最終結論! 人生100年時代の“性”の在り方――ヒトは何歳までセックスできるのか?

文春オンライン / 2019年7月11日 17時0分

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水素がもたらすアンチエイジング。裏テーマは「性の復活」!?――ヒトは何歳までセックスできるのか? から続く

 厚生労働省が2017年に発表した統計によると、日本人の平均寿命は男性「81.09歳」、女性「89.26歳」と、過去最高を更新し続けている。「人生100年時代」と言われるなか、「QOL(生活の質)」の向上は、現代人にとってますます重要な課題となっている。中でも性生活は、人間らしい暮らしを送る上で避けて通れないテーマだろう。人は何歳までセックスできるのか――かつて「週刊文春」で話題を呼んだ本企画は、これからを生きる現代人にとっても示唆に富む。あらためてここに公開する。

 連載最終回となる今回は、病と闘いながらも水素によって性生活が豊かになった2人の男性の体験談を聞いた。( 前編 より続く)

※「週刊文春」2012年10月11日号より転載。記事中の年齢や日付、肩書き等は掲載時のものです。

便乗インチキ商品に注意

 「水素水」に人気が殺到しているものの、水に取り入れられる水素量は限度がある。1日に飲める水の量も、2リットルがせいぜいだ。厄介な問題が、奇跡の効果に便乗したインチキ商品やマルチ商法まがいが実に多いことだ。

「僕の名前や顔写真を勝手に使って販売しているケースがあり、内容証明を出しました」(日本医科大学大学院・太田成男教授)

 以前、国会で話題となった「なんとか還元水」を始め、水素が入っていない水素水もある。水素はペットボトルの容器を透過するので、ペットボトル商品はインチキだと思った方がいい。薬事法により効果効能は謳えないのに、「がんが消えた」と銘打つ商品も怪しい。現在、消費者庁が水素の認定を視野に検討を開始しているという。

 水素水とは別に、鼻からの吸入や点滴などによって、より濃度の高い水素を体に取り込む方が効果的だろう。都内にある「水素館」には吸入器材やカプセルが揃えてある。水素館で鼻にチューブを入れて吸入をすることができる。また、同様の処方を行うクリニックもある。

 では、水素は人間の性機能にどんな影響を与えているのだろうか。

体験談1:国指定の難病を抱えた60代男性

「体験した人にしかわからないから、僕の話は信じられないかもしれません」と切り出したのは、北海道で工業関係の会社の役員を務めるS氏(64)だ。

 ホテルのラウンジに現れたS氏は、メガネをかけた温厚そうな男性で、見た目は50代に見える。どこにでもいそうな物腰柔らかな男性だが、彼は25年間、セックスどころか勃起と無縁の人生を送ってきた。

 S氏の病名が判明したのは、32歳の時だった。

「当時、アドベンチャースキーでよく高い所からジャンプをしていたのですが、背骨をケガして、3カ月入院することになりました。退院後、腰の痺れは治ったのに、足の痺れが治らない。僕の後輩の循環器系の医師が『先輩、ドップラー検査をやってみましょう』と足首の脈を計る検査を勧めてくれました。すると、『先輩、大変なことです!』と言いだしたのです」

 S氏は国から難病に指定されている「バージャー病(閉塞性血栓性血管炎)」と判明した。日本に約8000人の患者がいるこの病気は、喫煙者やストレスの多い者が罹りやすく、末梢の動脈が細くなっていき、血管が詰まり、動脈の壊死を引き起こすものだ。

「膝から下を切り落とすこともあれば、人工血管のバイパス手術もある。僕の場合は、血液をサラサラにする薬を服用し続ける生活になりました。動脈の病気ですから、朝勃ちどころか、勃起なんて、どちら様のお話ですかって感じでした」

朝起きると25年ぶりに……

 32歳で人生から性機能が奪われると、夫婦生活はもちろん、男同士の会話についていけなくなった。

「飲み会で仲間がエッチな話とか女性の話題をすると、話の輪に入れません。それでも仲間が盛り上がっていると、僕は『なんだ、お前ら。俺に対する嫌味かよ』と、話題を変えさせることもありました」

 難病を抱えながら25年がたった05年、S氏は水素サプリを知った。

「自分なりに調べると、アメリカのパトリック・フラナガン博士は水素で活性酸素を除去できると言っていました。それで自分でも飲み始めたら、『えー、嘘だろ!』ということが起きたのです」

 目が覚めたら、25年ぶりに朝勃ちしていたのだ。以来、今でも週に2、3回は朝勃ちするという。

「ストレスを抱えている人ほど、体感するのが早い印象があります。誤解を与えぬよう言いますけど、持続性はありません。ただ、夫婦生活が蘇るだけでなく、精神的にも夫婦関係がよくなる。もちろん健康的にもです」

脳が若くないとセックスできない

 同じく糖尿病などで弱まっていた高齢者に、水素で性が蘇るケースが多い。

 獨協医科大学の名誉教授で、赤坂AAクリニックの森吉臣院長はこう話す。

「水素の作用によって、血管の内皮細胞から一酸化窒素が出やすくなって勃起しやすくなるんです。バイアグラほど強くありませんが、動脈を拡張するので血流がよくなり老化にブレーキをかけることにもなる。

