事業は麻雀や競馬関連のメダルゲームで話題作を生み出しましたが、市場が拡大していないためか業績は大きく伸びませんでした。実際にゲーセンの店舗数は年々減少しています。

 海外カジノ関連のゲーミング&システム事業は、新規カジノの開店数が限定的であったことや導入が次期に遅れたことが影響し、こちらも不調です。特に2021/3期はコロナ禍の影響が大きく出ています。スポーツ事業は直営店の退店が続き、売上高が減り続けました。

 スポーツクラブ全体では2016年まで市場が伸び続けていましたがそれ以降は低迷が続き、コナミも市場の流れに沿ったと考えられます。2021/3期は利用客も大幅に減り、退店が続きました。

 以上のようにコナミHDは主力のゲーム事業で好調ながらも、それ以外の事業が低迷していることがわかります。せっかくの多角的な展開も他事業をとりまく市場環境が悪く、メリットを活かせていないようです

◆長期での事業拡大には方針転換が必要?

経営者

 画像はイメージです

 最新の2022/3期第2四半期の業績は売上高1394億円(前年比20%増)、営業利益391億円(83%増)、最終利益275億円(99.8%増)と大幅な増収増益です。コロナ禍からの回復もあり、全事業で前年比超えを記録しました。

 モバイルゲームの好調や、ゲーセンの休業申請解除、スポーツ施設における客足の回復が影響しています。しかし、回復に至っているとはいえ長期でも拡大を目指すのであれば方針転換をしなければなりません。

 国内のゲーセン、スポーツ施設関連の事業がこれ以上の伸びを期待できないのであれば他の国に進出する必要があります。なかなか躍進しないカジノ関連事業も北米以外の中国なども検討すべきです。確かにマカオには導入実績があるようですが、より大規模に進出する施策が求められます。

 多角展開を目指すのであれば、スポーツ事業に参入した時のように別分野の企業を買収することも選択肢として考えられるでしょう。

<TEXT/経済ライター 山口伸>

【山口伸】

化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー Twitter:@shin_yamaguchi_

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