“同志”有村架純と「繊細で心優しい世代」を描く

文春オンライン / 2019年8月2日 17時10分

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岡田惠和さん

 岡田惠和さんといえば、当代きっての人気脚本家。『ちゅらさん』『ひよっこ』などNHKの朝ドラを3作も手がけ、今年も映画『雪の華』『いちごの唄』などが目白押しである。

 そんな岡田さんが「思い切り肩に力を入れ、全身全霊で書いた」という新作がWOWOWの『連続ドラマW そして、生きる』。2011年に東北で出会った2人の約10年を有村架純さんと坂口健太郎さん主演で描いた感動作だ。

 有村さん演じる瞳子(とうこ)は幼い頃に両親を亡くし、盛岡で理髪店を営む伯父(光石研)に引き取られた。女優になるために東京でのオーディションに参加しようとするが、その前日に東日本大震災が起きる。半年後、気仙沼のボランティアに参加した瞳子は、東京の大学生・清隆(坂口)と出会うが、なぜか彼の微笑みに違和感を覚える――。

「有村さんや坂口さんの世代は、進路を決める多感な年頃に3・11東日本大震災を経験しています。直接被災はしていなくても、そのことは彼らに何らかの影響を与えたのではないかと思うんです。自分の存在意義について考え過ぎてしまう生真面目さというのかな。そんな『繊細で心優しい世代』を書きました」

 岡田さんが描く若者像のリアルさに驚かされる。

「次男が高3のときに3・11があり、卒業式がなかったのですが、震災のボランティアで気仙沼に行ったんです。ショックで喋れなくなったりもしましたが、長年通って現地の方にも可愛がってもらい、出会った仲間との絆も生まれたという経験がありました」

 清隆の母(南果歩)はその志を認めつつも、ボランティアにのめり込み、就職活動に身の入らない息子を案じる。

「清隆のお母さんはひとつの肝でした。絶対に悪く書きたくなかった。たぶん登場人物は誰も間違っていないし、それぞれみんな正しいんです」

有村架純を「同志」と呼ぶ理由

 有村さんとは映画デビュー作から『ひよっこ』まで何度もタッグを組み、岡田さんは有村さんを「同志」と呼ぶ。

「彼女も僕もすごく恵まれた環境でスタートしているわけではない、いわば雑草派。直接話はしなくても、瞳子のことを役者以前の1人の女性として理解してくれているはずという信頼感がありますね」

 刺激的な悪意を描いた作品が多い中、今作には人一倍優しい名もなき人たちが息づいている。現実の苦さや残酷な運命に直面しながらも「そして、生きる」姿に圧倒される。

「歴史に名を残した人、何かを成し遂げた人の話はたくさんあります。昔から気になるのは、目立たない、クラスの隅にいる人でした。迷ったり、傷ついたり、ときに逃げてしまったり、後悔したりしながら生きていく登場人物たちを、最後まで見届けてもらえたらと思っています」

おかだよしかず/1959年東京都生まれ。ドラマ『最後から二番目の恋』、映画『いま、会いにゆきます』など数多くの話題作を手がける。『ちゅらさん』が向田邦子賞と橋田賞、『おひさま』がギャラクシー賞奨励賞、『ひよっこ』が橋田賞を受賞。テレビ朝日にて『セミオトコ』放送中。

INFORMATION

『連続ドラマW そして、生きる』
8月4日よりWOWOWプライムにて放送 毎週日曜22:00~ 全6話
※第1話無料放送
https://www.wowow.co.jp/dramaw/ikiru/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年8月8日号)

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