首相官邸のツイッターがつぶやかない「ああ、トランプが言っちゃった!」と「石破茂さん『冷や飯』の味を語る」

文春オンライン / 2019年5月31日 6時0分

写真

東京・六本木の炉端焼き店で夕食を共にしたトランプ米大統領 ©JMPA

 SNSがそのままニュースになる。その筆頭はなんといってもトランプ米大統領だろう。

 まずこちらの記事。

「トランプおもてなし 安倍首相の誤算」

「夏の参院選までの封印の“密約” KYツイッターで暴露」(東京スポーツ5月28日付)

 何かと言えば、

《トランプ米大統領は26日、日米貿易交渉の妥結について、参院選後に持ち越す意向をツイッターで示し、「多く(の成果)は7月の選挙後に待つ。大きな数字を期待している!」と投稿した。》(朝日新聞5月27日)

 ああ、トランプが言っちゃった! 思わずツイートしてしまいました。

 せっかく相撲見物させたり炉端焼き食わせたりして日本の文化を紹介したのに、「阿吽の呼吸」「腹芸」という日本の伝統はトランプには通じなかった。

 相撲の警備をあれだけ厳重にやるならトランプのツイッターにも「警備」のお願いは必要だったのではないか。今回のおもてなしの反省点である。

 そういえば「日本の安倍首相が私にノーベル平和賞を授与するよう推薦してくれた」とトランプがわざわざ会見で喋ったこともあった。あのときも安倍首相は困惑したはず。

「首相官邸」公式アカウントは「ひらがなです」と丁寧に反論

 では、こういった“困った言説”にはどうすればいいのか?

 先日、ツイッターの「首相官邸」公式アカウントが注目を集めた。

 4月30日に行われた「退位礼正殿の儀」での安倍首相の国民代表の辞に関して「漢字の読み間違いなどは、ありません」など、5つのツイートを投稿したのだ。

 首相が「願って已みません」を「願っていません」と読み間違えたのでは、というネットでの話題に「ひらがなです」と丁寧に反論、否定したのだ。

 ということはそろそろ首相官邸アカウントが「トランプ大統領のツイートなどは、ありません」と否定するのではないか?

 私はワクワクして待っていた。しかし、今のところツイートせず。

 国内の言説なら軽く否定するのは得意だが相手がトランプであれば何も言えない。首相官邸もイライラしたであろう一件でした。

高畑充希は、#まさか自分の人生で首相とセルフィーする日が来ようとは

 続いてのSNS発の話題は安倍首相の食事会について。

「高畑充希、安倍首相と会食を報告『爆笑トーク連発』」(日刊スポーツWEB 5月23日)

《女優の高畑充希(27)が、安倍晋三首相らと会食したことを報告し、一緒に撮した写真を公開した。

 高畑は23日、インスタグラムを更新。自身が出演した映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」(前田哲監督)を気に入ったという首相からディナーに招かれたことを報告した。》

 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 

安倍首相が #こんな夜更けにバナナかよ を気に入ってくださったご縁で、誘っていただいたディナー。 私と大泉さん、ど緊張で参加しましたが、爆笑トーク連発で楽しく帰りましたとさ☺️ 🍽 #まさか自分の人生で首相とセルフィーする日が来ようとは

高畑充希 さん(@mitsuki_takahata)がシェアした投稿 -

『ゴーン・ガール』を「昭恵夫人や母洋子さんら」と一緒に

 新聞の楽しみの一つに「首相動静」があるが、首相がどんな映画を鑑賞したかもわかる。首相は年末年始によく映画を見ている。ここ数年をあげておくと、

 【2015年】
 1月1日『バンクーバーの朝日』

 1月2日『ゴーン・ガール』

 12月29日『杉原千畝 スギハラチウネ』

 12月31日『スター・ウォーズ フォースの覚醒』

 【2016年】

 1月1日『海難1890』

 12月30日『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』

 【2017年】
 1月1日『海賊と呼ばれた男』

 12月31日『DESTINY 鎌倉ものがたり』

 【2018年】
 1月1日『オリエント急行殺人事件』

 特筆すべきは2015年1月2日に『ゴーン・ガール』を「昭恵夫人や母洋子さんら」(朝日新聞、首相動静)と一緒に観ていること。

『ゴーン・ガール』は「妻の失踪をきっかけに、互いの知らなかった秘密が暴かれていく」という内容で、これを正月から夫婦で観ていたのだ。

 ちなみにこの年の9月に昭恵夫人は森友学園の幼稚園で講演し、新設予定の小学校の名誉校長を受け入れた。そして翌年に森友問題が勃発。昭恵夫人はしばらく「ゴーン・ガール=姿を消した女」となった。初夢映画だった。

 これだけでも「首相動静」を読むのは面白いのだが、では昨年末から今年の正月にかけて安倍首相は何を観たのか?

2019年元旦は『ボヘミアン・ラプソディ』だったが……

 2018年12月31日『こんな夜更けにバナナかよ』

 2019年1月1日『ボヘミアン・ラプソディ』

 だったのである。

 首相はそうとう『こんな夜更けにバナナかよ』をお気に召したのか、もしくは選挙前だからか、出演俳優を食事に招いて華やかな話題を今回提供したのである。「首相動静」だけ読んでもニュースは繋がっていることがわかる。

石破派外しの会食で「うなずきもできなくて、シュンとしちゃった」

 さて、上記は楽しい食事会だが毎日新聞は「もう一つの食事会」について先週振り返っていた。

「自民党・石破茂さんインタビュー 『冷や飯』の味を語る」(毎日新聞WEB 5月24日)

 まず、「イヤな話を聞いた。」という記者の書き出しがあった。

《それは2月6日夜、安倍首相の公邸で、石破派を除く党内6派閥の事務総長が集まり、首相を交えて食事会を開いた時のこと。石破派外しの場で、首相から厳しい「石破批判」が飛び出したらしい。》

 あー、そんな食事会のニュースもあったなぁ。

 次の「出席者に近い関係者」のくだりから一気に読ませた。

《出席者に近い関係者が声を潜める。「『あいつは除名だ』というニュアンスのことまで言ったらしい。あまりの激しさに、居合わせたみんなが、もう笑うこともできないし、うなずきもできなくて、シュンとしちゃった、と」》

 この話に《何だか露骨。総裁選で争った相手だし、首相の政治手法も批判してきた石破氏である。首相もいい気持ちはしないのは分かる。それでも「敵」をも包み込むのがリーダーだろう。器が小さい、いや、大人げない。》と思わず率直な感想を書いた記者。

 石破氏はそのあと「冷や飯」具合について語っているのだが、「食事会」と「冷や飯」の組み合わせがうまい記事だった。

 それにしても『こんな夜更けにバナナかよ』食事会の3か月前に「こんな石破は除名だよ」食事会がおこなわれていたとは!

 これも新聞読み比べの妙味です。ごちそうさまでした。

『 芸人式新聞の読み方 』 が文庫になりました。ジャーナリスト青木理氏との「全国紙・地方紙実名ぶっちゃけ対談」などを文庫特典として収録!

(プチ鹿島)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング