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定年退職の翌日に【能登半島地震】自宅再建スケジュールの遅れに「すごく取り残されてる感じ…」

BSN新潟放送 / 2024年8月30日 6時31分

BSN

元日の能登半島地震から半年以上が過ぎますが、新潟市では6月末現在で解体の完了は全体の2%程度しか進んでません。
そんななか、同じ敷地内での自宅の建て替えを決断し、家具などの片づけ作業を進めながら公費解体を待つ、新潟市西区寺尾地区の立松修さんと有美さんご夫妻を訪ねました。

お二人の自宅は、液状化現象の被害を受け「大規模半壊」と認定されています。

「ここに道路があって、ここからこの駐車場の30cm近くが今回完全に変形して動いちゃったんですね…」

駐車場は大きく傾き、配管も被害を受けたため水道やトイレも使えず、今は同じ西区にある亡くなった両親の家で暮らしています。

実は修さん、能登半島地震の前日に会社を定年退職していました。

【妻・有美さん】
「退職に向けて少しずつ、やっぱりお金かからないように…。お金のかかることは先に、っていうふうに準備していて。まさかね家を建てるなんてさ、思わないよ」

年金暮らしになった途端に自宅は被災。
中古のマンションや中古の家を買うという選択肢もありましたが、立松さん夫妻は、同じ場所での自宅の建て替えを決断しました。

【修さん】
「結局中古のマンションであれば、また後で大規模修繕なりなんなりといろいろかかるし、中古の家ということになれば、また地震が起きればまたそこは今度はどうなるかわかんないし…。どうせわかんないんだったら、自分たちの気に入った家、小さい家を建てるか、っていうふうに最終的に決めた」

土地の売却も今は期待出来ないことや、住み慣れた場所での生活をしたいことなどを総合的に判断し、同じ場所での建て替えを決め、4月に公費解体を申請しました。

『公費解体』とは、地震で半壊以上と認定された家屋や店舗などの解体や撤去を、自治体が全額負担して行うものです。
公費解体を申請した立松さんが当初受け取ったスケジュールでは、申請から作業の完了まではおよそ3~4か月と記されています。

そして、我々が立松さんのご自宅に伺ったのは、その最初のステップとなる業者の現地調査の日。当初のスケジュールでは申請から4週間目の予定でしたが、およそ8週間かかってからの調査になったそうです。
公費解体の最初のステップで、すでに倍近くの遅れが出ているのです。

新潟市によると、公費解体の完了の見通しを当初3~4か月程度と考えていたものの、4月に入った時点で「6カ月程度」に延ばし、さらに6月10日ごろになってから「8か月程度」に訂正したということです。

ところが立松さんの家では、最初の調査日以降、具体的なスケジュールの見通しが立っていません。

業者との話の中で立松さんは、
「要は解体日までにここ片付け全部しなきゃ駄目なんだよね。中のものを全部出さなきゃいけないわけで、そうするとこっちにも段取りが…」
「そのスケジュールがわからないで動けって、それは厳しすぎるよね」と、
浮かない表情を隠せません。

公費解体の遅れは、新潟市議会でも指摘がありました。

【武田勝利 新潟市議】
「公費解体を迅速に進める手立てを取るべきではないか…」
【新潟市 木山浩 環境部長】
「可能な限り期間を短縮するため、現在25社30チームの解体チーム数を、大幅に増やすことで対応していきます…」

6月30日の時点で、新潟市内で公費解体の申請があった552棟のうち、決定を通知したのは312棟で、実際に工事が始まったのは30棟。
解体が完了したのは、2%にあたる7棟です。

遅れている原因として、新潟市は解体業者の不足を挙げています。
さらに、手作業で解体作業を行わなければいけないこともあって、手間や時間がかかってしまうとしています。

能登半島地震で被災した家屋の『公費解体』は、新潟市が新潟県解体工事業協会に委託し、その加盟業者の中から25社が30チーム体制で動いています。

新潟市では今後、県解体工事業協会以外からの協力も視野にしつつ、まずは契約している加盟業者から、公費解体を行うチーム数を増やしていきたいとしています。

公費解体のスケジュールに遅れが出ているため、被災者にとっては復旧の見通しが立たない現状に不安が募ります。

【立松有美さん】
「私達被災者が知りたいのは、具体的に私達の家の前はいつ直るんだろうかということ。このまま家を建てたって、この段差がある限りは、駐車場を作れない状態で住まなきゃいけないわけだから」
【立松修さん】
「今はもう半年経って街そのものは本当に普通の生活に皆さん戻られている中で、自分たちだけがすごく取り残されてる感じがすごく強いんですよ」

立松さんご夫妻の住む新潟市西区の寺尾地区では、家を離れる住民もいます。

有美さんは、ここで住むことを諦めてしまう人がさらに出る前に、被災者の声を行政に届ける必要があると考えています。

「もう半年経ってるんで…、もう早くやらないと、みんな諦めたり、いなくなったりっていうことで」
「多分、話したくても話せない人もいるんじゃないかとも思うので、そこの辺りを拾っていくことが大事だろうし、次に繋がっていくんじゃないかなって」

そこで有美さんら被災者などが声をあげ、西区のまちづくり協議会が中心となって、坂井輪中学校区のおよそ6000世帯を対象に被災者の声を拾う独自のアンケート調査を行うことにしました。
今後の生活状況や抱えている不安、住み続けるために必要なことなどを聞きます。

【立松有美さん】
「できれば地域で、液状化対策っていうようなところにその声が繋がっていってくれればいいかなって思うんです」
【立松修さん】
「液状化対策がちゃんとされた『震災に強いまち』であり、そういういい街になって、そうすれば住む人にとっても住むことがさらに気持ちよくなるかなって」

同じ場所で住み続けようとする被災者にとって、公費解体の遅れや、地域の道路補修、地盤改良の時期など、不安な要素が今もたくさんあることが分かりました。

新潟市では今後、1か月で50件の解体完了を目標に動いていきたいとしています。

同じ場所で住むと決めた立松さん夫婦は、復旧に向けた大きな一歩となる公費解体を一日も早く待ち望んでいます。

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