「逸脱した行為」でクビ……日経新聞エース記者に何があったのか?

文春オンライン / 2019年9月24日 11時0分

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日経新聞2018年6月28日付朝刊のスクープ

 今年8月、ソウル特派員の失踪を韓国メディアに報じられた日本経済新聞社で、新たな不祥事が発覚した。

「企業報道部の40代男性記者A氏が諭旨退職処分となったのです。9月10日に日経社内で臨時の部会が開かれ、『記者から逸脱する行為があった』と説明がありました」(日経関係者)

 A記者は有名私大を卒業後、産経新聞社を経て、日経へ。評判は上々だった。

「Aさんは民主党政権時、当時の菅直人首相に食い込み、『自宅へ招かれた』と話していた。物腰も柔らかで、リーダーシップもある。経団連の会長人事をいち早く報じたり、出光興産と昭和シェル石油の経営統合をスクープし、社長賞を何度も受賞しているエース記者。直近では電機業界担当の取材キャップでした」(同前)

 取材先との飲み会でも割り勘が基本だったというA記者に一体なにが――。

「実は、A記者は医療ベンチャー企業の株式会社NAMとトラブルになっていました。NAM社は、A記者が記事やプレスリリースを書くなどと言って金銭を要求したと主張し、警視庁にも相談していました。結局、被害届は受理されませんでした」(別の日経関係者)

 法務室の聴取に何度も呼ばれたA記者は疑惑を否定。

「社内調査でも、金銭の授受など法令違反は認められなかったが、経営計画策定のアドバイスやプレスリリースを書き直したことが判明したのです。ところが、NAM社とのトラブルについては全く説明がありませんでした」(前出・日経関係者)

当事者たちはどう答えるか

 前出の別の日経関係者はこの説明に首を傾げる。

「Aさんと石油業界再編をスクープした経済部デスクが、10月1日付でトヨタ自動車の総務人事本部付になると内定し、社内に激震が走りました。その件を10日の会議で現場の記者が質問したら、編集幹部はたいした説明もせず『問題はない』という認識。中立性や公平性が保てるのかと危機感を覚える記者は多い」

 当事者はどう答えるか。A記者の携帯にも電話したが、取材には応じなかった。

 NAM社の代理人は「取材は全てお断りします」。

 日経広報室の回答。

「社内調査で記者の行為に倫理上の問題が認定され、諭旨退職処分としました。当社は取材報道に際して中正公平に徹し、取材先とは良識に基づいた健全かつ正常な関係を保つことを定めており、逸脱する行為は処分の対象になります。(トヨタと)守秘義務について協定書を交わしており、メディアの独立性や公平性を損なうことはないと考えます。人材交流は記者教育を目的にしたもので、これまでも複数の企業としています」

 日本を代表する経済紙が揺れている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年9月26日号)

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