配信時代を感じさせないback numberの音――近田春夫の考えるヒット

文春オンライン / 2019年4月21日 17時0分

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絵=安斎肇

『HAPPY BIRTHDAY』(back number)/『Aurora』(BUMP OF CHICKEN)

 我が国の配信(デジタル)も随分一般的な商売にはなってきたかとも思うけれど、まだまだ過渡期なのだろうか? 不便なことはあるみたいだ。

 聞くところによれば、近頃ビクターから出た俺のベスト盤だが、音源の“初出”がレコード会社数社に散らばっていたということが原因で、どうやら配信は難しいらしいのである。あっ、詳しい事情は俺もよく分かっていないので、勘違いでしたらばゴメンなさいましね、関係各位読者諸兄。

 とかいいつつ、気がつけばSpotifyやApple Musicが俺のビブラストーン時代の作品のほぼ全て!を突如買えるようにしてくれていたりして、ありがたい部分もある。それこそ“一長一短”なんでしょうな。おっと、なんかドサクサに紛れて、自分の宣伝してましたですね! 失礼をば。

 さて。そんなこんなの今週。BUMP OF CHICKENの方は、パッケージでは売らず配信のみということで、資料にCDがなく、送られてきたのはback number『HAPPY BIRTHDAY』のみという。最近増えてきたが、なんだか時代の移り変わりを実感させられた。

 いずれCDなどは過去のものとなり、音源はデータのみになるといわれて久しいが、遅かれ早かれそうなった暁にも、ここまで来てしまった我がjpopな音作りに、抜本的な改革など、もう無理なのではないかと、俺は思っている。この『HAPPY BIRTHDAY』にしても、歌詞や音に、配信時代の到来を窺わせる予兆/気配などは、特にないしね。

 振り返れば、レコードがCDへと移行した際の、A面B面のなくなってしまうという革命的事態(?)にも、作家、演者どちらにせよ、さほどの影響も受けなかったものだ。

 そうした観点に立って考えると、アルバム全収録音源を試聴し、ピンと来ない曲は買わずに済ます、という選択肢もアリな、配信のシステムの方が、音楽家の意識に与えるものは大きいかとも思われる。

 つまり、どの曲が不人気なのかも一目瞭然となってしまうのがこの仕組みで、人によっては売れぬ傾向の曲など次第に書かなくなっていくだろう。それが人情というものだ。

 配信以外に音源の入手が叶わなくなるといわれる近い将来。下手をすると、そこでは耳触りの良いわかり易い親切な商品しか提供されぬ可能性なきにしもあらずかも?

 実際、早くも配信が主戦場となった、DJ向けトラックのマーケットなどには、もうそんな兆しは見えてますしね。

 ところで偶然、俺のバンド、活躍中の最新作が『みんなでハッピーバースデー』というのだが、こちらは彼らの歌とは違って、一切切なくない。歌詞とか、みんなで誕生日を盛り上げるのが目的の故、ハッピーバースデーのみですし、よかったらweb検索してみて……ってupされてたらの話ですけど(笑)。曲がマジ超キャッチー/ハッピーなことだけは私がお約束いたします。

 BUMP OF CHICKEN。

 おお、なんか女子受けしそうじゃんさねぇ! この世界。

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『 考えるヒット テーマはジャニーズ 』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

(近田 春夫/週刊文春 2019年4月18日号)

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