「共産党も変わったなぁ」 “ソフト路線”は皇室ブームへの危機感

文春オンライン / 2019年5月21日 6時0分

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ピアノの腕前は玄人はだしの志位氏 ©文藝春秋

「共産党も変わったなぁ」

 5月9日、衆院本会議場。天皇陛下の即位を祝う賀詞が全会一致で議決。拍手する共産党の志位和夫委員長(64)の姿に、衆院事務方幹部は感慨深げにつぶやいた。

 共産党は平成への御代替わりの賀詞には反対。今年2月の平成の天皇陛下在位30年に祝意を示す賀詞も欠席している。本会議後、会見で志位氏は「天皇制は憲法上の制度。祝意を示すのは当然だ」と胸を張り、女性天皇、女性宮家創設にも「当然検討されるべきだ」と話した。確かに04年の綱領改定で、共産党は天皇制も自衛隊も事実上容認している。主導したのは当時議長だった不破哲三氏。「石橋を叩き割っても渡らない、と評される慎重派の志位氏は、今もどんな細かいことも不破氏に報告している」(党関係者)。

 理屈上は改定綱領が金科玉条だが、「ソフト路線」の背景には、譲位された上皇への感謝とともに広まる「皇室ブーム」への強い危機感がある。各社の世論調査では「皇室に親しみを持っている」が約8割。衆参W選も囁かれる中、国民民主党の一兵卒となった小沢一郎氏や他の野党幹部から「野党共闘するなら反皇室色を薄めるべきだ」との声が相次いでいるのだ。とはいえ、“天皇制打倒”が染み付いている党員も少なくない。

祝意は52字。天皇制への対応に細心の注意

「党は天皇制への対応に細心の注意を払っている。即位に当たっての委員長談話では祝意を示したが52字と極端に短かった。即位の賀詞の原案にあった『国民ひとしく慶賀に堪えない』との表現を、過度に天皇を礼賛するとして『まことに慶賀に堪えない』にするよう、水面下で穀田恵二国対委員長が与党側に頼んで実現させるなど涙ぐましい努力をしている」(担当記者)

 12日に開かれた第6回中央委員会総会では、参院選改選一人区の野党候補一本化を巡って、従来主張してきた「相互推薦・相互支援」を条件としない方針も打ち出した。

 ソフト路線の先に見据えるのは「野党連合政権」への参画だ。4月下旬、立憲民主、国民民主両党の幹事長と討論会に出席した小池晃書記局長は政権入りに意欲を表明。終了後、周囲に「私が閣僚になったら自衛隊は合憲だと答弁する」と意気込んだ。だが、野党第一党の立憲幹部の本音は、「柔軟姿勢はいいが政権入りに本気になられると困る。有権者に忌避感が出て却って迷惑だ」。

 足元でも党員の減少と高齢化に歯止めがかからず、ソフト路線の成否は見通せない。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年5月23日号)

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