女同士の戦いをどうまとめるか……“ポスト安倍”狙う岸田文雄の試練

文春オンライン / 2019年6月6日 6時0分

写真

酒の強さには定評があるが…… ©文藝春秋

 自民党の岸田文雄政調会長(61)が率いる岸田派が沸いている。衆院の比例中国ブロック選出の現職議員が、夏の参院選に転じることになり、同ブロックで次点だった畦元将吾氏が繰り上がるのだが、同氏は岸田派への所属が確定的だからだ。岸田派の正式名称は宏池会。池田勇人、大平正芳、鈴木善幸、宮沢喜一と4人の総理を輩出し、領袖が代わっても唯一名称を変えなかった名門派閥だ。「これで期せずして50人の大台に乗る」(同派若手議員)と、ポスト安倍に向けて気勢が上がる。

 しかしその勢いも、夏の参院選で一気にしぼみかねない。秋田、山形、山梨、滋賀の4つの一人区で、岸田派の現職が厳しい戦いを強いられているのだ。いずれも党が指摘する激戦区だが、中でも岸田氏のリーダーとしての資質が問われかねないのが山形だ。「安倍晋三首相も『男前』と評するイケメン岸田氏が、女同士の戦いをどうまとめるかが注目です」(政治部記者)。

「女同士」とは、参院2期目を目指す大沼瑞穂元厚生労働政務官と、地元選出の加藤鮎子衆院議員のこと。同じ79年生まれの40歳で、慶応大学法学部卒も一緒。かたや国際法学の権威だった大沼保昭東大名誉教授の娘、こなた一時は首相候補筆頭だった加藤紘一元官房長官の娘である。

「応援してもらいたいなら私への悪口をやめないとね」

 元々大沼氏が山形の反加藤勢力に担がれた経緯もあり、2人の犬猿の仲は有名だ。最近、岸田氏が仲を取り持つ会合を開いたが、加藤氏が「応援してもらいたいなら私への悪口をやめないとね。聞こえてくるわよ」と大沼氏に言い放ち、仲介は無惨にも失敗した。「山形を一枚岩にさせる力量ぐらいないと、首相になんて到底なれるはずがない」と政治部デスクは嘆息する。

 夏の参院選で山形をはじめ懸案の4つの一人区を死守しても、岸田氏には次なる関門がある。領袖を譲った今も派内に影響力を持つ古賀誠元幹事長だ。4月にテレビ番組で「岸田氏は必ずしもポスト安倍でなければいけないわけではない」と語り、菅義偉官房長官をポスト安倍に挙げたことが波紋を広げたが、実は、古賀氏の本音はもっと厳しい。

 先日、若手議員らとの会合で「世界は激動の時代だ。岸田さんに総理なんて無理だ。総理になったら、耐えられずに死んでしまう」と漏らし、その場は凍り付いた。安全運転ばかりが目立つ岸田氏だが、時には後輩を従わせ、長老を刮目させる「剛腕」が必要かもしれない。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年6月13日号)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング