みやかわくんのOnly this timeはフレッシュながら綿密な仕上がり――近田春夫の考えるヒット

文春オンライン / 2019年8月19日 17時30分

写真

絵=安斎肇

『ANSWER』(Only this time)/『Lights』(BTS

 以前に、みやかわくんの書く歌詞の一曲あたりの字数のあまりの量の多さについて、これはいくらなんでも凄いことになってるわァ、てな茶々を入れた日々もまだまだ記憶に新しい今日この頃だが、そんなみやかわくんのユニット、Only this timeの『ANSWER』。この歌詞量がこれまた決して半端なものではない、こいつぁ“世界のBTS”の新曲を差し置いてでも紹介せずばなるまい! と使命感に駆られてしまった(?)私なのだった。

 読者諸兄――おっとそのいい回し、今日日(きょうび)微妙に差別の恐れのアリやナシや? マズイ(笑)。“諸賢”にでもしときますかね――におかれましては、ネット検索等も即可能ですので、先ずは是非とも! このボリュームをば体験/堪能していただきたい。

 それはそうと内容に関せば、いささか観念的であったりと語彙、表現ともども、個人的には――例によってヒアリングに苦労する箇所もなくはなく――いまひとつ心にグッと来はしなかったが、それは単に趣味嗜好の問題。それ以上でも以下でもない。それよりここで語りたい何よりは、プロデュースワークのことだ。

『ANSWER』をパッと聴くと、あたかもたったいま心に沸き起こった衝動を、瞬間冷凍でもして固定化してしまったかとでもいいたくなるほどのフレッシュな仕上がりで、そしてそこには迷いなど一切見出せぬ。切羽詰まった荒々しさやギリギリの生々しさといった刺激がイヤというほどの速さで一直線、ダイレクトに耳に突き刺さってくる/伝わってくるのだが、落ち着いて考えてみると、そんな“凄まじいスピード/パワーを誇る2ミックス”とは申せ、まるで“炒め物”でもこしらえるように、強火で一気、勢いにまかせただけでは、こんな綿密/緻密な音像が作れる訳もないことに気付く。

 一例が、細かな音符の羅列にコトバをはめてゆく作業で、これは創作であると同時に単に物理的な数合わせの側面をも持ち合わせている。二つを同時に行うとなると、そう簡単な時間で片付く訳はない。アレンジも含めこの曲、完成までに地道に詰めなければならぬことだらけなのは、聴けば容易に理解出来るだろう。

 さらには歌唱である。いま釣り上げたばかりの魚のようにぴちぴちと、本当に活きが良いにもかかわらず、実は充分に歌いこまれている。すなわちスリルはあっても不安はない。これはレコーディングに向けて、相当なリハーサル時間を割かなければ――たまの相手とのコラボレーションということもあり――無理な芸当といえよう。

 クレジットを見るとサウンドプロデュース並びに編曲にMY FIRST STORYのNobの名があるが、全体を統括しているのは恐らくはみやかわくんだろう。そのあたりの役割分担はどうなっているのか? ちょっと気になるところだ。

 BTS。

 益々、国別でプロデュースの仕方を変えて来てるのね。

今週の麦酒「今年のお薦めは、オリオン・トロピカルコレクションのパイナップルのビアカクテル。香りと味付けが絶妙だね。沖縄限定らしいけど、近所のイオンでも売ってるんだよね」と近田春夫氏。「そしておつまみは、燃えよ唐辛子。輪切りの唐辛子に衣をつけて揚げたやつがこれまた絶妙。期せずしてどっちもアサヒグループ。今年はアサヒに軍配!」

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

(近田 春夫/週刊文春 2019年8月1日号)

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