「トヨタの後追いばかり」 “独身主義”ホンダの四輪事業が不振な理由

文春オンライン / 2019年9月11日 5時30分

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ホンダの八郷隆弘社長 ©共同通信社

 トヨタ自動車とスズキは8月28日、資本提携すると発表した。両社の提携で、日本の自動車産業は、トヨタ連合、日産自動車・三菱自動車連合、ホンダの3陣営に集約される。今年7月、独フォルクスワーゲンと米フォード・モーターが業務提携の拡大を発表。100年に一度の大変革期と言われる自動車業界は、自動運転などで莫大な開発コストがかかるため、世界規模で合従連衡が進んでいる。

 こうした中、ホンダは、危機感を募らせている。

「独身主義、自前主義を貫いてきたが、今のまま単独で大丈夫か」(ホンダ幹部)

 ホンダが8月2日に発表した今年4月~6月期の連結決算では、純利益が前年同期比29%減の1723億円。ホンダの四輪販売の3割を占める屋台骨であるアメリカ市場の落ち込みや、インドでの販売不振が響き、四輪事業の営業利益率は4.4%だった。トヨタの8.2%に大きく見劣りする。

 四輪事業が不振な理由の一つは過剰設備だという。

「生産能力が540万台と公表していますが、プラモデルのように組み立てるノックダウン生産も含めると実は800万台近い。実際の稼働率は60%程なので、既に発表したイギリスやトルコ、アルゼンチンだけではなく、他の工場の閉鎖の検討をしています」(同前)

 また、ホンダの526万台という販売規模では、「下請け部品メーカーの経営は窮地に陥る」(ホンダ元役員)と見られている。

「2年前にホンダ系列をまとめて、巨大部品メーカーの独コンチネンタルに売り渡す構想もあったが、条件面が合わず、頓挫した。いずれファンドなどに売らざるを得ないはず」(同前)

「今のホンダ車はトヨタの後追いばかり」

 ホンダ本体も提携では迷走気味だ。自動運転では米GM系企業と提携したかと思えば、モビリティーサービスではトヨタとソフトバンクの合弁企業モネ・テクノロジーズに出資と、なかなか方向性が定まらない。

 ホンダ内部からはこのような指摘も出ている。

「今のホンダ車はトヨタの後追いばかりで、ホンダらしさを失い、スバルやマツダにお客を奪われている。このままでは、いずれ経営危機を迎えるだろう」

 トヨタの豊田章男社長は最近、「日本自動車株式会社」を強調、オールジャパンで産業競争力の向上を謳う。「豊田氏はホンダの八郷隆弘社長に秋波を送っている」(関係者)とも言われる。

 ホンダ関係者がこぼす。

「他社は車種間の部品の共通化を推進して開発コストを削減してきたが、ホンダはこれから取り組む状態。先が思いやられます」

 今のままでは業界再編のターゲットになるだろう。

(井上 久男/週刊文春 2019年9月12日号)

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