 それに、セックスは脳がコントロールしているので、脳が若くないといけない。水素はその脳内の血流をよくしたり、脳内ホルモンを増やすので機能がアップする。何よりも水素は血管がなくても脳のすみずみまで行き渡る。これが大きいんです」

体験談2:抗がん剤治療で味覚をなくした50代男性

 神奈川県で保育園を経営する黒澤浩一氏(59)は、これまで取り上げてきた“性とアンチエイジング”の様々な要素を、水素によって獲得した人物といえるだろう。

 黒澤氏が胃がんによって胃の全てと、十二指腸の3分の2を摘出したのは、52歳の時だった。

「先生、私は何年生きられるんですか?」

 医師にそう問うと、「キミ次第だ」と言われた。そして、あと5年生存できる確率が50%だと告げられた。「肉体的ダメージだけでなく、精神的なショックが大きかった」という黒澤氏にとってさらに苦痛だったのは、術後から始まった抗がん剤治療である。

 洗面台の歯ブラシの横に、抗がん剤を置き、朝昼晩に10錠ずつ服用しなければならない。鏡に映った顔は、目の下が黒く、皮膚には張りがなく、黒ずんでいる。放射線治療を受けた後は、食事をしていなくても吐き気をもよおし、頭痛と目眩(めまい)に悩まされた。

 もともとイタリアンレストランを経営し、自ら厨房に立っていた黒澤氏にとってショックだったのは、体力、気力と同時に、味覚をなくしたことだ。

「抗がん剤で抑えられてしまったのか、食材を口にした時の触感しかわからない。匂いも味覚もない。これは致命的で、納得のいく仕事ができなくなりました。自分が自分ではない状態を死ぬまで続けることに耐えきれず、医師に抗がん剤治療をやめると言いました。猛反対されましたが、押し切ったのが、手術から3年目のことです」

朝目覚めた妻が「どうしたの?」

 インターネットで様々なサプリを取り寄せては飲む生活を続けていた時、彼は水素サプリを知る。知人の薦めで、通常は1日2カプセルを10カプセル摂取した。その3カ月後のことだ。

 朝、布団の隣で妻が、「どうしたの?」と目を覚ました。黒澤氏は驚いた顔をしたまま、「見てくれ」とその場でパンツを降ろした。まるで青年時代のような朝勃ちをしていたのだ。

「がんになって以来、3年近く夫婦の営みはありませんでした。そもそも性欲自体がないし、朝勃ちなど当然ありません。朝はいつも気だるく、目が覚めても布団の中から這い出せない。ところが、その日の朝は目覚めがいいんです」

 試しに彼はそのまま妻と久しぶりに体を重ねた。2人ともただただ驚くばかりで、生き返ったように心が躍ったという。

 異変は続いた。歩くスピードが自然と速まっている。懐かしい躍動感が体に蘇った気がした。また、がんを患って以来、夜中に最低一度はトイレに立っていたのに、それがなくなった。

1章 で紹介したように、就寝中に3回以上トイレに行く人は動脈硬化の前兆である。膀胱の筋肉に血液が行き渡らないため、尿を溜められず頻尿になり、EDにもなる。また、

「今まで起床は遅めだったのに、朝5時半に目が覚めるようになり、まずトイレに行きます。バナナのような一本が出て、腰がすっきりする爽快感があるんです。便秘気味だったのが快便になりました」

 これも 3章 で紹介した、「臓器の当番時間」の「大腸系」の時間に当たる。午前5時は排泄タイムだ。西洋医学でいうホルモン分泌を促す「脳の時計遺伝子」の通りに体が動くということは、健康の証だろう。

 また、排泄の爽快感は 8章 で紹介した。爽快感がない排泄は、陰部神経と括約筋の衰えであり、EDやオーガズム障害の兆しだ。

自然な形で性に結びつくのが「夫婦の愛」

 様々な性のアンチエイジング要素が体に現れた黒澤氏の性生活は、根底から変わった。朝勃ちだけでなく、それからというもの週2回の夫婦の営みが続く。平均1時間ほどだ。しかし、回数が重要なのではない。黒澤氏が言う。

「オスが求めるような20代の性交ではなく、すごく自然な形でお互いを愛し合えるようになりました。2人でおいしいものを食べに行って感動したり、旅行先の風景を見て感動したりするような、お互いが一緒に心を躍らせるように、自然な形で性に結びついていく。生きている実感を感じる、2人にとって重要なものとなったんです」

 今年のゴールデンウィーク、2人はハワイで10日間過ごした。毎日、2人は愛し合ったという。旅先での楽しさがそうさせたのか、1日に2度も愛し合える姿に、お互い呆れながら、がんを境にどんどん健康になっていることに気づいた。

 黒澤氏はこう話す。

「100歳まで生きようなんて思いません。今、やりたいことがあるので、燃焼できればいい。やりたいことがあれば、引退はありません。社会の一員として役に立ちたいことがあるから、日々、生きるんです」

 まだ未知数の水素だが、マウス実験で平均寿命が延びることがわかっている。

 人間の最大寿命は、遺伝子プログラム説では120歳。水素で細胞が元気になっていけば、生きる意欲に体が伴っていくかもしれない。限界年齢に多くの人が近づける時代が来た時、高齢者の性に何をもたらすだろうか。心の充実の象徴にもなれば、諍いのもとにもなる。水素は人間社会に想定外の変化をもたらすかもしれない。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2012年10月11日号)

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