アメリカ在住のAV女優まりかさんが乳がんを語る「最初は、できるだけ胸を残したかった」

文春オンライン / 2019年3月14日 11時0分

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まりかさん

 日本でAV女優としてデビューし、現在はアメリカ・ロサンゼルスで暮らしながらポルノスターとして活躍するMarica(日本での活動名は「まりか」)。そんな彼女に今後の人生を大きく左右する試練が訪れた。それは、乳がんだった(全2回の1回目/ #2 へ続く)。

◆ ◆ ◆

しこりの発覚、そして乳がんの宣告

 私が、乳房にしこりを発見したのは2018年10月のこと。3月19日には、いよいよ手術を受けることになっています。約9時間の手術です。まず乳首に針を刺し、青い染料を入れてリンパを青く染めます。両乳房を全摘出すると同時に、リンパも部分的に取り、シリコンを入れて再建するという大きな手術となります。また、手術後の仕上がりがきれいになるような処置も行います。

 アメリカのポルノスターは、撮影が終わった後のインタビューで、乱れたヘアメイクを直すようなことはしません。作りものを見せるのではなく、「頑張ったよ!」というリアルな姿をファンに見せるためです。もちろん私だって怖いという気持ちは大きいですが、がん発覚からの心境をありのままにお伝えしてみたいと思います。

まりかさんは、グラビアアイドルとして芸能界デビューした後、2009年に「第1回SODstarシンデレラオーディション」で受賞しAVデビュー。さらなる挑戦のため、2012年に渡米した後はアメリカを中心に、ヨーロッパやオーストラリアなどにも活躍の場を広げ、ポルノ作品だけでなく、イベントや展示会に出演してきた。アメリカの月刊誌「PENTHOUSE」の「ペントハウスペット」、すなわちヌードモデルの頂点には日本人として初めて選ばれている。

 昨年の秋、近所に住む60代の日本人女性の友人が甲状腺がんになり、身の回りのケアをお手伝いしていました。彼女の手術の日のことです。私は彼女が飼っているペットの猫の世話をしていました。ふと、

「乳がんって自分の手で触って確かめるのが大切っていうけれど、どうなんだろう?」

 と何気なく自分の胸を触ってみたんです。すると、

「あれ? しこり?」

 自分でもわかるくらいのしこりを発見しました。その時、思ったことといえば

「しこりがあるって大騒ぎしたら、『がんの人のお世話をしているからって心配しすぎだよ』と言われちゃうだろうなあ」

 ということ。

 そのため、少しギャグっぽく日本の友人などにLINEで「しこりを見つけた」と打ち明けてみました。

 ほとんどの友人が「こわーい!」「病院行った方がいいよ!」という反応。けれども、ある年上の女優さんから、

「それはサインだから病院に行きなさい。サイン通りに動いて、もし違ったとしても、安心を手に入れたと思えばいいじゃない」

 と諭されました。

「朝起きたらしこりがなくなっているかもしれない」

 アメリカの場合、日本と違って健康保険制度が非常に複雑です。私が入っている保険は、日本円にして月額約8万円というかなり手厚いタイプなのですが、決められた病院のメインドクターのグループ内でしか受診できません。その病院には、私が住んでいるエリアから車で約2時間半かかります。

 そのため、病院に行くのがとても億劫になりがち。

「朝起きたらしこりがなくなっているかもしれない」

 と淡い期待を持ちながら、数週間を過ごしました。

 もちろんしこりはなくなりません。ようやく重い腰を上げ、検査を受けたところ「85%の確率で良性」だと言われましたが、同時に

「今はがんではないけれど、がんになる可能性が高いから取るべき」

 とドクターに手術を勧められたのです。

終わった後の手術台

 その日からの展開は早く、昨年10月23日に、1回目の手術を受けることになりました。部分麻酔をかけて行ったのですが、終わった後の手術台を見ると、恐怖で汗びっしょり。思わず写真を撮って、日本の友人たちに送ってしまったくらい。

 ちなみに、摘出したのは腫瘍を中心とした3.2センチの塊です。手術当日には、「まだがんかどうかはわかりません。細胞検査を行って、良性か悪性なのかを判断する」とのことでした。

 手術から2週間後、私は診察の予約を取っていました。

 検査当日の朝、突然ドクターから電話があり、

「予約の時間よりも早く来て欲しい」

 と言われました。

「胸を残すように頑張ります」と語ったドクター

 私としては、まさかがんになっているとは思っていませんでしたが、英語に自信のない私に付き添う予定になっていた友人は、すでにその時ピンと来ていたようです。

 すぐに出かける準備をし、病院に向かったものの、着いたところで待たされること1時間。

 この辺りが、アメリカ医療の特異さです。早く来いと言ったのはドクターの方なのに、なぜ、こんなに待たされるんだ!? 半ば不機嫌になりつつ診察室へ……。

 覚悟を決めている友人とは違い、何も心構えがなかった私は、「がんです」と言われた時、とっさに聞き間違いかと思ってしまいました。

「今、がんって言いました?」

 と聞き直したところ、「YES」というドクターの答え。

「あ、合ってた。私の英語力、上がってるじゃん!」

 と自分に感心してしまったくらい、妙に冷静な私がいました。

 しかも、摘出した3.2センチの細胞の100パーセントががんで、初期ではないとのことでした。頭の中は「マジ?」でいっぱい。ドラマを見ているみたいで、自分のことではないように感じていました。

 でも、がんの宣告は事実です。担当のドクターは、

「胸を残すように頑張ります」

 と言い、次の治療を促しました。その時は、私も「できるだけ胸を残したいな」と思っていました。

(中山 美里)

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